仕事で得する腕時計とは?【老舗時計ブランド編】

高級時計とひと口に言っても、哲学や表現される世界観は千差万別。この世にあるメーカーをすべて把握するのは骨だろう。 そこで、高級時計をはじめて手に取るビギナーに向けて、編集部が20ブランドを厳選。 ブランドごとに「仕事で得する」お薦めモデルを厳選し、解説を添えた。 はたしてヤングエグゼクティブの腕元には、どんな時計が似合うのか。 まずは、このカルテから理解を深めて、自分にフィットする1本を選ばれたい。今回は、世界的な老舗腕時計6ブランドのお薦め時計をそれぞれ紹介する。


①ロンジン

控えめなエレガンス漂う高CPウォッチの名門
創業から180年以上絶えることなく続くウォッチメーカーのひとつ。とりわけ同社が得意とするのが、復刻をベースとした「ヘリテージ」コレクションだ。これは、創業より変わることないサンティミエの地に今も本社を構え、アーカイブを保管しているがゆえ。それを、現代の高い技術を用いてハイクオリティで再現している。他に、スポーティな「コンクエスト」や、そのダイバーズ「ハイドロコンクエスト」、そしてクラシカルなスタイルの「レコード」など、ベーシックなラインナップは質実剛健さを求めるユーザーから高い支持を集める。また、高精度クオーツや、グループ会社の専業メーカー、ETA社とのコラボなど、ムーブメントの信頼性も強みである。

LONGINES[ロンジン]
[創業年] 1832年
[創業者] オーギュスト・アガシ
[創業地] スイス/サンティミエ
[CEO] ウォルター・フォン・カネル
[アンバサダー] 内村航平、アンドレ・アガシなど
[トリビア] かのリンドバーグによる大西洋単独無着陸横断飛行をサポート。

コンクエストV.H.P.
公式パートナーを務める乗馬のエレガントな世界観を想起させるコレクション「コンクエスト」。自慢の高精度クオーツを搭載した最新GMTは、アプリを通じて作動させるスマートフォンのフラッシュ点滅を利用したタイムゾーン設定が特徴。リュウズを使用しない画期的なシステムに先進性が見られる。

クオーツ、SSケース、径41mm。¥159,000

【①ロンジンのほかの時計はこちらから⇩】


②IWC

実直な人柄を醸せる質実剛健な時計
先輩・上司、さらにその上の世代にとっては、前名称の「インターナショナル・ウォッチ・カンパニー」として知る人も少なくない、スイスはドイツ語圏に位置するシャフハウゼンのマニュファクチュール。創業者は、米国ボストン出身の時計師で、19世紀末アメリカでも興った工業化の技術を、スイスの時計技術と融合させ、完成度の高い時計作りを目指した。現代でも華美な装飾こそないが、いずれもシンプルで凛とした佇まいから「質実剛健」と評されることも。新製品の試作段階で数ヵ月におよび実施される過酷な試験、シミュレーションといった徹底した品質管理もその理由のひとつ。創業150年を迎えた今年は、記念コレクションが大きな話題となった。

IWC
[創業年] 1868年
[創業者] フロレンタイン・アリオスト・ジョーンズ
[創業地] スイス/シャフハウゼン
[CEO] クリストフ・グランジェ・ヘア
[アンバサダー] ルイス・ハミルトンなど
[トリビア] オールドファンには、過去の通称「インター」と呼ぶ人も。

ダ・ヴィンチ・オートマティック "150 イヤーズ"
創業150年を祝うジュビリーコレクションからの1本。ラグの形状が特徴的な「ダ・ヴィンチ」では、クラシカルなスモールセコンドのデザインで採用。何層にも塗り重ねられたラッカーダイヤルが、ブルーの深みを際立たせている。ストラップは親交の深いイタリアの靴ブランド、サントーニ社製。

自動巻き、SSケース、径40.4mm。¥1,030,000

【②IWCのほかの時計はこちらから⇩】


③ボーム&メルシエ

入門価格と高品質のバランスが絶妙
創業より180年以上、途絶えることなく続く老舗のひとつ。この高品質をエントリープライスで手にできるのが、本ブランド最大の魅力だ。複数のコレクションを展開するなかで最も注目すべきが「クリフトン」。1950年ごろのアーカイブをベースとし、懐かしくもモダンなデザインがビジネスシーンにも最適。今年登場の新型キャリバー「ボーマティック」を搭載して話題をさらった。特殊なシリコン製ひげゼンマイの採用や1500ガウスの耐磁性能、5日間のパワーリザーブなどを誇り、母体であるリシュモングループとその専業メーカー、ヴァル・フルリエとの共同開発により実現。最先端の技術を気軽に手にしたいなら、選択肢の上位に入るブランドだ。

BAUME & MERCIER[ボーム&メルシエ]
[創業年] 1830年
[創業者] ルイ=ヴィクトル・ボーム、
ジョセフ=セレスタン・ボーム
[創業地] スイス/レ・ボア
[CEO] ジョフロワ・レフェーヴル
[トリビア] ブランドロゴの「ギリシヤ文字「Φ(ファイ)」は、均整の象徴。

クリフトン ボーマティック
最新キャリバー「ボーマティック」は、カスタマーサービスに集まる修理品の故障の原因を調査し、開発を始めたというバックボーンを持つ。このほかに、COSC(スイス公式クロノメーター検定)取得モデルも展開するが、こちらの未取得モデルでも同じく高性能を誇っている。

自動巻き、SSケース、径40mm。¥305,000

【③ボーム&メルシエのほかの時計はこちらから⇩】


④オリス

「我が道をゆき」独立系良質ウォッチ
1904年から現在まで創業当時の建物を使用し、「真の機械式時計」作りを目指して実直な製造を続けている。そのブランド哲学は「GO YOUR OWN WAY」。企業グループに収まることの多いスイス時計業界において、資本的に独立している数少ない企業である同社らしいスローガンである。看板どおり、約10日間というロングパワーリザーブを誇る自社製キャリバーで業界を沸かせたのも記憶に新しい。コミットする分野は、主にダイビング、レーシング、カルチャー、アビエーションなど。過去には針式カレンダーの先駆けとなる「ポインターデイト」や、大型リュウズの「ビッグクラウン」など、独創的な名作も多い。ツウらしさを醸せるブランドのひとつといえよう。

ORIS[オリス]
[創業年] 1904年
[創業者] ポール・カッティン、ジョージ・クリスチャン
[創業地] スイス/ヘルシュタイン
[CEO] ウーリック・W・ヘルツォーク
[アンバサダー] ランス・ストロール、カール・ブラシア
[トリビア] 同社の機械式キャリバーに備わる「レッドローター」は、象徴的存在。


アートリエ キャリバー 111
2014年に限定販売された自社製キャリバー110が、その翌年にデイト付きのキャリバー111に進化。今作はそれを装備した新色で、10日間パワーリザーブ、ノンリニアパワーリザーブインジケーターは踏襲している。主ゼンマイを収める香箱ひとつのみによる長時間駆動は画期的だ。

手巻き、SSケース、径43mm。¥660,000

【④オリスのほかの時計はこちらから⇩】


⑤ラドー

セラミックの活用を牽引するイノベーター
20世紀初頭から途絶えることなく続く老舗。ここ30年ほどは、工業素材だったセラミックを世界で初めて時計ケースに採用したブランドとしてプレゼンスを高めている。近年は加工技術の精度を上げつつ、バリエーションを増加。焼成の際に収縮することから気密性を求められる時計ケースには難しい素材だったが、その壁を乗り越え、業界でもトップクラスの技術でセラミックを操っている。特長は、金属より軽く、傷がつきにくく、かつ温度変化が少ないうえ、アレルギーを起こしにくいというもの。デザイナーとのコラボなども積極的にトライ、デザイン的にもハイセンスに仕上げており、腕時計の未来を感じさせる。先進性を重んじるなら、選びたいブランドだ。

RADO[ラドー]
[創業年] 1917年
[創業者] シュルップ3 兄弟
[創業地] スイス/レングナウ
[CEO] マティアス・ブレシャン
[アンバサダー] リティク・ローシャン、タン・ウェイなど
[トリビア]リュウズのないタッチセンサー式のハイテクセラミックウォッチを作った。

ラドー ダイヤマスター ハイ ライン
デザインコンシャスな最近の姿勢を色濃く感じるモデル。輪列を露わにしてアシンメトリーにレイアウト。ムーブメントにコート・ドゥ・ジュネーブ加工を施してダイヤルデザインにする点もアバンギャルド。一見シンプルなラウンドウォッチだが、実は変化球というのがいい。

自動巻き、ハイテクセラミックケース、径43.5mm。¥285,000

【⑤ラド―のほかの時計はこちらから⇩】


⑥ティソ

自由な発想の革新ウォッチをつけるなら
創業165年の老舗。固定観念にとらわれない独創的なウォッチメイキングは昔から変わらない。黎明期にロシア王朝との関わりから生まれた通称「バナナ・ウォッチ」は、長いレクタンギュラーケースを手首に添わせるためにカーブさせた工夫がその名の由来。その後も世界に先駆けて、耐磁性リストウォッチや24都市表示のワールドタイマーなどを発表し、注目を浴びた。'70年代以降は、クオーツウォッチ製造にも積極的で、タッチパネル式の「Tタッチ」などでも腕をふるってきた。最近では、80時間のパワーリザーブを持つ「パワーマティック80」の共同開発で高CPのグッドウォッチが時計界を賑わせている。「革新」を手軽に纏うならティソを推奨したい。

TISSOT[ティソ]
[創業年] 1853年
[創業者] シャルル=フェリシアン・ティソ 、シャルル=エミール・ティソ
[創業地] スイス/ル・ロックル
[CEO] フランソワ・ティボー
[アンバサダー] トニー・パーカー、マルク・マルケスなど
[トリビア] ’80年代は、木や石などの自然素材をケースに採用した画期的な歴史も

ティソ ヘリテージ バナナ
1916年に誕生した、「バナナ・ウォッチ」の愛称を持つレクタンギュラーウォッチ。20世紀初頭のアール・ヌーボーを彷彿させる曲線を多用したケースやダイヤルのデザインがクラシカルさを強調。今年のモデルは日本限定品。ホワイトダイヤルとSSケースのコンビはビジネスにも合う。

クオーツ、SSケース、縦49×横27mm。¥43,000

【⑥ティソのほかの時計はこちらから⇩】


Text=髙村将司 Illustration=ソリマチアキラ Edit=増山直樹