
@Jason Niedle
「クライ・ベイビー」「サマータイム」などの名曲が歌われ、生涯が語られる
2018年にブロードウェイで大ヒットしたミュージカル、『ジャニス・ジョプリン』のライヴ映画が7月に全国公開される。ジャニスは1960年代後半に爆発的な人気を誇った伝説のロックシンガー。活動はおよそ3年。スタジオで録音したオリジナルアルバムは4枚。ドラッグの過剰摂取で、1970年に27年の生涯を終えた。
ジャニス役はメアリー・ブリジット・デイヴィス。容姿が似ていて、歌はジャニスであるかのようにうまい。バンドはジャニスが率いたビッグ・ブラザー&ザ・ホールディング・カンパニーよりうまい。
この音楽劇の最大の功績のひとつは、おそらくジャニスの凄まじさを世界に再認識させたことだろう。観終えて彼女の遺したライヴ盤『チープ・スリル』や遺作『パール』を聴いた。「サマータイム」「ジャニスの祈り」「クライ・ベイビー」……など。圧倒された。
1997年、筆者はジャニスが暮らしていた家を訪ねた。サンフランシスコのダウンタウンから徒歩1時間ほどの高台。ヘイトアシュベリーというヒッピーの聖地の手前にある、油断したら通り過ぎる目立たない木造の一軒家。そこに目を閉じて手を合わせた。一度生歌を聴きたかった。

『ジャニス・ジョプリン』
2018/アメリカ
監督:デヴィッド・ホーン
出演:メアリー・ブリジット・デイヴィス、オーリアナ・アンジェリーク
「クライ・ベイビー」「サマータイム」などジャニスが歌唱した名曲が歌われ、生涯が語られるミュージカル映画。7月2日より東劇(東京)ほかで公開。
@Jason Niedle
Kazunori Koudate
音楽ライター。『新書で入門ジャズの鉄板50枚+α』『音楽ライターが、書けなかった話』『上原ひろみ サマーレインの彼方』など著書多数。