老舗時計ブランド「ボーム&メルシエ」が189年貫いてきたこととは?【COOインタビュー】

時代の変化とともに革新的な技術と最先端のデザインを追求してきた1830 年創業のボーム&メルシエ。7月には、過去の名作を展示する「アーカイブコレクション特別展覧会」を10年ぶりに東京で開催した。GOETHE WEBでは、開発、流通からアフターサービスまでを統括するダニエル・ブレラード氏にインタビュー。ブランドの哲学や将来の展望などを大いに語ってもらった。


「時計メーカーとして一度も途切れることなく続いてきた」

――7月に東京で10年ぶりとなる「アーカイブコレクション特別展覧会」を開かれました。まずは、この時期に東京で開催された意義を教えて下さい。

「日本の方々は時計の歴史に元々関心を寄せてくださっていて、私たち老舗メゾンの歴史にも興味を持っていただいています。ボーム&メルシエは189年の歴史があり、時計メーカーとして一度も途切れることなく続いてきたことがひとつの特徴。本社には800本もの時計をコレクションしており、それらの時計はブランドのヒストリーをそのまま反映するものだと思っています。過去のミュージアムピースを見ることは、新たなモノづくりへのインスピレーションにもなります。このような展覧会は、なかなか他の国では開催しないのですが、今回、日本で特別にご紹介をさせて頂く機会を持つことにしました」

――ボーム&メルシエは新作を開発する上で、過去のミュージアムピースのどういったところからヒントを得ていますか?

「デザイン、技術、すべての点において私たちは過去のミュージアムピースを見て、新作を考えていると言えます。現在の『クリトン ボーマティック』や『クラシマコレクション』も、もちろん過去のモデルを踏襲しています。これらのコレクションは、シンプルでクラシックで上品な顔をしていることが特徴で、それはボーム&メルシエの柱ですからね」

「手の届く価格で品質、クオリティーを求めていく」

――ブレラード氏は、ボーム&メルシエだけでなく、過去にはモンブランやダンヒルの開発チームも指揮してきたと聞いている。これまでのキャリアを簡単に教えてください。

「8年間プライべートレーベルの時計ブランドで働いた後、今から20年前にリシュモングループに入りました。当時は、エンジニアを中心としたチームがあり、そのチームが複数ブランドを見ていました。そういう意味で、私もモンブランやダンヒルの開発に関わっていました。その後、開発ディレクターとしてボーム&メルシエを担当するようになった。今では、デザイン、製造、組み立ての完成まですべて見るようになりましたので、少し役割は変わってきましたね」

――これまでの"開発者"としてのキャリアが、現在のCOOとしての仕事にどのように生きていますか?

「実際に現場にいたこともあり、ボーム&メルシエが強みとする部分を常に考えることができていると思います。強みとは、適正価格、いわゆる手の届く価格で品質、クオリティーを求めていくということです。また、時計を常に追求しているという意味では、"継続するモチベーションになっている"と思います」

「お客様の視点に立った時に何が必要か」

――ボーム&メルシエという老舗ブランドにおいて、貫かなければならないことは何ですか?

「私たちがフィロソフィーとして凄く大事にしているのが、単なる時計のスペックを追求してしまうのではなくて、お客様の視点に立った時に何が必要かと考えて時計を作ることです。それは今後も必ず続けていきます。また、"妥協を許すことなく、最高品質の時計だけを作る"というのが創業家のモットーとなります。これがメゾンの中心となっている考え方で、時計作りにも常に反映されています」

――今後、ブランドをどのように進化させていきたいですか?

「昨年発表した『クリフトン ボーマティック』は非常に高いスペックで、非常に誇りを持っており、製造の中心と考えています。段階を踏んでということではありますが、やはりそれを柱にして拡大していくと考えていただいていいです。今年の新作のひとつにパーペチュアルカレンダーを出していますが、これは『クリフトン ボーマティック』のムーブメントの上にモジュールを組み合わせて誕生したコンプリケーションウォッチです。近い将来、ご紹介できると思いますが、『クリフトン ボーマティック』をベースにした新たなコンプリケーションを今まさに開発に取り組んでいるところで、それが来年の新作になっていくと考えていいです」


DANIEL BRAILLARD
スイス・ローザンヌ生まれ。建築業界を経て、1991 年から時計業界へ。'99年にリシュモングループに入社。ボーム&メルシエ、モンブラン、ダンヒルの開発チームを指揮した後、ボーム&メルシエのインダストリアルディレクターに就任。2006年よりインターナショナルカスタマーサービスも統率。'13年、ボーム&メルシエのCOOに就任。開発、流通からアフターサービスまで全てを統括している。


Composition=ゲーテWEB編集部