男を刺激する新作時計#3  人気ブランドの鉄板ウォッチ【バーゼルワールド・レポート】

スウォッチ グループの離脱をはじめ、出展ブランドの激減など、昨年来ネガティブな 情報が飛びかっていたバーゼルワールドが、3月21日~26日の日程で開催された。 果たして、この「世界最大の」ウォッチ&ジュエリーショーは、今年どうなったのか? そこで発表された新作は? そして、現場で明らかになった意外な事実とは。

アイコンモデルの静かなる進化が刺激的

フェアは迷走する、されど時計は進化する――そんな印象のあったバーゼルワールド2019レポート第3回。今回は人気ブランドの“テッパン”というべきアイコンモデルの進化をお届けしよう。

近年、アイコンモデルの人気が高まりを見せている。アイコンモデルは、いわばブランドの看板というべき存在で、そこに歴史、知見、技術の粋が詰まっている。逆にいえば、アイコンモデルを持っていることが、老舗ブランドの証である。ユーザーからすれば、ひと目でどこのブランドかわかる“記号性”の高さも、人気の大きな要因だろう。

2000年にデビューしたアイコンコレクション「J12」を、20周年を機にリニューアルしたシャネル。そのコンセプトは゛何も変えることなく、すべてを変ええる“。「J12」のDNAを守りながら、ケースフォルム、ダイヤルデザイン、ブレスレットのコマの形状などすべてを見直し、アップデート。一見大きな変化を感じさせないデリケートな進化に、故ジャック・エリュ氏が手がけたオリジナルデザインに対するリスペクトを感じさせる。大きな変更点はといえば、資本参加するムーブメントサプライヤーで、有力ブランドにもキャリバーを供給しているケニッシ社製マニュファクチュール・ムーブメントを搭載したこと。シースルーバックから、その姿をつぶさに眺めることができる。

ロレックスは、24時間表示のベゼルを持つ「オイスター パーペチュアル GMTマスターⅡ」の新バージョンを発表。昨年、レッド×ブルーのセラクロムベゼルを備え、5列のジュビリーブレスレットをセットした「GMTマスターⅡ」が登場したが、信頼性の高い新世代キャリバー3285などの中身はそのままに、今年はブルー×ブラックベゼルを採用。価格に対する内容の充実度の高さはさすが。スポーツロレックス人気がますます高まりを見せているなかで、この時計を手にすることも、かなり熾烈を極めそうな情勢だ。

‘17年にセイコーブランドから独立し、さらなるハイエンド路線へと舵を切ったグランドセイコー。その後、国内外で評価を高めてきいる。特に海外で、クラフツマンシップに溢れる作りこみや、日本独特の美意識に注目が集まっている。そんなグランドセイコーから、セイコーの独自機構であるスプリングドライブ誕生20周年を記念するラグジュアリーモデルが登場した。デュアル・スプリング・バレルとトルク・リターンシステムを備え、84時間のパワーリザーブを実現した新キャリバー9R02を搭載。プラチナケースには、風紋が刻まれた雪原をイメージソースとする仕上げが施されている。海外のハイエンドブランドに優るとも劣らぬジャパニーズ・ウォッチの魅力を強くアピールすることになりそうだ。

CHANEL

J12 ファントム
セラミック製一体型ケースを採用し、資本参加するケニッシ社製マニュファクチュールムーブメントを搭載。 そのオールブラック仕様。

世界限定1200本。自動巻き、高耐性セラミックケース、径38mm。¥655,000[予価/8月発売予定](シャネルTEL:0120-525-519)


ROLEX

オイスター パーぺチュアル GMT マスターII
昨年のレッド×ブルーのセラクロムべゼルインサートを備えた「GMTマスターII」に続き、ブルー×ブラック仕様が登場。5列リンクのジュビリーブレスレットをセット。

自動巻き、SSケース、径40mm。¥880,000 [予価/今春発売予定](日本ロレックスTEL:03-3216-5671)


GRAND SEIKO

エレガンスコレクション スプリング ドライブ 20周年記念モデル SBGZ001
セイコー独自のスプリングドライブ誕生20周年記念モデル。84時間のパワー リザーブを持つ新開発キャリバー9R02を搭載。風紋の刻まれた雪原をイメージした模様をダイヤルとケースに施し、和の美意識を表現。

限定30本。手巻き、 Ptケース、径38.5mm。¥8,000,000[7月発売予定](グランドセイコー専用ダイヤルTEL:0120-302-617)


ヴィンテージ感と現代性とのバランスの妙

このところ、アーカイブからのインスピレーションによる、ヴィンテージテイストのモデルが人気を博してきた。実は、今年のバーゼルでは、ここ数年に比べると、ヴィンテージ感を前面に打ちだした新作は、やや控えめな印象もあった。

そんななかで、1956年製のツーカウンター・クロノグラフを下敷きとし、よき時代の香りを漂わせたカール F.ブヘラの「ヘリテージ バイコンパックス アニュアル」は印象に残った。ダイヤルデザインや、全体の雰囲気はオリジナルの特徴を受け継ぎながらも、サイズアップし、オリジナルにはなかったビッグデイトやアニュアルカレンダー機能を追加。現代の技術と往年の味わいとが、絶妙に融合された。

新体制となって2年目のブライトリングは、陸・海・空の各カテゴリーでコレクションの整理・拡充を進め、コラボレーションモデルなども発表。なかでも興味を引いたのは、回転計算尺を備えた定番の「ナビタイマー1 B01 クロノグラフ」をベースとする、’50~’70年代の商業航空華やかなりし時代を象徴するエアライン3社のカプセルコレクション。スイスエア、TWA(トランス・ワールド航空)、パンナムの3バージョンがあり、それぞれ各社のコーポレートカラーをフィーチャーし、サファイアクリスタルバックにはロゴマークが入る。自社製キャリバー01の信頼性の高さはいわずもがな、ちょっとレトロなニュアンスが、今新鮮だ。

グッチの「グリップ」は、まったく新しいモデルでありながら、今後アイコン的な存在になることを予感させるような魅力を備えていた。やや丸みを帯びたスクエアケースに3つのウィンドウを備え、時、分、デイトを表示するスタイルで、どこかしらヴィンテージなニュアンスも感じさせる。最近のグッチといえば、クリエイティブ・ディレクターのアレッサンドロ・ミケーレ氏による、かなり攻めているデザインが人気を博し、ウォッチでもビー(蜂)、スネーク、タイガーなどのモチーフを取り入れたモデルが目を引いてきたが、今回の「グリップ」には、元来時計好きと伝えられているミケーレ氏の、エレガントなヴィンテージテイストが発揮されたという見方ができそうだ。

今回紹介したアイコンモデルの進化形は、いずれも「さすが実力派人気ブランド!」と唸るものばかり。ストレートに我々の物欲を刺激することは間違いない。


CARL F. BUCHERER

ヘリテージ バイコンパックス アニュアル
1956年製クロノグラフを着想源とするヴィンテージテーストのツーカウンタークロノ。ビッグデイト、4:30位置に月表示、アニュアルカレンダー機能も。

888本限定。自動巻き、RG×SSケース、径41mm。¥1,360,000[予価/今秋発売予定](ブヘラ ジャパンTEL:03-6226-4650)


BREITLING

ナビタイマー 1 B01 クロノグラフ 43 パンナムエディション
新体制後2年目のブライトリングから、1950~’70年代の商業航空のよき時代を象徴するエアライン3社のカプセルコレクションを発表。そのパンナムエディション。ブランドカラーのブルーをあしらい、シースルーバックにロゴも入る。

自動巻き、SSケース、径43mm。 ¥980,000[予価/4月発売予定](ブライトリング・ジャパンTEL:03-3436-0011)


GUCCI

グリップ
丸みを帯びたスクエアケースに3つのウィンドウを備え、ディスク式で時、分、デイトを表示。ユニセックスで使えるサイズ感もいい

クオーツ、SSケース、径35mm。¥190,000[7月発売予定](ラグジュアリー・タイムピーシズ ジャパン TEL:03-5766-2030)


#4に続く
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Text=まつあみ靖