なぜ、今ヴィンテージのロレックスは世界的に高騰しているのか?

世界的な"ロレックスブーム"の鍵を握る最近のオークションから、そのブランド資産価値を読み解く。


話題の中心は「コスモグラフ デイトナ」

ロレックスの市場がなにやら騒がしい。話題の中心は「コスモグラフ デイトナ」だ。特に、ヴィンテージウォッチに値する手巻きモデルの高騰はとにかく凄まじい。最人気のRef.6263の場合、オリジナリティやコンディションが保証された個体なら、すでに1000万円以下での購入が難しくなっている。ほんの数年前なら半額ほどで買えた事実を知ると、驚く方が多いかと思う。

フィリップスのオークション模様。

その背景にはさまざまな要因が絡むのだが、近年、市場に絶大な影響を与えているのが、オークションハウスである。ブームの皮切りとなったのが、2013年11月3日、クリスティーズがスイス・ジュネーブで開催したテーマオークション「ロレックス デイトナ:レッスンワン」であった。「コスモグラフ デイトナ」の誕生50周年にちなんで50本のレアモデルが出品。腕時計の相場を一変させる大きな足跡を残した。

その後、フィリップスの時計部門主任に就任したオーレル・バックス氏の尽力により、時計のテーマ別オークションが次々と展開されている。いずれも大きな反響を呼び、回を増すごとにロレックスの評価は揺るぎないものになっていく。

ポール・ニューマン所有のデイトナが20億円超で落札

1968年製 Ref. 6239 コスモグラフ デイトナ ”ポール・ニューマン”。落札価格約20億円。かねてから出品の噂が絶えなかったポール・ニューマン本人が所有していた個体。今日のデイトナブームはこの1本から始まった。

2017年の10月26日、フィリップスのニューヨーク支社で開催された「ウイニング アイコンズ」にて、その事件は起きた。これまでロレックスの史上最高落札額は、ベトナム最後の皇帝バオ・ダイの遺品であるRef.6062の506万6000スイスフラン、日本円にして約5億7000万円であった。それをはるかに上回る記録を更新したのが、名優ポール・ニューマン氏がかつて所有していた「コスモグラフ デイトナ」である。落札価格は約1775万ドル、日本円に換算すると約20億円に相当する。腕時計史上最高額での落札であったことからも世界中に衝撃が走った。

その勢いはとまらない。’18年5月12日にジュネーブで行われたフィリップスのオークション「デイトナ アルティメイタム」では、世界で1本しかないと噂されていたホワイトゴールド製のRef.6265のほか、数億円超えの落札が続出した。

この結果からもわかるように、ロレックスの資産価値はオークションの世界でも認められ、今や"動産"としての地位を確固たるものにしている。


フィリップスのオークションにて高価格で落札された主なロレックス

※モデル名、年代、落札価格は、2017年~’18年に行われたフィリップスのオークションによるもの。画像はすべてPHILLIPS提供。

Text=戸叶庸之