時計のプロが選ぶ「仕事で勝ち抜く腕時計」 #3 TANAKA今池本店 店長 岩﨑正道

この時世、時刻を知るだけならば、スマートフォンでも十分だ。では、なぜ手元に腕時計が必要なのか。それは、男の品格を上げ、信用度を高め、そして、コミュニケーションの端緒ともなってくれるから。すなわち、腕時計を着けるという行為が、仕事面においても大きな意味をもつということだ。そこで、時計のプロに「仕事で勝ち抜く」をテーマに、“はじめての腕時計”としてベストな3本を厳選いただいた。


いわゆる"多数派"に属さない独自の感性を表現

VACHERON CONSTANTIN
フィフティーシックス・オートマティック

自動巻き、SSケース、40mm。¥1,210,000(ヴァシュロン・コンスタンタンTEL 0120·63·1755)

現存する世界最古のウォッチメーカー、ヴァシュロン・コンスタンタン。その輝かしい歴史に培われた時計作りに軸足を起きつつ、一方で弛まぬ先端性を追求し、今も最高峰のひとつに数えられる。岩﨑氏がプッシュするのは、昨年登場して話題を呼んだ最新シリーズの「フィフティーシックス」のベーシックな三針デイト。

「実力、経験、時の運。“仕事で勝ち抜く”ためにはそのすべてが必要だと思います。が、私が最も必要だと思うのは、“ONE OF NOT MANY(=多数に属さない者)”というスタイル。多様化する時代にあって、他にはない、自分だけの光り輝く個性。この時計ならば、そうした自己表現の一助になることは間違いないのです」

本ブランドの主要価格帯が200万円をくだらない中で、100万円代という戦略的価格も話題に。

「この価格でヴァシュロン・コンスタンタンを選べることも魅力ですし、実際、周囲の同世代で選んでいる人も少ないはず。自らの仕事に対する士気も高めてくれるでしょう」


誠実にして遊び心をのぞかせる大人な一本

ZENITH
クロノマスター エル・プリメロ オープン

自動巻き、SSケース、径42mm。¥925,000(ゼニス ブティック銀座 TEL 03-3575-5861)

「ときとして、ビジネスにおいては遊び心も必要です。洒脱で趣味人と呼ばれる人は、魅力的であることが多い。また、そこから生まれるコミュニケーションも仕事に生かしているものです」

そこで推奨するのが、今年で誕生50周年のアニバーサリーを迎える名機「エル・プリメロ」搭載の人気モデル。

「機械式時計の心臓であるテンプや輪列の一部を覗かせるダイヤル、そして、オリジナルを踏襲した3色のダイヤルカラーは、遊び心そのもの。同時に、歴史ある名門であるゼニスのフラッグシップということで、信頼性も十分。時計がわかる人ならば、相手に信頼感を与えることもできるはず。もちろん今後の自身になることも間違いなしですね」

誠実さと遊び心という二面性から、大人の余裕を感じさせる時計といえるのではないだろうか。


安心感と時計通を刺激するビンテージ感にぞっこん

BREITLING
プレミエ B01 クロノグラフ42

自動巻き、SSケース、径42mm。¥920,000(ブライトリング・ジャパン TEL 03-3436-0011)

1940年代のモデル「プレミエ」に範を取りつつ、現代のエレガントなシーンにもマッチするクロノグラフをリリースした新CEOジョージ・カーン体制のブライトリング。本作は、自社製キャリバーB01を搭載したツーカウンタークロノグラフだ。

「私ども時計専門店からしても、ブライトリングの自社製ムーブメントは安心感が非常に高い。出荷する全機にCOSC(スイス公認クロノメーター協会)認定を受けているうえに、5年のメーカー保証があります。まさにこうした安心感は、ビジネスにおいても模範になるものでしょう。同時に、ファンも垂涎のかつてのモデルを踏襲したヴィンテージ感にも心惹かれるものがあります。スイス機械式クロノグラフの先駆者的存在ともいわれるブライトリングの一本は、持っていて損はないでしょう」と太鼓判を押す。


Masamichi Iwasaki
1945年創業で、東海エリアにおいて正規取扱ブランドを多数誇る時計と宝飾の老舗、TANAKA。その本店を取り仕切るのは、アラフィフを迎えるという岩﨑店長。時計を着ける感動を日々伝え続けている。とあるブランドのスイス訪問時には、その風貌から本国スタッフから「イニエスタ」と呼ばれる愛されキャラ。


Text=高村将司