仕事で得する腕時計とは?【玄人を唸らせる"ツウ"な時計】

高級時計とひと口に言っても、哲学や表現される世界観は千差万別。この世にあるメーカーをすべて把握するのは骨だろう。 そこで、高級時計をはじめて手に取るビギナーに向けて、編集部がブランドごとに「仕事で得する」お薦めモデルを厳選し、解説を添えた。 今回は時計のプロを唸らせるような“ツウ”な、お薦めをブランドごとにそれぞれ紹介する。


①ベル&ロス

ミリタリーウォッチの機能性を仕事でも
ファッション通には、人気の角形モデル「BR 01」でもおなじみかもしれない。「形は機能に従う」というコンセプトのもと、航空機の計器に着想を得た視認性の高いミリタリーウォッチを次々とリリースし、現在の地位を確立した。近年では、カーボンやセラミックなどの新素材を積極的に採用したハイエンドなウォッチで先進性をアピールする。一方で、ラウンド型の「BR V」シリーズを小型化し、現代のニーズに合わせて第3世代にアップデート。角形の「BRシリーズ」も近年はサイズダウンし、当初はレディスだった39㎜サイズの「BR S」も拡充。スマート化することでビジネスでの応用も可能となった。ミリタリー由来の骨太感もアクセントとなるだろう。

BELL & ROSS[ベル&ロス]
[創業年] 1992年
[創業者] ブルーノ・ベラミッシュ、カルロス・ロシロ
[創業地] フランス/パリ
[CEO] ブルーノ・ベラミッシュ、カルロス・ロシロ
[アンバサダー] ルノー・スポール F1チームなど
[トリビア] 角形「BR 01」が、ラルフ ローレンの広告に使用され一躍話題に。

BR V2-94 スティール ヘリテージ
1940年代の航空機器にオマージュを捧げたビンテージコレクションの第3世代となる「BR V2」のクロノグラフ。マット仕上げの文字盤にサンドカラーのスーパールミノバを塗布したインデックスが、ビンテージ感を高める。また、下地の仕上げを変えたツーカウンターのサブダイヤルと相まり視認性を実現。

自動巻き、SSケース、径41mm。¥570,000

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②ボール ウォッチ

あらゆる過酷な環境下でも正確に時を刻む
発祥は、19世紀末のアメリカ。創業者は、正確な時間管理に基づいた鉄道運行システムを開発。そうした「産業に貢献できる機能を持つ時計を」という開発精神は、スイスのラ・ショー・ド・フォンに拠点を移した今も一貫されている。それは、「あらゆる過酷な環境下でも正確に時を告げる」というミッションを負ったタフウォッチを見れば明らか。例えば、ひげゼンマイを保護し、耐衝撃性を高めた「スプリングロック耐震システム」やリュウズにビルトインされた自動減圧バルブ、独自の夜行システム「マイクロ・ガスライト」など、多くの独自機能を有する。実際に過酷な環境に身を置くことはなくとも、そのタフネスが着用者の心強い味方となってくれるはずだ。

BALL[ボール ウォッチ]
[創業年] 1891年
[創業者] ウェブスター・クレー・ボール
[創業地] アメリカ/クリーブランド
[CEO] フランシスコ・ヘレラ
[アンバサダー] ポール・ジシュカ、オーエン・ギャリオットなど
[トリビア] 鉄道事故を契機に、創業者は正確な時刻の鉄道運行システムを開発。

ストークマン ストームチェイサー プロ BLACK MOP
堅牢性を特徴とする「ストークマン」から登場したのは、5000Gsの耐衝撃性を持った新作クロノグラフ。タフなボディながら、ダイヤルには華やかなマザー・オブ・パールをあしらった個性派。ベゼルには、光と音の差をクロノグラフで計測して距離を算出できるテレメータースケールを備える。

自動巻き、SSケース、径42mm。¥276,000

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③ポール ピコ

コツコツと積み上げた信頼性が魅力の中堅
1970年代、スイス時計界が「クオーツショック」に喘いでいた最中、ひとりのイタリア人企業家マリオ・ボイオッキが立ち上がった。機械式時計をこよなく愛する彼が、その再興をはかるべく時計産地のジュラ地方に時計工房を設立したのだ。優秀な職人を集めただけでなく、その地域の若手も育成したというから心意気にも惹かれる。なお、ブランド名は伝説の時計師であるピコから命名。時計の技術を広く知らしめることを目的とした。時計界では新興といわれるも40年を超えて愛される存在に。とりわけ、大きなローターにより巻き上げ効率を高めた自動巻きムーブメントの「メガローター」はアイコニック。実直な物作りを愛するビジネスマンに推奨したい。

PAUL PICOT[ポール ピコ]
[創業年] 1976年
[創業者] マリオ・ボイオッキ
[創業地] スイス/ル・ノワールモン
[プレジデント] マリオ・ボイオッキ
[トリビア] 1993年、世界初となるパワーリザーブつきラトラパンテを発表。

フィルシャー メガローターGMT
ラウンドケースの定番「フィルシャー」に加わったのが、ブランドが誇る大きなローター“メガローター”を搭載したGMTモデルだ。グロスラッカーを塗り重ねてハーフマット仕上げとした東半球が美しく描かれる。世界限定88本。

ブルー文字盤。自動巻き、SSケース、径42mm。¥612,000

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④モーリス・ラクロア

ケースもムーブも内製する中堅の実力派
スイス時計界においては若い部類に属するモーリス・ラクロアだが、創立40年を超えており、その実力からすでに名門と呼んでいいだろう。2006年に発表した自社製ムーブメントによって、いわゆる「マニュファクチュール」の仲間入りを果たした。その後も自社製キャリバーを搭載するコレクション「マスターピース」においては、機能性とデザインが両立している文字どおりの「傑作」を多く輩出。同時に、自社製造されるケースのクオリティも時計界で一目置かれている。その魅力が存分につまっているのが、2016年に登場した「アイコン」シリーズだ。エッジの立ったスポーティなデザインが人気を呼び、今なおラインナップを拡充している。

MAURICE LACROIX[ モーリス・ラクロア]
[創業年] 1975年
[創業者] デスコ・ド・シュルテス
[創業地] スイス/セイネレジェ
[CEO] ステファン・ウェザー
[アンバサダー] 笠原将弘、ジョー・ジョナスなど
[トリビア]「 アイコン」の祖となっているモデルの名は「カリプソ」だ。

アイコン オートマティック
2016年、往年のモデル「カリプソ」を復刻し、クオーツウォッチとして登場した「アイコン」に今年、自動巻きモデルが仲間入り。サテンとポリッシュで仕上げられたシャープなケースと同様、5連のブレスレットも美しく磨かれ、そのクオリティの高さが見て取れる。立体的なフォルムからは、風格さえ漂ってくる。

自動巻き、SSケース、経42㎜。¥195,000

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⑤クエルボ・イ・ソブリノス

ラテンの香りを醸せるアツい魂の時計
ハバナの魂が宿るスイス時計。クエルボ・イ・ソブリノスが一貫して表現するのが、ブランドの起源であるキューバのスピリットだ。19世紀末、栄華を極めたハバナでオープンしたセレブリティが集う時計宝飾店、クエルボ・イ・ソブリノス。ヘミングウェイやアインシュタインなど、20世紀を代表する大物たちが集ったという。そんなショップのオリジナルウォッチをスイスで製造していたが、キューバ革命を経てブランドは一時休眠。半世紀ほど経た2003年、バーゼル ワールドにおいて再興を遂げた。オリジンであるラテンのテイストを全面に押し出したスタイルは、非常に個性的。アツい感性をさり気なく表現したい向きには、たまらない時計となるだろう。

CUERVO Y SOBRINOS
[クエルボ・イ・ソブリノス]
[創業年] 1882年
[創業者] ラモン・イ・クエルボ
[創業地] キューバ/ハバナ
[CEO] マッシモ・ロッシ
[トリビア] 実際のヒュミドールとして使用できる時計保管ケースが時計に付属する遊び心も。

プロミネンテ ソロテンポ トコロロ
レクタンギュラーケースの定番「プロミネンテ ソロテンポ」。最新作は、キューバの国鳥、トコロロ(キューバキヌバネドリ)の羽に着想を得た、赤と青のカラーリングで登場した。クラシカルな文字盤と個性あるフォントが特徴。ヒュミドール、特製ハンカチ、不織布製ポーチ&バッグ付き。

自動巻き、SSケース、縦52×横31mm。各¥430,000

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Text=髙村将司 Illustration=ソリマチアキラ Edit=増山直樹