男を刺激する新作時計トレンド #4未来志向【SIHHレポート】

1月14日~17日にジュネーブで開催されたSIHH(通称、ジュネーブサロン)。昨年と同じくメインホールに18ブランド、独立系のカレ・デ・オルロジェに17ブランドが集結。超注目作を紹介しながら、今年のウオッチ・トレンドを読み解く!


未来を拓こうとするチャレンジングなスタンスと可能性

どちらかと言えば「守り」の姿勢が目立った1月のジュネーブ ウォッチ ウィークだったが、そんななかで未来を見据えた「攻め」のスタンスを紹介しておこう。

まずオーデマ ピゲ。今回が最後のSIHHというタイミングで、APの未来を担う新コレクション「CODE11.59」を発表した。フランソワ-アンリ・ベナミアスCEOが「1993年の『ロイヤル オーク オフショア』以来、この四半世紀で最も重要なローンチ」と強調したほどの力の入りようで、3針、クロノグラフからミニッツリピーターまで全13型が一度に発表された。

一見、ベゼルの薄いクラシックなラウンドケース。しかし八角形のミドルケースやオープンワークのラグ、またサファイアクリスタル風防の内側はドームカット、外側は12時から6時方向へ垂直カーブした形状とし、視認性を高めたことに加え、見る角度によって多彩な表情を見せる――などなど、なかなか凝った仕様となっている。

ディスコンとなるラウンドケースの「ジュール オーデマ」に代わる、次世代ラウンドモデルの姿を追求した結論が、ここに提示されたと言っていい。

アップルウォッチを揶揄した「スイス アルプ ウォッチ」や、スイス製チーズをケースに用いた「スイス マッド ウォッチ」など、例年コンセプトモデルが話題のH.モーザー。今年はスイスアルプスの鉱石や天然の植物、苔などを用いたコンセプトモデル「モーザー・ネイチャー・ウォッチ」を発表した。

環境保全メッセージを込めたこの時計だけでなく、今年、モンブランやジャガー・ルクルトも自然や緑をテーマにしたブースを展開。時計業界にも、エコ、サステナブルなどのメッセージを発信しようとする空気が漂い始めたということだろうか。ファッションや自動車業界では、すでにこうした動きが顕著だが、時計業界においてもこの問題に真摯に取り組むことが、次なるステップにつながることを予感させた。

技術的に目を見張ったのは、独立系ブランドを集めたカレ・デ・オルロジェに出展した、レッセンスの「Type2」だった。

レッセンスは、ベルギーのプロダクトデザイナー、ベノワ・ミンティエンス氏の非凡な才能を形にするべく、2010年にデビュー。遊星歯車のような動きをする、ミニマルで独創的かつ未来的なレギュレーター機構、レッセンス・オービタル・コンベックス・システムで注目を集めてきた。

今年、このフラッグシップ機構に加え、機械式でありながらスマートフォンと連動し、自動的に時刻修正可能なスマートリューズシステム、e-クラウンを搭載した「Type2」を発表。e-クラウンの技術発表はすでに昨年なされていたが、今年、満を持して製品化を実現させたわけだ。

いつかはこうした機能のモデルが登場することは予測できたが、日本の時計ブランドが最初に実現することを期待してもいた。しかし、世界的初の栄誉を手にしたのはレッセンスだった。機械式時計の未来形のひとつとして、大いに注目しておきたい。

新コレクション、新コンセプト、新技術。停滞感が漂うウォッチシーンにあって、未来を拓こうとすチャレンジングなスタンスと可能性を、高く評価したい。


AUDEMARS PIGUET

コード 11.59 セルフワインディング・フライング・トゥールビヨン
意欲的な新コレクション「CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ」を発表。一見シンプルながら、八角形のミドルケースや、独自シェイプのサファイアクリスタルを採用するなど、個性的なディテールも。全13モデル中、このフライング トゥールビヨンモデルの優美さと風格は格別。

自動巻き、18KPGケース、径41mm。価格未定(オーデマ ピゲ ジャパン TEL:03-6830-0000)


H. Moser & Cie.

モーザー・ネイチャー・ウォッチ
スイスアルプス産の鉱石をダイヤルに用い、スチールケースは本物の植物や苔で装飾、ストラップには芝生をあしらった、あまりにユニークなコンセプトウォッチ。1日2回の水やりも必要との触れ込み。環境保全や持続可能な取り組みのシンボルとして製作された。

手巻き、SSケース、径42mm。価格未定(イースト・ジャパン TEL: 03-6274-6120)


RESSENNCE

タイプ 2A
機械式時計でありながら、スマートフォンとブルートゥースでつながり、自動的に時刻修正をおこなうe-クラウンと名づけられた機能を、世界で初搭載。e-クラウンを作動させる電力は、ソーラーエネルギーによって供給される。サファイアクリスタルをタップして、モード切り替えや操作を行う。まさに未来志向のメカニカルウォッチ。

自動巻き、Tiケース、径45mm。¥5,150,000[8月発売予定](DKSHジャパン TEL:03-5441-4515)


Text=まつあみ 靖