現代ホスト界の帝王・ローランドが愛用する腕時計とは?

持ち主の生き方が腕時計にリンクする、そんな言葉がまさにふさわしい。彼こそが、現代ホスト界の帝王と称され、現在、実業家として活躍するローランド氏だ。愛機はパテック フィリップの「ノーチラスRef.5712」。敢えてドレススタイルの「カラトラバ」ではなく、スポーティにも使え、タキシードにも合わせられる"唯一の時計"としてこのモデルを選んだ。


「永久カレンダーに対して漠然とした憧れがあります」

「あまり多くのものを持つのが好きではなくて。数をコレクションする喜びよりは、ただ1本の時計に向き合っていたい。ですからこのノーチラスに出合うまで、かなりいろいろな時計を調べました。そのなかで心に響いたのが、親から子へと受け継がれていくという広告にも見られる、一生付き合うことができる時計というブランディング。”希少性”という意味で他よりもひとつ飛び抜けているなと思い、その在り方に惹かれました」

「時計でもクルマでも"物語"を秘めたモノが好き」と語るローランド氏。グレーのエンボス文字盤とローズゴールドの、クラシカルで深みのある表情がその腕によく似合う。

ものを選ぶ時の基準は常に"職人技"。機械式時計が冬の時代にあっても頑なにメカニズムを追求してきた同社のものづくりに、ローランド氏は深いホスピタリティを感じたという。

「男にとって、時計は装飾品ではなく、工芸品という位置づけであるべき。人の手の温かみがあるモノには、ダンディズムがあり、色気が宿りますから。だから僕には見た目だけで〝映える〞ような時計はいらない。クラシカルで、主張しないラグジュアリーがしっくりくるんです」

その美意識ゆえ、日々手元で時を刻むこの時計は愛好家たちの目にも留まり、新しい顧客との出会いなど、ビジネス上での広がりをももたらしてくれた。

「どんなに原価が高くなっても妥協はしない、そんなブランドの哲学に非常に魅力を感じます。僕もクラブを率いるいち経営者ですが、本来の気質がビジネスマンというよりは、職人寄りなのだと思います。利益が出なくても、やはり納得するものを届けたい。ぶざまにポリシーを曲げてまで勝つくらいなら、自分のプライドを通して負けるほうを選びますから」

それでも格好よく勝ちますけどね、とローランド氏は微笑む。そして同じくノーチラスの永久カレンダー「Ref.5270」をいつかは手に取りたいと、夢を語った。

「しかし持ちたいのは、やはり一本。だから自分を超えるくらいの後輩が出てきた時など、次のステップアップで選ぶんでしょうね。その時には、今のこの時計を大切な誰かに譲ると、そう決めています」

ROLAND
1992年東京都生まれ。現代ホスト界の帝王と称される。現在、ホストクラブ「THE CLUB」のオーナーを務めるほか、アパレル事業や美容アイテムをプロデュースするなど、実業家としても活躍する。初の自著に『俺か、俺以外か。ローランドという生き方』がある。


Text=野上亜紀 Photograph=五十嵐 真