米ニューヨークに続く、2拠点目となるランボルギーニ常設ラウンジ「THE LOUNGE TOKYO」が東京・六本木に登場。内外装色やトリムなどオーナーの嗜好にあわせた究極の一台を仕上げられるアド・ペルソナム専用スタジオを常設。“夢のランボルギーニに乗りたい”というファンの願いを実現する、新たな聖地が誕生した。
六本木に登場したランボルギーニ情報発信拠点
「多くの人の夢を実現する。それがランボルギーニというブランドの役目だ」。伊サンタアガタへ4年ぶりに戻ってきたステファン・ヴィンケルマン新CEOは筆者のオンラインインタビューに答えてそう明言した。その受け応えには、これからそれを目指しているというのではなく、もうすでにそうなっているという自信がみなぎっていたように思う。
その一つの証拠が、ランボルギーニにとって世界で2番目に重要なマーケットである日本の心臓部にある。第1のマーケットであるアメリカのニューヨークに続き世界で2番目、アジア初の「THE LOUNGE TOKYO」がこのたび、東京・六本木にオープンした。
写真は2階に設けられたオーナーとのコミュニケーションゾーンで、ゆったりとした特注ソファが。ランボルギーニ車両を収録した本格ドライビングシミュレーターも体験できる。
地下1階、地上3階の瀟洒(しょうしゃ)なビルの内部にはサンタアガタの空気感がたっぷりと詰め込まれている。地下1階には最大の特徴でもある特別なオーダープログラム「アド・ペルソナム」のための部屋、グランドフロアにはデリバリーセレモニー(納車)や発表会も行えるイベントスペースをそれぞれ設置。3階にはキッチンも併設され、事前予約でケータリングを利用してプライベートパーティも開くこともできるのだ。
注目すべきは、ランボルギーニオーナーやファンはもちろん、一般の企業や団体にもミーティングや展示会、ギャラリーなどのイベント用に貸出しが可能という点だ。六本木という立地を生かした幅広い目的に重宝されそうである。
3階フロアにはキッチンも併設。完全予約制ということもあり、プライベートパーティはもちろん、ビジネスシーンにおいても活用できる。
ともあれ、ランボルギーニファンやオーナーのためのスペースであることに違いはない。2020年10月末に行われたオープニングセレモニーでは、世界でただ一台となる「アヴェンタドールS “dressed” by Yoji Yamamoto」の発表も行われたし、その1カ月後には「ウラカンSTO」のジャパンプレミアもここ「THE LOUNGE TOKYO」で開催された。
いずれも冒頭に紹介したヴィンケルマン社長のメッセージに強くリンクしたモデルであると言っていい。前者は世界的なファッションデザイナーである山本耀司氏にサンタアガタのチェントロ・スティーレ(デザインセンター)を取りまとめるチーフデザイナーのミィティア・ボルケルトがパリコレで出会ったことがきっかけで奇跡のコラボレーションが実現したもの。
後者に至っては「モータースポーツシーンで大活躍するウラカン・スーパートロフェオを街で操れたら……」という誰もが抱く願いを実現したモデルであったのだ。
ランボルギーニのDNAとブランドの世界観を視覚的に体感できるスペースも併設。
ちなみにSTOという頭文字はずばり、「スーパー・トロフェオ・オモロガータ」で、レーシングカーのホモロゲーションモデルという意味合いになる。ウラカンSTOは厳密な意味でのホモロゲマシンではなく、あくまでもレーシングカーのイメージでプロデュースされた公道用のマシンであるのだ。
レーシングカーを改造してナンバーを取得できるようにした、のではなく、街中でもどこでもドライブできるように開発されたレーシングカーレプリカと言った方がわかりやすい。
ウラカンSTOの価格は4125万円。デリバリー開始は2021年春以降を予定している。ミウラのように開く“コファンゴ(クラムシェル)”フロントカウルを持つ最新スーパーカーという点も、多くのファンの夢を叶えるもの。
そのパフォーマンスは圧倒的だ。最新のエアロダイナミクスを駆使する(巨大なリアウィングをみよ!)ことにより、純レーシングカーであるスーパートロフェオGT3が現在3連勝中というデイトナ24時間レースの開催地であるサーキットのシミュレーションでは、ウラカンSTOはなんとGT3の2秒落ちで走ったという。
これまでウラカンシリーズの頂点だった4WDのペルフォルマンテと比べても、同じスペック(640PS)のV10エンジン+8速DCTを積んでいるRWD(後輪駆動)のウラカンSTOのほうがなんと3秒も早かった。
空力性能もさることながら、車体の徹底的な軽量化やシャシー制御技術の向上、さらにはブレーキパフォーマンスの進化がこの驚異的な速さの実現を導いたと言っていい。ウラカンSTOは、ウラカンシリーズの新たなアイコンというべきモデルで限定車ではない。
スペシャルオーダーができる地下1階のアド・ペルソナム専用スタジオ。クルマ選びのその先にある、オーナーだけが許される“最幸”の時間が楽しめる。
世界で一台の“闘牛”を仕立てられる専用スタジオ「アド・ペルソナム」
夢を叶えるという意味では、「THE LOUNGE TOKYO」の地下一階こそ、多くのスーパーカーファンにとって夢を叶えるために目指す場所になるだろう。そこにはこれまでサンタアガタの本社にしかなかったアド・ペルソナム専用スタジオがあるのだ。
アド・ペルソナムとはランボルギーニのスペシャルオーダーのこと。今では世界で半数以上の、日本では8割以上のカスタマーが選択している。これまで本格的な、つまりカタログ化されていない特別なオーダーをするためには本国イタリア本社のスタジオに出向かなければならなかった。
筆者も何度か入室したことがあるが、そこは本社工場の真ん中にあり、常に世界中からのVIPカスタマーを受け入れているだけあって、どこか独特な別世界感に満ちた雰囲気を放っていた。そのスタジオと同じ雰囲気、ファシリティの施設が本国以外で初めて東京に開かれたのだ。
ボディカラーはもちろん、ホイールの種類やブレーキキャリパーのカラーリング、コクピットのシート素地やシートベルトまであらゆるものの意匠が実際に見て触れられる。
先日、筆者もとある友人がオーダーしたシアン・ロードスターのアド・ペルソナムオーダーに付き合う機会に恵まれた。スタジオの中にはボディカラーやインテリア素材、レザー、ホイール、ステアリング、シートといった様々な見本が並んでおり、眺めているだけで自分ならどんな仕様をオーダーしてみたいか、色々と想像を掻き立てられる。
オーダーは本国の専任スタッフとオンラインで会話しながら行われ、3Dコンフィギュレーションでのプレゼンテーションなど本国スタジオに赴いた時とほとんど変わらぬ経験ができた。
スペシャルオーダーは一旦、本社デザイナーに預けられ後日、VRなどでチェックすることもできる。もちろん、サンタアガタに行って直接オーダーすることは至上の夢として今後も位置付けられることだろう。けれども新型コロナ禍により以前のように気ままな渡航はしばらく難しくなった。
タイミングよくオープンした「THE LOUNGE TOKYO」は、“夢のランボルギーニに乗りたい”というファンの願いを新型コロナに負けず実現する、アジア随一の聖地=サンタアガタの出先機関となるだろう。
フロアそれぞれに趣向が凝らされた「THE LOUNGE TOKYO」。運営はイタリア・ボローニャの本社が直接行うという。
「THE LOUNGE TOKYO」
住所:東京都港区六本木7-5-5
営業時間:10:00〜18:00
営業日:月曜日~金曜日(年末年始、イベント貸切時を除く)
問:ランボルギーニ カスタマーセンター
TEL:0120-988-889