"なんでも鑑定団の時計担当"が一押しするレアモデル5選【ヴィンテージウォッチガイド②】

テレビ東京「開運!なんでも鑑定団!」の鑑定士としても知られるケアーズ会長・川瀬友和さんをゲストに迎え、ヴィンテージウォッチの「今」を全3回にわたって掲載。第2回は名だたるブランドから厳選した5本のレアモデルを紹介する。


オリジナリティを保つ良質な個体を選ぶのが基本

国内のヴィンテージウォッチ専門店の草分け的存在であるケアーズ。その商品構成は実に幅広く、1920~70年代を中心にクオリティにこだわった品々が常時並んでいる。

「これはどんなブランドについても言えることですが、購入のポイントとして、できればブレスレットが付属している個体を狙いたいところです。そもそもヴィンテージウォッチのパーツはどれも希少で年々価格が高騰しています。特にレアなモデルになると後からパーツを探すのは骨が折れます……。ですからオリジナリティはできる限りこだわりたいですね」

知る人ぞ知るユニバーサルの名機「トリコンパックス」の仕様について解説する川瀬さん。

クロノグラフ市場を牽引する名門ロンジンの実力

数あるヴィテージウォッチの中でクロノグラフは最も奥深いジャンルのひとつだと言われている。一部のレアモデルの資産性は極めて高い。

「名門中の名門であるロンジン製のクロノグラフは、サイズ感、ムーブメントの質、文字盤のデザインと三拍子揃った傑作が多いです。こちらのモデルは、ロンジンのクロノグラフ専用自社ムーブメントの三代目にあたるCal.30CHという名キャリバーを積んでいます。軍用時計からはじまったフライバック機能を備えたムーブメントは、耐久性、精度のみならず、仕上げの美しさという点でも抜きん出ている。優れたデザインも人気の理由で当時ならではのディテールを楽しむことができます」

ロンジンのクロノグラフは、人気の高さの加え、生産数が少ないことから資産性が高い。このモデルに関して言えば、コンパクトなプッシュボタンなどのユニークな意匠も評価の対象になっている。1964年製、手巻き、SSケース、径38mm、¥2,900,000

往年の超複雑機構が堪能できるユニバーサルの「トリコンパックス」

機械式時計のクオリティは「最新=最高」だとは限らない。ヴィンテージウォッチの名機では、現代では失われてしまった技術が数多く存在する。

「ユニバーサルは複雑機構を得意としていたメーカー。なかでもこちらの『トリコンパックス』は、クロノグラフ、トリプルカレンダー、ムーンフェイズという3つの機構が搭載された人気モデルです。古いクロノグラフは非防水のモデルが多いのですが、防水仕様のケースを採用しているため、実用性も優れています。こちらの個体の場合、スイスのブレスレット専門メーカーであるゲイ・フレアー製のブレスレットや当時の貴重な付属品が付いていることも評価に値しますね」

唯一無二のスタイルと防水時計の実用性を兼ね備えた「トリコンパックス」は、1940年代から数十年間作られ続けたロングセラー。その人気に比例して、価格は年々上昇し続けている。1960年代製、手巻き、SSケース、径36mm、¥3,000,000

ロレックスのクロノグラフ、通称"プレデイトナ"

ロレックスのクロノグラフといえば、「コスモグラフ デイトナ」が有名だが、それ以前にもさまざまなモデルが展開していた。

「通称“プレデイトナ”と呼ばれるRef.6238はその名の通り、「コスモグラフ デイトナ」の前身にあたるクロノグラフです。ワントーンで統一された文字盤にはいくつのバリエーションが存在します。針を錆びさせないために、時針と分針以外の針がすべてブルースチールで焼きを入れていたりときめ細やかな工夫がなされています。文字盤が焼けてしまっていることが多いのですが、この個体は素晴らしいコンディションを保っています」

プレーンなベゼルを備えたRef.6238「クロノグラフ」は、後続のRef.6239「コスモグラフ デイトナ」よりもシックな印象に映る。1960年代製、手巻き、SSケース、径36mm、¥5,000,000

希少なイエローゴールド製のIWC「インヂュニア」

ロレックス、オメガに匹敵する高い実用性が評価されているIWCのヴィンテージウォッチ。数ある商品の中から川瀬さんが選んだのは、上品なイエローゴールドのケースを持つ「インヂュニア」だった。

「IWCの『インヂュニア』は耐磁時計であるため、ケースは二重構造、文字盤も厚く初期には2枚重ねた仕様も見られます。古い年代だと、文字盤にはIWCのロゴが入らず、筆記体でブランド名が綴られています。IWCは“ペラトン構造”と呼ばれる極めてユニークな自動巻きムーブメントの開発に成功したことで知られています。この機構は、耐久性と巻き上げ効率が飛び抜けて優れているため、メンテナンス次第では現代の時計に比肩する精度を保つことができます。搭載されているcal.8541はカレンダー表示が付くため、普段使いにも最適です。ケース素材が18Kイエローゴールドであることも注目すべき点で、同じ『インヂュニア』でもステンレススチールよりも製造本数が極端に少ないため、いざ探すと状態のいい個体はなかなか出てきません」

いわゆるドレスウォッチとは異なる厚みのあるケースを持つ「インヂュニア」。ヴィンテージウォッチ特有のやわらかな雰囲気ゆえ、イエローゴールドのケースでもこなれた印象に映る。1968年製、自動巻き、18KYGケース、径37mm、¥2,000,000

希少なブレスレットが付属するゼニスのレアモデル

見るからにただならぬ雰囲気が漂うゼニスのヴィンテージウォッチ。小ぶりなサイズ感がレトロなデザインと絶妙にマッチしている。

「『S.58』は軍用時計からはじまったコレクションであり、こちらは回転ベゼルとカレンダー表示が付く後期型にあたります。ご存知のように、ゼニスはクロノグラフを得意とするブランドゆえ、3針のムーブメントに関しては特別なスペックはないのですが、それでも十分な精度は確約できると思います。きめ細やかな作りのオリジナルのブレスレットが付属していて装着感も抜群にいいですね」

ほぼ完璧なコンディションをキープするゼニスの『S.58』。機械式時計の“黄金時代”と呼ばれている1960年代の時計らしい素晴らしいクオリティにも注目したい。1960年代製、自動巻き、SSケース、径37mm、¥1,250,000


ケアーズ森下本店
住所:東京都江東区森下1-14-9 
TEL:03-3635-7667
営:10:00~19:00(月曜~金曜)、11:00~19:00(土曜・日曜・祝日)
休:水曜(祝・祭日を除く)
https://www.antiquewatch-carese.com/
Tomokazu Kawase
1957年東京生まれ。1989年、地元の江東区・森下でケアーズを創業。以来、30年以上もの間、厳選したヴィンテージウォッチのセレクションと自社に工房を構える独自のスタンスが内外で支持されている。現在は同店の会長に就任。テレビ東京「開運!なんでも鑑定団」の鑑定士としても知られている。


Text=戸叶庸之 Photograph=江藤義典


"なんでも鑑定団の時計担当"がビギナーに薦める実用時計4選【ヴィンテージウォッチガイド①】