時計のプロが選ぶ「仕事で勝ち抜く腕時計」 #4 時計ジャーナリスト 本間恵子

この時世、時刻を知るだけならば、スマートフォンでも十分だ。では、なぜ手元に腕時計が必要なのか。それは、男の品格を上げ、信用度を高め、そして、コミュニケーションの端緒ともなってくれるから。すなわち、腕時計を着けるという行為が、仕事面においても大きな意味をもつということだ。そこで、時計のプロに「仕事で勝ち抜く」をテーマに、“はじめての腕時計”としてベストな3本を厳選いただいた。


極めて実用性の高いエレガントウォッチ

CHANEL
J12

自動巻き、高耐性セラミックケース、径38mm。¥632,500(シャネルTEL 0120-525-519)

「ファッション性の強い、お遊びウォッチと思うなかれ」と、本間氏がリコンドするのは、セラミックウォッチの世界にラグジュアリーをもたらした、シャネルが誇るアイコンウォッチ、J12だ。

そのリニューアルにより、新作時計展示会バーゼル ワールド 2019における目玉のひとつだった。変更箇所は全体の約70%におよぶものの、見た目の印象を変えずアイコニックな存在感をキープ。エレガンスはまるで変わっていないのだ。

「傷に強いために思いっきり日常使いができる高耐性セラミック製。ブラックの艶は、スーツスタイルにも映えます。また、軽くて着け心地がよいうえに、汗で変質しない。これは、特に湿度のある日本の気候では重要なポイントです」と見た目に比肩する実用性の高さを評価。格が上がるうえに気品をもたらす無二の存在となるだろう。


王道の安心感と記念モデルの特別感を堪能

OMEGA
スピードマスター プロフェッショナル 東京 2020 リミテ⁠ッド エデ⁠ィシ⁠ョンズ

手巻き、SSケース、径42mm。日本限定2020本。¥780,000(オメガお客様センター TEL 03-5952-4400)

オリンピックの公式タイムキーパーを務めるオメガが、看板モデル「スピードマスター」でそのスポーティな世界観を表現した開催国、日本の限定モデル。搭載するのは、ムーンウォッチのものをベースに進化させた手巻きの名機Cal.1861だ。

「スピードマスターは、世界のどこでも、どんなシーンでも誇れる鉄板のロングセラーです。これまでも記念モデルは数多くあれど、自国でオリンピックが開催された2020年を思い出に残せる点でも特別」とスペシャル感に言及しつつ、「陽極酸化処理が施されたベゼルリングや、オメガが得意とするセドナゴールドを用いたサブダイヤルの美しさは絶品」と、審美性にも賛辞を贈る。王道モデルの安心感と記念モデルの特別感が相まって、えも言われぬ満足感をもたらすはず。

「迷ったら、とりあえずこれ買っとけ、と言いたいですね(笑)」


派手さを抑えた控えめさが、特有の色気を放つ

HERMÈS
アルソー 78

クオーツ、SSケース、径40mm。¥375,000(エルメスジャポンTEL 03-3569-3300)©Calitho

「時計だけを作っている、ガチな専業メーカーでは出せない色気がある!」

1978年にアンリ・ドリニーがデザインした、鐙から着想を得た上下非対称のラグを持つ定番ラウンドウォッチ「アルソー」の最新モデルを絶賛。

「グレイン仕上げのダイヤルとマイクロブラスト仕上げのチタンベゼルが織りなす、グレーのグラデーションからは、派手さを抑えたインテリジェンスが漂います。ドレスウォッチの定型的な仕様である二針であるために、マスキュランな着こなしだけでなく、エレガントな着こなしにも似合いますね」

ストラップに使用されるレザー「ヴォー・バレニア」もさすがエルメスといったところで、ドレッシーな風格を身につけたいと願い若い人にこそ、トライしてみてほしい一本。


Keiko Homma
毎年、スイス取材を欠かさない時計&宝石ジャーナリスト。女性誌、ライフスタイル誌、時計誌などに向けた専門性の高い記事の執筆や、イベント出演、セミナー講師など、幅広く活躍。かつてジュエリーデザイナーだったという異色の経歴の持ち主。男の手元にも一家言あるバブル世代の素敵なマダム。


Text=髙村将司