ある音楽プロデューサーが腕時計を買い続ける理由

お気に入りの腕時計を所有することは、日常を充実した時間に変え、仕事をするうえでの大きな原動力にもつながる。音楽プロデューサーの鈴木慎一郎さんが所有するコレクションを公開する。


時代を超えて愛され続ける腕時計

鈴木さんの時計収集は、クロムハーツのウォッチケースを装着したチューダーの手巻き時計からはじまった。

「クロムハーツは僕にとって、特別な思い入れがあるブランドです。先輩のミュージシャンがこぞって愛用していたのでとても憧れが強かった。今では数え切れないぐらいクロムハーツのアイテムを所有してますが、この時計は非常に思い入れがあります。いつか必ず手に入れたいと思っていたので、手に入れた時の感動は今でも忘れられません……。あれから20年以上経ちますが、今でもここぞというライブなどではこの時計をつけるようにしています」

鈴木さんの時計収集の原点である、チューダーの手巻き時計「オイスター」。ヴィンテージウォッチらしい味わいが感じられる文字盤とシルバーの雰囲気が程よくマッチしている。

憧れの一本を手にしたことをきっかけに鈴木さんの収集は一気に加速していく。

「クロムハーツとロレックスに共通する魅力は、飽きのこない普遍的なデザインにあると思います。たまに後輩に譲ることなどもありますが、基本的にコレクションは増え続ける一方です(笑)。ロレックスについては、僕の場合、時計としてのステータス云々よりも個人的な思い入れの方がはるかに強いです。所有しているコレクションの多くは、僕のデビューイヤーにあたる1995年、あるいはレーベルを設立させた2000年に製造されたモデルです。この時代の時計は現行モデルと比べても遜色のないぐらい頑丈に作られているから気兼ねなく使っています」

腕時計が持つ優れた精度が仕事に役立つこともあるらしい。

「僕はスタジオにこもりっぱなしの時でも腕時計をつけていることが多いです。時間を計るだけなら機械式時計に頼る必要もないのですが、ロレックスなら精度の面でも十分期待ができる。それに加えて、好きな時計をつけているとクルマに近い感覚で自分だけの時間を楽しむことができるから、気持ちがリラックスしたり、集中力が増したりします」

最新モデルのRef.116500LNのほか、コスモグラグ デイトナは品番や年式の違いで数本所有している。  
ラグジュアリーな佇まいの1995年製のRef.18238Aデイデイト。この年代の時計らしい落ち着いた雰囲気がお気に入りらしい。  
大切な人から譲り受けたという1971年製のサブマリーナーRef.1680。ヴィンテージロレックスを代表する定番として非常に人気が高いモデルとして知られている。  

収集がはじまってから20年以上経って、コレクションの方向性に変化が生まれているという。

「少し前のシャンパンダイヤルのデイデイトだったり、ヴィンテージのサブマリーナー、コスモグラフ デイトナの現行モデルなど、以前にも増して振り幅が広がってきました。どの時代の時計もそれぞれ魅力があって、ひとつの物差しで優劣をつけることができません。これからもマイペースにロレックスの時計を買い続けていくと思います(笑)」

SHINICHIRO SUZUKI
1995年にプロシンガーとしてソロデビュー。ロックバンド「CRAZE」の加入などを経て、2000年に自身のレーベルを設立。エイベックスから世界的ギタリストのマーティー・フリードマンとのユニット「LOVEFIXER」としてCDリリース、近年では杉山清貴、梶芽衣子、崎山つばさなどへの楽曲提供でも知られる。


Text=戸叶庸之 Photograph=大里宗史