白、黒、銀の文字盤に皮革ストラップかブレスレットかーー。金融マンの時計といえばそれらが常識だが、遊び心溢れる“ブルーの時計”アドミラルを愛用するジェントルマンに出会った。
“遊び”を知る男の時計審美眼
待ち合わせは老舗ホテルのロビー。遠目からも仕立てのよさがわかるウィンドウペーン・ジャケットを纏(まと)った紳士が現れた。袖口にはブルーの文字盤とブレスレットの腕時計が。近づき挨拶、果たして身につけていたのは往年のコルム「アドミラルズカップ」であった。
「この腕時計は8年前に父親から譲り受けました。私が高校生の頃に父が入手し“カッコいい時計だな”と憧れ、大学生の時はデートやディスコに行く時に借りて悦に入ってました(笑)」とは金融関係に勤めるK.T氏。
今もコルムは毎週着用するほどお気に入りだという。
「気分を上げたい時、新しい発想を得たい時に選ぶことが多い。休日にリラックスして出かける時もよく身につけます。実際、この時計で斬新なアイデアが生まれたこともあります」
新作「アドミラル 38 オートマティック」をK.T氏が手に取る。
「ベゼルとブレスにゴールドの差し色が入る日本限定モデル、素敵ですね。鮮やかな信号旗が冒険心を掻き立てる。ひと目でコルムとわかる。“1”のインデックスは日本の国旗のようで特に気に入っています」
ご健在の父上から受け継いだアドミラルズカップについてたずねると「子供は娘ふたり、長女は海が大好きで海洋自然生物学部に入学したんです。将来はその娘に譲り、私はこの新作アドミラルを手に入れたいなと」
審美眼のある父から息子へ、そして海を愛する娘へ……。他の何物にも似ていない独創的なタイムピース「アドミラル」は、世代を超えて時を刻み、受け継がれていくことだろう。
K.T氏
1970年愛知県生まれ。仕事は金融関係で腕時計はおよそ10本を所有。ロードバイクと登山が趣味のスポーツマンで、船舶免許も持つ。父親から譲り受けた「アドミラルズカップ」を娘に引き継ぎたいと思っている。インスタは毎日更新中。@063888kaz
ジャーナリスト広田雅将が語るアドミラルの魅力
「ブレスレットがついて、薄くてスポーティ。色鮮やかな文字盤を持つアドミラルズカップの国際海洋信号旗の模様は、当時エナメルペイントが施されていた。1980年代にこれほど巧みに凝った腕時計は皆無。アドミラルズカップは華やか系ラグジュアリースポーツウォッチのハシリだったのである。最新機は色鮮やかに原点回帰。10mmを切る薄さもコルムらしい。人とは違うものが欲しいという人にとって、今以ってそのキャラクターは不変なのだ」
Hirota Masayuki
1974年大阪府生まれ。国内外の名だたる時計賞の審査員も務めるほどの見識の持ち主。その造詣の深さとキャラクターから、時計界では“ハカセ”の愛称で親しまれている。
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