今さら聞けない! 機械式腕時計7大機構<パワーリザーブ編>

クロノグラフ、トゥールビヨン、永久カレンダー、ムーンフェイズ、レトログレード、パワーリザーブ、ミニッツリピーター。いつの時代も大人の男たちを魅了し続けてきた機械式腕時計には、こうした数々の革新的な「機構」が存在する。時計好きを公言しているあたなは、本当にすべてを理解しているだろうか? 今さら聞けない基本的な機構を、時計ジャーナリストの篠田哲生氏が徹底解説する。第6回は「パワーリザーブ」。  


【パワーリザーブ】

機械式ムーブメントは香箱と呼ばれる動力ゼンマイが歯車を回す力を、脱進機というパーツ群で正確に制御している。脱進機はテンプとアンクル、ガンギ車で構成され、このテンプというパーツが常に正確に振動することが、回転をコントロールするカギとなる。

振動するバランスが悪くなると、正しいタイミングで回転させることができなくなり、精度に誤差が生じるのだ。テンプの振動は香箱から伝わる力の変化にも左右される。常に安定した力が供給されれば、それだけテンプの振動も安定し、高精度を保てるということになる。それゆえ時計ブランドはなるべく長時間駆動すなわちロングパワーリザーブのムーブメントを作るのだ。

長時間時計が駆動するメリットは他にもある。繊細なパーツをたくさん使っている機械式時計は、外部と内部をつなぐリュウズが弱点になる。ここを頻繁に触ると故障の遠因になるし、締め込みが甘くて内部に水が浸入してしまうかもしれない。その点、ロングパワーリザーブモデルであれば、頻繁に使わなくてもゼンマイがほどける可能性は低くなるので、時刻合わせのためにリューズに触れる機会は格段に減るだろう。

長時間駆動ムーブメントを作る手段として最も明快なのは、香箱の数を増やすこと。数が多いほど長く動くようになるが、その分スペースが必要になるので、設計担当者はかなり頭を悩ませている。さらにパーツを軽くしたり加工精度を上げたりすることで、効率的に機構を動かすのも重要。

ロングパワーリザーブとは総合力の表れなのだ。最近のトレンドは、金曜日の夜に帰宅して時計を外しても、月曜日の朝まで動き続ける"日巻き"。なかには1000時間(約42日)も連続駆動するモデルも存在する。


注目のパワーリザーブはこの1本!

PARMIGIANI FLEURIER

カルパ エブドマデール
“神の手を持つ時計師”と称賛され、博物館クラスの時計を数多く修復してきたミシェル・パルミジャーニ。そして、彼の工房を発展させる形で、1996年に立ち上がったのが、時計ブランド「パルミジャーニ・フルリエ」である。同社の特徴はデザインとムーブメントにあり、このモデルはブランド設立時から大切に守られてきた古典であり、もっとも美しいプロポーションを生む出す黄金比にもとづいた設計と、大きく張り出すラグが特徴。ちなみに"エブドマドール"とは、フランス語で「1週間」の意味。ケースにみっちりと収まる自社製のトノー型ムーブメントは8日間駆動する。

手巻き(Cal.PF110)、2万1600振動/時、パワーリザーブ8日間、18KRGケース、縦42.3×横32.1㎜。¥3,400,000(パルミジャーニ・フルリエ TEL 03-5413-5745)


Text=篠田哲生


【レトログラード】


【ムーンフェイス】