オールブラックスの英雄、ダン・カーターがタグ・ホイヤーの時計を愛用する理由とは?

Don’t Crack Under Pressure.(プレッシャーに負けるな)――時計ブランド、タグ・ホイヤーのメッセージに共鳴し、多くのレジェンド・アスリートがタグ・ホイヤーを腕に巻いてきた。ラグビー界の英雄、ダン・カーターもそのひとりだ。


プレッシャーはエネルギーが沸き立つ瞬間

2015年ラグビー・ワールドカップ決勝、ニュージーランド対オーストラリア。後半30分、オールブラックスはリードしていたものの試合の流れは完全にワラビーズ。21-3から21-17まで一気に追い上げられていた。そんななか、オールブラックスのスタンドオフがディフェンスの猛烈なプレッシャーを受けながらも冷静にドロップゴール。これが見事に決まり、ニュージーランドは再び流れを引き戻すことに成功。見事に優勝を果たした。

そのゴールを決めたのがダン・カーター。オールブラックスの英雄だ。

「ハイレベルなスポーツに関わる人はみなそうだと思いますが、私にとってもプレッシャーは心躍る瞬間、逃げるのではなく立ち向かいたくなる、そんなエネルギーが沸き立つ瞬間です。なぜなら、それを乗り越えた先には大きな歓喜や達成感があるから。あのドロップゴールもそうですが、アメイジングなプレイは、大きなプレッシャーがかかっている瞬間にできたりするものなのです。ワールドカップの決勝というのは、他のどんな試合よりもプレッシャーがかかるものです。勝ったときはこれ以上の喜びはないと思えるほどの驚くべき喜びでした」

ダン・カーターといえば、ラグビー世界最強軍団オールブラックスの司令塔としてワールドカップに3回出場、そのうち2回優勝。2005、'12、'15年には世界最優秀選手に輝いたレジェンドだ。現在は代表の舞台からは引退したものの、ニュージーランド代表としては112キャップを誇り、現在もテストマッチで世界歴代1位の1598得点の記録保持者として君臨している。

そのカーターの腕元を常に飾るのがタグ・ホイヤーの腕時計だ。タグ・ホイヤーのモットーは”Don’t Crack Under Pressure.(プレッシャーに負けるな)”であり、カーターはタグ・ホイヤーのブランドアンバサダー(2017年就任)でもある。

「“Don’t Crack Under Pressure”――素晴らしいモットーだと思いませんか。ハイパフォーマンスが、求められるアスリートはきっと強く親近感を感じると思います。私はタグ・ホイヤーが大好きで、実はアンバサダーになる前から愛用、もう15年ほどタグ・ホイヤーの時計を身に着けております。10個は持っているんじゃないでしょうか。今年は50周年ということで、よくモナコを着けていますよ(インタビュー時も着用)。アンバサダーに就任時、タグ・ホイヤーの時計の工場にも行きましたし、ディテールにこだわったハイパフォーマンスの現場を見て、もっとタグ・ホイヤーが好きになりました」

カーターは現在は神戸製鋼コベルコスティーラーズでプレー。昨シーズン加入するやいなや、チームをトップリーグでは15季ぶり2度目、日本選手権では18大会ぶり10度目の優勝に導いた。

「今行われているワールドカップが終わると、神戸での新しいシーズンが始まります。昨年は優勝できましたが、1シーズンだけよかったというのではいけません。スティーラーズには努力というものをしっかり身に付けてもらって、長年勝ち続けるようなチームになってもらいたいと思っています。だからセカンドシーズンこそが重要でして、うまくチームメイトを引っ張っていきたいです。ただ、私は決して生まれながらのリーダーではありません。私が心がけているのは、行動で示していくこと。結局は、それが周りのモチベーションを上げていくのですから。そのためには、自分自身が常に成長し続けるという謙虚な姿勢がなければ、人々の心にも響かないと思っています。例えばオールブラックスは、ゲームの後は必ずロッカールームをきれいにしてから帰ります。それも若い選手やスタッフにやらせるのではなく、キャプテン自らがモップをもってみんなのごみを拾って片づけます。この習慣がオールブラックスには根付いています。感謝の気持ちを忘れないということが、人を傲慢にせず、常に謙虚にさせてくれるのではないでしょうか」

Licensed by Getty Images

現在、ラグビーワルドカップ真っ只中。カーターも日本とニュージーランドを行き来しながら、試合をチェックしているという。

「日本とニュージーランド、ラグビーと家族、今はとってもいいバランスで過ごせさせてもらっています。やっぱり私にとって家族はなによりも大切なものです。以前はラグビー一辺倒でしたから、例えば試合に負けて家に帰ったら落ち込んで、ただただラグビーのことだけを考えて生活していました。でも、今は家に帰るとラグビーのことを忘れられる。自分の人生の中のひとつとしてラグビーを捉えられるようになりました。家族といる時間は、ダン・カーターというラグビープレイヤーとしてだけでなく、人間として、一人の夫として、一人の父として、自分自身の様々な役割を思い起こさせてくれる楽しい時間なのです。ワールドカップで勝っても、私は家に帰ったら子供のオムツを替えますし、お皿も洗います。それをやることが自分を人間らしい人間に戻してくれるのだと思っています」

最後に、今回のワールドカップについて聞いてみた。日本を応援しているということだが、もし日本が予選グループを2位で突破すると、1位で抜けたニュージーランドとトーナメント1回戦で当たることになるが……。

「私の予想では日本は2位通過ではなく1位で通過します。で、ニュージーランドも1位で通過する。そして決勝戦で当たります。もし、そうだとしても、ごめんなさい、応援するのはニュージーランドです(笑)。きっと素晴らしい決勝戦になると思いますよ」

Dan Carter
1982年ニュージーランド生まれ。2003年ニュージーランド代表デビュー。ゲームを操る司令塔として活躍し、’15年までに1598得点(歴代1位)をあげた。ワールドカップでは2度の優勝に貢献、’05年、’12年、’15年に年間最優秀選手賞を受賞。世界最高のスタンドオフと評される。現在は神戸製鋼コベルコスティーラーズに所属する。


ダン・カーター着用モデル

ホイヤー モナコ キャリバー11 クロノグラフ
1969年の発表。タグ・ホイヤー のアイコン「モナコ」は、世界初の自動巻クロノグラフムーブメントを搭載し、防水性も備えた角型時計。スティーブ・マックイーンが'71年の映画「栄光のル・マン」で着用したことで話題となり、現在も人気を誇る。今年は誕生50年、限定モデルも登場している。自動巻き、SSケース、カーフストラップ、39㎜×39㎜。¥630,000(LVMHウォッチ・ジュエリー ジャパン タグ・ホイヤー TEL 03-5635-7054)


Text=八木基之(ゲーテWEB編集部) Photograph=堀内遼太郎