時計のプロが選ぶ「仕事で勝ち抜く腕時計」 #5TOMIYA 代表取締役 古市聖一郎

この時世、時刻を知るだけならば、スマートフォンでも十分だ。では、なぜ手元に腕時計が必要なのか。それは、男の品格を上げ、信用度を高め、そして、コミュニケーションの端緒ともなってくれるから。すなわち、腕時計を着けるという行為が、仕事面においても大きな意味をもつということだ。そこで、時計のプロに「仕事で勝ち抜く」をテーマに、"はじめての腕時計"としてベストな3本を厳選いただいた。


個性的にしてスーツにも似合うグッドバランス

TAG HEUER
タグ・ホイヤー モナコ キャリバー12 クロノグラフ

自動巻き、SSケース、縦39×横39mm。¥575,000(LVMHウォッチ・ジュエリー ジャパン タグ・ホイヤー TEL 03-5635-7054)

今年で誕生50年という世界初の角型防水時計。かのスティーブ・マックイーンが、映画『栄光のル・マン』で着用しているエピソードはあまりにも有名だ。今年は50年を祝った限定モデルが発表されているなかで、で、古市さんがリコメンドするのは、右リュウズの本作。

「他の腕時計とは一線を画するスクエアなデザインのため、仕事相手に強い印象を与えることができるでしょう。ブルーのサンレイダイヤルに赤い針と、レーシングの世界観を表したスポーティな配色は、スーツにも似合う完成度」と、その個性とバランスの良さを評価する。

今年は、とかくアニバーサリーモデルが注目されがちだが、改めてベーシックな本作から始めてみるのもいいかもしれない。


洗練されたケースと高性能が、ビジネスユースに最良

PANERAI
ルミノール 8デイズ GMT

手巻き、SSケース、径44mm。¥1,370,000(オフィチーネ パネライ TEL 0120-18-7110)

今年は、ラインナップを整理したパネライ。古市氏は、なかでも根強い人気を誇る8日巻きのGMTである本作に着目する。

「シルエットも磨きも美しい1950ケースは、洗練された佇まい。スーツの腕元に着けても大きさを感じることなく、若々しさやお洒落感を演出できるのが大きな魅力です」と、イタリア海軍に納品していたミッションウォッチに由来するクッションケースの機能美に言及。

「パネライが最初に生み出した自社ムーブメントP2002は、8日間のパワーリザーブに加えてGMTを併せ持ち、特に出張の機会の多いビジネスパーソンにはうってつけ。その完成度の高さは、類を見ないでしょう」と、見た目と機能ともに申し分のない一本ということになるだろう。


使うほどに味が深まる、独創ケースの名品

FRANCK MULLER
カサブランカ 25th

自動巻き、SSケース、縦45×横32mm。¥850,000(フランク ミュラー https://www.franckmuller-japan.com/

ブランドのひとつの「顔」とも言えるのが、三次元曲線からなるトノウ カーベックスケースを採用したステンレススティールモデルの名作「カサブランカ」。20世紀初頭のヨーロッパ人が憧れた大都市、モロッコ領カサブランカを着想源とし、当時のエキゾチシズムを再現する。

「見事なトノウ型に造形したステンレスケースは、独特のエレガンスを保つと同時に、嫌みがないのが魅力。カーブの形状も相まって、使いやすさや装着感が向上しています」

誕生25周年を祝う記念モデルでは、蝋引きされた太い糸で手縫い処理がなされた味わいの出やすいカーフストラップを採用。使うほど美しいアメ色に変化するレザーストラップが、流れゆく時間のロマンさえ感じさせる。

「自分と一緒に歳を重ねていく喜びも味わえますね」と古市氏。ほかのアイテムでは、なかなか味わえない感覚だが、この時計ならば堪能できそうだ。


Seiichiro Furuichi
1932年に創業する岡山が誇る時計・宝飾の老舗トミヤの3代目社長。岡山の元気を日本中に発信する仕掛け人を自任する。1979年生まれのゲーテ世代。今回紹介する時計は、すべてご自身も所有するものだそう。選考基準は、タイムレスなブランドおよびデザインであること。スーツに合わせられる革ベルトであること。嫌味がないこと。


Text=髙村将司