男を刺激する新作時計#4 夏につけたいアクティブウォッチ【バーゼルワールド・レポート】

スウォッチ・グループの離脱をはじめ、出展ブランドの激減など、昨年来ネガティブな情報が飛び交っていたバーゼルワールドが、3月21日~26日の日程で開催された。果たして、この「世界最大」のウォッチ&ジュエリーショーは、今年どうなったのか? そこで発表された新作は? そして、現場で明らかになった意外な事実とは。

トレンドは「ブロンズ」と「グリーン」

バーゼルワールド 2019レポート最終回。出展ブランド、来場者数ともに激減の危機的状況のフェアだったにもかかわらず、新作は結構「活きがいい!」のは、前回まででもお分かりいただけたのではないだろうか。

最近のウォッチシーンでは、大きなトレンド的なものが見えにくくなり、各ブランドが独自のアイデンティティを追求する方向性が目立っていた。そんななかで、今年はブロンズケースを採用するブランドが増加、ちょっとしたトレンド的様相を呈していた。ブロンズは経年変化することが大きな特徴だが、合金の配合により変化のスピードは異なってくる。早めにするか、緩やかなほうを選択するか、ブランドごとのスタンスの違いも興味深かった。

また、ジュネーブサロンから引き続き、エコ、サステナブルなどの意識喚起も、静かなトレンドになりつつあるのを感じさせた。グッチがメインブースの他に、植物をふんだんにあしらったグリーンアトリウム的なサブ・ブースを構えたことも、象徴的に映った。また環境保全活動組織とのパートナーシップ、CO2削減への取り組みなど、ブランドごとにスタンスの違いはあれども、こうした動きをこれまで以上に活性化していこうとする兆しが、そこここにみられた。これを反映してか、グリーンを文字盤やちょっとした差し色に用いたモデルもかなり増えてきた印象もあった。

こうしたトレンドも踏まえつつ、今回はこれから夏に向けての季節につけたくなる、アクティブウォッチのニューカマーをフィーチャー。価格的にもアクセスしやすいモデルをセレクトした。

まず、レゼルボワール。2016年にデビューした新興フレンチ・ウォッチ・ブランドで、ヴィンテージなメーター類からのインスピレーションによる、レトログラード・ミニッツとジャンピング・アワー、6時位置のパワーリザーブインジケーターを特徴とする。新作のダイバーズモデルは、スキューバダイビング用残圧計がモチーフ。250m防水で、ヘリウム・エスケープバルブも装備した本格派。他人と被らないモデルを求める向きにオススメしたい1本だ。

ベル&ロスは、トレンドのブロンズケースを採用したモデルをふたつ用意。ひとつは、スクエアケースの「BR 03 ダイバー グリーン ブロンズ」。もう1本がここに紹介する「BR V2-94 ベリータンカー ブロンズ」。ベル&ロスにとって、航空界からのインスピレーションは極めて重要だが、これと並行して’14年には流線型のレトロフーチャーなエアロバイク「B-ROCKET」、’16年には飛行機を着想源とするスーパーカー「アエロ-GT」などを製作し、その世界観を時計に落としこんできた。’17年には、戦闘機の胴部分に設置された緊急用タンクを超高速レーシングカーに改造した「ベリータンカー」を製作。航空をベースとするスピード感と、ヴィンテージ感とを融合したテイストを「ベリータンカー」コレクションで表現してきた。このツーカウンタークロノも、それを受け継ぎ、さらにブロンズケースで味出しした1本。経年変化のスピードは、やや緩やかめ。じっくり育てる楽しみもまたいい。

オリスは、オーストラリアのグレートバリアリーフ・サンゴ礁保護基金とのパートナーシップから誕生したダイバーズウォッチ「アクイス グレートバリアリーフ リミテッドエディションⅢ」を発表。売り上げの一部が同基金支援に使われるほか、同基金のスタッフダイバーも、このモデルを着用。アクアブルーのダイヤルとセラミックベゼルも、海洋保護意識を喚起する。オリスはこの他にも、海洋のプラスチックゴミ対策に乗りだしている組織、パシフィック・ガベージ・スクリーニングともパートナーシップを締結し、コラボによるダイバーズウォッチも発表。この分野でのCSR活動をリードしていく意欲を感じさせた。

RESERVOIR

ハイドロスフィア エアゲージ
古い計器類をモチーフにジャンピングアワー&レトログラードミニッツが特徴のフレンチブランドの新作ダイバーズウォッチ。250m防水でヘリウムエスケープバルブも装備。

自動巻き、SSケース、径45mm、¥614,000 [予価/今秋発売予定](一新時計TEL:03-6854-5802)


BELL & ROSS

BR V2-94 ベリータンカー ブロンズ
戦闘機の燃料タンクを改造したレーシングカー、ベリータンカーにイスパイアされたコレクションのクロノグラフ。ブロンズケースもそそる。

限定999本。自動巻き、ブロンズケース、径41mm。¥620,000[予価/5月発売予定](オールブルー TEL:03-5977-7759)


ORIS

アクイス グレートバリアリーフ リミテッドエディションIII
グレートバリアリーフ・サンゴ礁保護基金と提携した ダイバーズウォッチ第3弾。アクアブルーダイヤル&ベゼルが、海洋保全意識を喚起。

300m防水。2000本限定。自動巻き、SSケース、径43.5mm。¥280,000[予価/7月発売予定](オリス ジャパンTEL:03-6260-6876)


アクセシブル・プライス・ゾーンの活性化に期待大!

カシオからは、メタルと樹脂の特徴を融合させ耐衝撃性を高めた「MT-G」シリーズの20周年記念モデルが登場。ベゼルと裏蓋とをパネル状のパーツで結合する“コアガード構造”をもった「MTG-B1000」をベースに、ベゼル部分には月の光によって虹が現れる現象“ルナレインボー”をモチーフとするレインボーIP加工を施した。このレインボーIPは、モデルごとに微妙に違っていて、ひとつとして同じものがないことも魅力だろう。よく見ると、インダイヤルの各針も異なるカラーとなっており、ディテールまでこだわったカラーリングになっていることが見て取れる。これからの半袖シーズンに目を引く手元になること間違いなし。ソーラー充電によるタフソーラームーブメントを搭載し、世界6局の標準電波受信、モバイルリンクにも対応し、利便性も高い。

最後に紹介するのは、チューダー。ロレックスのファミリーブランドとして以前から知られていたが、昨年秋、日本に正式に上陸以降、人気はウナギ昇り。この「ブラックベイ クロノ S&G」は、モータースポーツとダイビングという、歴史的にチューダーと関わりの深いふたつの世界観を融合した1本。バイカラーのケース&ブレス、タキメーターを刻んだベゼル、大型のリューズにねじ込み式プッシャーなど、ディテールで陸・海の伝統を受け継ぐヴィンテージなニオイを漂わせつつ、スノーフレークと呼ばれる独特な形状の時針もアイコニックな魅力を放つ。COSC認定のマニュファクチュールキャリバーMT5813は、シリコン・バランススプリングを搭載し、コラムホイール&垂直クラッチを採用するなど、信頼性も高い。チューダー人気に拍車をかけること必至の1本と言っていい。

今回紹介した新作は、価格と内容のバランスの取れた、満足感が味わえるモデルばかり。最近、時計の価格がどんどん高騰し、気安く時計を手にすることができないような雰囲気もあったが、こうしたモデルが増えて時計の楽しみが広がることを大いに期待したい。


G-SHOCK

MTG-B1000RB
メタルと樹脂を融合した「MT-G」シリーズ誕生20周年記念モデル。レインボーIPがべゼルほかメタルパーツ各所に施されている。

ソーラー充電式クオーツ(タフソーラー)、樹脂×SSケース、縦55.8×横51.7mm、¥115,000[ 5月発売予定](カシオ計算機お客様相談室TEL:03-5334-4869)


TUDOR

ブラックベイ クロノ S&G
1950年代のダイバーズとモータースポーツを思わせるクロノグラフという、水陸の伝統を融合。マニュファクチュールキャリバーMT5813の信頼性も高い。

自動巻き、SS×YGケース、径41mm。¥671,019[予価/ 6月発売予定](チューダー/日本ロレックスTEL:03-3216-5671)


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Text=まつあみ 靖