“なんでも鑑定団の時計担当”がロレックスの在りし日の自動巻きモデルを語る

時短とは無縁。手間暇を惜しまず掘れば掘るほど面白くなるヴィンテージウォッチの魅力を、さまざまな角度から掘り下げる本企画。テレビ東京「開運!なんでも鑑定団!」の鑑定士としても知られるケアーズ会長・川瀬友和さんをゲストに迎え、ロレックスの懐の深さが感じられる1950年代のオイスター パーペチュアルを紹介する。

1950年代特有の魅力が詰まったオイスター パーペチュアル

おそらく“世界一有名な時計ブランド”であるロレックスは、ヴィンテージウォッチの市場においても絶対的な王者として君臨している。世界的に見てもコレクターの層が厚く、そこには常識では計り切れない熱狂がある。最人気のスポーツウォッチ、あるいは一部の超レアモデルがフォーカスされがちだが、この他にも魅力的な時計が数え切れないほどあるのだから掘り出し甲斐がある。

「今回ご紹介するオイスター パーペチュアルは、在りし日のロレックスの魅力が凝縮された1本です。デザインそのものは実にシンプル、それでいてディテールのひとつひとつに奥行きがあります。最たる例は、文字盤でしょう。1950年代までのロレックスの時計に見掛けられる“パウダーホワイト”と呼ばれる白色の塗料を吹き付ける技法を用いることでユニークな質感に仕上げています。王冠のマークやブランドロゴはインデックスと同じアプライドの仕様。ここからもコストが掛かっていることがよく分かります」

1950年代特有の深い味わいが感じられるRef.6565。ホワイトのダイアルをはじめ、エンジンターンドベゼル、ブルースチールの針など、この時代ならではのディテールが満載。ジャケットやシャツのカフスでもかさばらないサイズ感も魅力。1955年製、自動巻き、SSケース、径34mm、¥570,000

パーペチュアル機構の礎を築いた“幻のムーブメント”とは!?

外装と機構がまるで歯車でように噛み合う絶妙なバランス。「表裏一体」であることは優れた機械式時計の絶対条件だと言っても過言ではない。それはこちらのRef.6565も然りだ。

「この時計に搭載されているCal.1030は、GMTマスターのファーストモデルRef.6542に採用されていることでも知られています。このムーブメントを私が高く評価する理由は、現代まで続くロレックスの自動巻き機構の礎を築いた点にあります。具体的に説明すると、1954年に発表されたCal.1030と、それまでの自動巻きの決定的な違いは、初めてリバージング ホイールを採用したことに尽きるでしょう。これにより、それ以前のローターが片方向巻上から、左右のどちらに動いてもゼンマイが巻き上がるようになり、精度や安定性が格段に向上しました。仕上げに関しても抜かりがなく、ローターの裏側には錆止めを兼ねたペルラージュ装飾が施されています。このクオリティを知り、病みつきになってしまうコレクターの方々の気持ちをよく理解できます(笑)。僅か4~5年で生産が終わったことから、稀少性という意味でも注目すべきムーブメントだと言えますね」

ロレックス初の両巻上げの自動巻きムーブメントとして、1954年に登場したCal.1030。通称“バタフライローター”と呼ばれるローターをはじめ、細部の仕上げも非常に手が込んでいる。


ケアーズ森下本店
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Tomokazu Kawase
1957年東京生まれ。1989年、地元の江東区・森下でケアーズを創業。以来、30年以上もの間、厳選したヴィンテージウォッチのセレクションと自社に工房を構える独自のスタンスが内外で支持されている。現在は同店の会長に就任。テレビ東京「開運!なんでも鑑定団」の鑑定士としても知られている。

Text=戸叶庸之 Photograph=江藤義典