【ブランパン】不変の機能美！
70周年記念フィフティ ファゾムスの魅力とは

フランス海軍の要請から生まれた、
世界初のダイバーズウォッチ

ダイバーズウォッチの誕生は、潜水技術の進化と足並みをそろえている。20世紀中頃に、圧縮空気を詰めたタンクを背負うことで、水中でも自由に行動ができる「スクーバダイビング」の技術が開発された。これまで以上に水中での行動範囲が広がるようになると、各国の海軍は特殊潜水部隊を設立するようになる。

水中での過酷なミッションを遂行するためには、潜水経過時間や浮上時間などを計測する計器が必要になる。そこでフランス海軍のダイバー、ロベール・“ボブ”・マルビエ大尉は、ブランパンに海用のミッションウォッチの製作を依頼する。その条件は、視認性に優れるブラックダイヤル、読みやすいインデックス、そして時間経過を測定するためのマーカーがついた回転式ベゼルだった。

ブランパンはさっそく開発に取り掛かる。そして、1953年に完成したのが「フィフティ ファゾムス」という時計。ファゾムとは水深を表す単位で、50ファゾムスは約91ｍ。この時計の防水性能を表しており、当時の防水時計の中では圧倒的な高性能だった。

伝統は継承され、
そして未来へと続いていく

フランス海軍に納入された「フィフティ ファゾムス」は、瞬く間に評判になり、アメリカ軍やドイツ軍からの製作依頼が来た。さらに海洋調査隊のダイバーにも愛され、伝説のダイバーのジャック－イヴ・クストーたちはこの時計を腕に海洋ドキュメンタリー映画『沈黙の世界』の撮影に臨んだという。

そしてこういった実績が名声となり、いつしか「フィフティ ファゾムス」の機能やデザイン、スペックが、時計業界の標準仕様となり、そのことから「現代ダイバーズウォッチの元祖」と呼ばれるようになるのだった。

ブランパンでは誕生50周年となる2003年から、「フィフティ ファゾムス」コレクションの再構築をスタートさせ、2007年にレギュラーコレクションとして復活させることになる。

現代の「フィフティ ファゾムス」も、基本デザインは初代からほぼ変わらない。ディテールや素材のアップデートにとどめているのは、これが完成形であるという自負があるからだ。華美な装飾はないが、道具として研ぎ澄まされた美しさがある。だからこそ本気で戦う男の腕に似合う。スーツスタイルであれば、知的さのなかにも野性味を漂わせ、カジュアルスタイルであれば内なる冒険心を匂わせる。いずれの場合も骨太な男であることを、さり気なくアピールすることになるのだ。

フィフティ ファゾムス70周年の記念モデルとしてリリースした「フィフティ ファゾムス テック ゴンベッサ」は、生きた化石と呼ばれる深海魚ゴンベッサ（シーラカンス）の生態を調査する「ゴンベッサ プロジェクト」とのパートナーシップ10周年とのダブルアニバーサリーモデル。ダイビング技術が進化し、長時間潜水が可能になったことを受け、3時間針と逆回転防水ベゼルを使って潜水時間を計測できるようになっている。

「フィフティ ファゾムス テック ゴンベッサ」は、プロフェッショナルツールであり、ケース径も47㎜とかなり大型。それゆえこの時計は見た目だけで選ぶものではない。ブランパンやゴンベッサ プロジェクトの意義を理解し、賛同した上で所有するのが正解だろう。ただ、47mm径とはいえ、スーツスタイルに合わせても、カジュアルスタイルに合わせても、違和感なくすんなりとコーディネイトに取り入れられる。