"なんでも鑑定団の時計担当"がビギナーに薦める実用時計4選【ヴィンテージウォッチガイド①】

テレビ東京「開運!なんでも鑑定団!」の鑑定士としても知られるケアーズ会長・川瀬友和さんをゲストに迎え、ヴィンテージウォッチの「今」を全3回にわたって掲載。第1回は入門機にふさわしいオメガ&ロレックスの実用時計4本を紹介する。


ヴィンテージウォッチ専門店で購入するメリット

個体のオリジナリティやコンディション、果ては真贋などが問われてくるヴィンテージウォッチの購入は、たとえ熟練のマニアでも一筋縄ではいかない。それこそ骨董品も然りだが、「高価だから安心」という方程式は通用しないと考えた方が賢明だろう。

「SNSなどでの個人売買も盛んになっていますが、ビギナーの方はヴィンテージウォッチの専門店で買うことをおすすめします。そこには、いくつか理由があるのですが、そのひとつがメンテナンスなどのアフターケアです。機械式時計は新旧問わず、使い続けていくうちに必ずトラブルが生じます。その点、専門店では一部の例外を除くと何らかの保証がつきます。これがあるかないかで購入後の安心感が大きく変わるはずです」

ヴィンテージウォッチという鉱脈は掘りきれないほど奥深い。そこでのより良いスタートを切るためにも1本目の購入が重要な鍵になる。なぜなら、それがある種の成功体験となって、次のステップへと導いてくれるからだ。

「1本目に選ぶのは、なるべくシーンを限定せずに使える時計が好ましいと思います。次に普段使いする上で目を向けるべきポイントが“防水性”です。ヴィンテージウォッチは基本的に水が大敵ですから無視することはできません。これらの条件を踏まえると購入すべきアイテムがかなり限定されるはずです」

ビギナーにおすすめは、オメガ&ロレックスの実用時計

川瀬さんが選んだ4本の時計は、飽きのこないデザインであることを前提に、いずれも普段使いできる実用性を兼ね備えている。まずは「シーマスター」を中心に多彩な防水時計が揃うオメガの魅力について話を聞いた。

「クルマやバイクと同じ話になりますが、機械式時計もデザインの良し悪しだけで選ぶというのはリスクが伴います。ですから、購入する際は必ず機能性にも目を向けてみましょう。例えば、オメガの場合、普及モデルの開発に力を注いでいたため、量産用のムーブメントであっても非常にクオリティが高いことが特徴として挙がります。そのため、精度・堅牢性ともに申し分ありません。自動巻きか、手巻きかどうかは、好みで選んで問題ないかと思います。ケースの構造も防水を意識したものが多いため、普段使いに適しています。ジュビリーブレスレットの出来栄えも大変素晴らしい。コマ数が多いこともあり、なめらかな装着感があります。ただし、伸び切っていると元には戻せないので必ずコンディションを重視したいですね」

「シーマスター」とは、当時のオメガが手掛けていた防水時計全般を指すコレクション。こちらはギョウシェダイヤル☓スモールセコンドという、いかにもヴィンテージらしい仕様が魅力。自動巻き、SSケース、径34mm、¥220,000
オメガの「コンステレーション」は、文字盤の作りをはじめ、高級機らしい仕上げが魅力。秀逸な自動巻きムーブメントCal.505を搭載。1950年代、自動巻き、SSケース、径35mm、¥480,000

オメガと同様、実用時計の絶対王者であるロレックスもビギナーにやさしいブランドだと言える。エントリーモデルであれば、20~30万円前後から購入できる。

「ロレックスがすごかったのは、どこよりも早く自動巻きの機構に目をつけていたところです。しかもハーフローターや主流だった時代にすでに全回転のローターを着手し、1950年代前半にリバージングシステムを開発して特許を取得しています。これによって、あらゆる姿勢で精度を保つことができるようになったわけです。実際、ヴィンテージウォッチに該当する時計は非防水の仕様が多いのですが、ロレックスはその点でも優秀です。かの有名なオイスターケースの信頼性はもちろん、リュウズがスクリューダウン式なので水の侵入を防いでくれます」

こちらのRef.6565「オイスター パーペチュアル」は、両方向回転の自動巻きムーブメントを採用しはじめた記念碑的モデル。適度に小ぶりな34mm径のケースサイズにも注目。1955年製、自動巻き、SSケース、径34mm、¥570,000
通称“フラットバック”と呼ばれる Ref.3009「オイスター クロノメーター」。ロレックスの自動巻きを一躍有名にした人気の“バブルバック”と近いデザインであるが、こちらは手巻きムーブメントが採用されている。1930年代製、手巻き、14KYGケース、径32mm、¥1,100,000

ヴィンテージウォッチの魅力として欠かせないのが、絶妙なバランスのサイズ感にある。

「オメガやロレックスに限らず、ヴィンテージウォッチ全般に言えることですが、現行の時計と比べると小ぶりなサイズ感であることも注目すべき点です。35mm前後のケース径が多く、シャツの袖口に引っかかることはまずありません。つまるところ、ファッションアイテムとしても秀逸なのです」


ケアーズ森下本店
住所:東京都江東区森下1-14-9 
TEL:03-3635-7667
営業時間:10:00~19:00、土・日・祝日11:00~
休:水曜(祝・祭日を除く)
https://www.antiquewatch-carese.com/



Tomokazu Kawase
1957年東京生まれ。1989年、地元の江東区・森下でケアーズを創業。以来、30年以上もの間、厳選したヴィンテージウォッチのセレクションと自社に工房を構える独自のスタンスが内外で支持されている。現在は同店の会長に就任。テレビ東京「開運!なんでも鑑定団」の鑑定士としても知られている。


Text=戸叶庸之 Photograph=江藤義典


掘れボ掘るほど面白くなるヴィンテージウォッチという選択