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2024.07.05

”日本一の人脈を持つサービスマン”が使う秘技! 客の心を掴む「同化」とは

どうすれば人の心を読み、つかむことができるのか。多くのビジネスパーソンが頭を悩ませている問いのヒントを教えてくれるのが、「日本一の人脈を持つサービスマン」として知られる萩原清澄さんだ。超一流レストランの統括支配人として、経営者から芸能人まで、名だたるVIPをもてなしてきた萩原さんのとっておきの秘策を、著書『サービスマンという病い』から抜粋してお届けします。

あらゆる手段を使って相手に“同化”する

人の心は、マニュアルにあるような方法でつかめるものではありません。どんな言葉、どんな物、どんな行動によって心を動かされるかは、一人ひとりまったく異なるからです。言葉を換えていうなら、「人の心のつかみ方」には、一つの答えしかないというわけではないということです。

では、お客様一人ひとりの心をどうやってつかんでいけばいいのか──そのヒントは、お客様との“同化”にあります。

双子の写真

私は常日頃、大切なお客様のことについては、できるだけたくさんの情報を集めるようにしています。それは、相手のことを深く知れば知るほど、相手に同化しやすくなると考えているからです。

そして、相手になりきり、その脳内を旅するような気持ちになることができれば、おのずと「相手の心に届く言葉」や「相手が心を開ける環境」は見えてきます。

情報収集の方法は、もちろんネットで調べられることは一通り目を通していますが、それだけでは足りません。

たとえば、私は休日にお客様の会社まで足を運び、オフィスビルの様子を見に行くことがあります。そこでエントランスを見れば、

「お客様はここから車に乗ってWakiyaに来てくださるんだな」

などとイメージすることができますし、こうして具体的な体験をもとに想像力を働かせることが、お客様との“同化”につながると思うからです。

また、お客様の出身地に行ってみることもあります。

たとえば秋田県出身の大切なお客様がいれば、休日に秋田まで足を延ばし、次にご来店いただいたときに、

「秋田を旅してきたんですよ」

などとお話をするのです。故郷の様子を少しでも知っていること、その土地の空気を吸ってきたということが、相手の心をより大きく開くきっかけになることは少なくないでしょう。まさに経験は投資なのです。

相手の気持ちに思いを馳せる

Wakiyaにはさまざまな業界の方が来てくださいますから、お客様がどんな思いで仕事に臨んでいるのかを想像するため、できるだけビジネス系のメディアにも目を通すようにしています。

(写真:iStock.com/AndreyPopov)

ずいぶん前の話ですが、ある業界で長年にわたり売上高トップだった企業を、2位の企業F社が追い抜いたというニュースが流れたことがありました。この話題はしばらくの間、多くの経済系メディアをにぎわせましたが、その中には、F社が行った大規模なM&Aに対して批判的なトーンのものも見受けられました。

中でも、数千億円も投じて新興国企業を買収したことについては、リスクが大きすぎると考える人も少なくなかったようです。

そういった記事を読みながら、私はF社のトップであるGさんの気持ちに思いを馳せていました

GさんはよくWakiyaに来てくださっていて、私はそのお人柄に触れる機会も多く、それまでのメディアでの発言などにも注目していました。ですから、Gさんがどれほどの胆力を持ち、M&A案件をはじめとするたくさんのチャレンジをしてきたのかということが、重みを持って感じられたのです。

心の深いところに言葉を届けよ

F社が業界首位の座を奪ったというニュースが流れて、しばらくしてからGさんが来店されたとき、私はGさんをお席に案内しながらこういいました。

「やはり、Gさんの体を張った命懸けの戦いが、従業員の方の意識を高めて、王者にまでなれたんですね」

するとGさんは、ぐいっと私を引き寄せ、肩を組んでくださったのです。そのしぐさに、私は改めて胸が熱くなりました。

(写真:iStock.com/kazuma seki)

おそらく、もしここで私が、

「売上高トップ、おめでとうございます」

といったとしたら、Gさんは笑って、

「おお、ありがとう」

と返してくださる程度で、その言葉は心の深いところには届かなかったでしょう。

私がGさんにどうしてもお伝えしたかったのは、世間の批判もある中でリスクを負ってGさんが戦ってこられたのだということへの、共感と尊敬の念でした。

ですから、「体を張った命懸けの」という言葉は、私の中では絶対に外せないキーワードだったのです。

この記事は幻冬舎plusからの転載です。
連載:サービスマンという病い
萩原清澄

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