“なんでも鑑定団の時計担当”がIWCの手巻きモデルの魅力を分析【ヴィンテージウォッチガイド⑨】

時短とは無縁。手間暇を惜しまず掘れば掘るほど面白くなるヴィンテージウォッチの魅力を、さまざまな角度から掘り下げる本企画。テレビ東京「開運!なんでも鑑定団!」の鑑定士としても知られるケアーズ会長・川瀬友和さんをゲストに迎え、"実用時計の雄"IWCの手巻きモデルの魅力について余すことなく解説する。

スモールセコンドの醍醐味が味わえるIWCの手巻きモデル

マニアの間で“オールドインター”という愛称で呼ばれているIWCのヴィンテージウォッチは、ロレックスやオメガに匹敵する実用性の高さから多くの支持を集めている。全体的に生産本数が多いことから価格も含め、ビギナーにとってやさしいブランドのひとつだと言えるだろう。

「IWCと言えば、“ペラトン構造の自動巻き”に定評がありますが、手巻きモデルも非常に秀逸です。この時計に搭載されているスモールセコンド仕様のCal.88は、その一つ前のCal.83の量産化と共に耐震装置が付いた事でより実用性の向上に成功したものです。Cal.88ベースにした後継機であるCal.89が有名な軍用時計マーク11に採用されたことからも、精度や信頼性は申し分ありません。Cal.88は短命に終わった為、今ではその稀少性から人気を集めています」

デッドストックで見つかった貴重なIWCの手巻きモデル。オリジナルのピッグスキンのレザーストラップまで付属するから驚きだ。 1951年製、手巻き、SSケース、径33mm、¥600,000  
シンプルで力強いCal.88の設計は、インカブロック付きで自ずと耐久性を重視していることが伝わる。こうした質実剛健な作りにこそIWCの魅力がある。

懐中時計から受け継がれたスモールセコンドの設計とは、機械式時計の伝統以外の何ものでもない。

「スモールセコンドは構造上、配置に制約があり、文字盤が大きければ大きいほど、インダイヤルが中央に寄ってしまいます。その点、こちらのモデルのようにケースが小ぶりのヴィンテージウォッチであれば、スモールセコンドの自然なレイアウトが楽しめるのです」

ヴィンテージの世界では着用が難しい時計ほど人気が下火になりがちである。その点もIWCを選べば心配は無用なのだ。

「ヴィンテージウォッチの弱点である防水性能に優れていることもIWCが持つ大きなアドバンテージです。こちらのモデルはスナップバック式の防水ケースに加え、リューズも防水構造になっています。最低限の注意を怠らなければ普段使いならまず問題ないでしょう」

抜群の防水性能を物語るリューズに刻まれた魚のマーク。年式が古ければ古いほどディテールがリアルな描写になる。


ケアーズ森下本店
住所:東京都江東区森下1-14-9
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営:10:00~19:00(月~金曜)、11:00~19:00(土・日・祝日)
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Tomokazu Kawase
1957年東京生まれ。1989年、地元の江東区・森下でケアーズを創業。以来、30年以上もの間、厳選したヴィンテージウォッチのセレクションと自社に工房を構える独自のスタンスが内外で支持されている。現在は同店の会長に就任。テレビ東京「開運!なんでも鑑定団」の鑑定士としても知られている。


Text=戸叶庸之 Photograph=江藤義典