第5回ゲーテ・レストラン大賞 悶絶レストラン ゲーテイスト2017 あの人と距離を縮める「勝負レストラン」

小洒落た店に行くだけの、一辺倒なデートなんて喜んでもらえない。思い切って肉を食べたっていいじゃないか! 大切なのは特別感。秋元康・小山薫堂・見城徹が絶賛する、少しひねりの利いた、とっておきのレストランをチェックしておきたい。

ステーキ エーダ(Steak Éda)
<ステーキ/白金>

【キラーのひと皿】「特選和牛のステーキ」/血統と肉質にこだわって厳選した黒毛和牛、褐色和牛、短角牛などを肉質を見極めながら、最高の状態に焼き上げる。ワイルドな見た目も独特。

 肉続きで、大人のデートにもお薦めの、個室とカウンターしかない大人の空間『ステーキエーダ』を挙げます。

 僕も、ここイチオシです。

 僕がステーキで旨いと思っていた店以外で、久々にそのトップリスト入りした感じで。そりゃ、『かわむら』とか『ひらやま』、『トロワフレーシュ』もすごいんだけど。それらに、今後肉薄してくるかなって。

 シェフの枝澤竜太(えだざわりゅうた)さんは、イタリアで修業してるんですよ。フィレンツェやミラノで10年。フィレンツェでは肉屋さんでも仕事をしたそうです。

厳選のサーロイン/他に仔牛、秋から冬は鴨などのジビエも用意。

 最初にイタリアンの前菜が4品くらい出てくるんだけど、どれも凝っていて、新しい味なんだ。この人が作るんだったら肉も期待できるなと。ものすごく気分が高揚してくる。

 備長炭と薪で、時間をかけて焼くんですよね。その焼き方が枝澤流なんです。

 外はカリッ、中はふわっとしてて。炭だけじゃなくて、薪も使っているから香りがいい。

 精肉卸の『ヤザワミート』が枝澤シェフと組んで始めたんですって。専属の肉の目利き職人がいて、血統や肥育期間の長さにこだわり抜いた黒毛和牛を入手して、1カ月熟成させたり、モノによっては食べ頃を見極めたり、と。

前菜/イタリア産2種の天然きのこのスフォルマート。熱々で供され、きのこの芳醇な香りを堪能できる。

 食べてみたい! 紹介制? 予約は至難ですか?

 紹介制で、取材もSNSも禁止しているけど、ゲーテイストなら特別にと言ってくれて。

 ステーキデートなら、この店が一番勝負できるでしょうね。カウンターにふたりきりで、さらに貸し切りにすれば。

 さすが、薫ちゃんだね。

アンバーな照明が似合うシックなインテリア。正面に据えられた焼き台でじっくり焼き上げられるステーキを眺めつつ楽しむカウンター。

 こぢんまりとした個室も雰囲気いいけど、カウンターでふたりきりはすごく素敵だと思う。でも、ほぼ口説き終わってないとね、シェフが見てるから(笑)。

 絶対口説けると思います!

 あと、ソムリエールの彼女が結構こだわるんだよ。置いてないだろうと思って頼んだワインが出てきた時には、驚いた。

 高いの頼んだんですか?

 ルフレーヴの「バタール・モンラッシェ2007」。

 へぇ! 出てきたんだ。すごい。まさに、ここぞという時の切り札レストランですね。

〆(しめ)は、希少なマルケ産最高級サフランと、食感のよいイタリアの米"カルナローリ種"、青森産シャモロックだけでとったクリアな味わいの出汁を使ったリゾット アッラ ミラネーゼ/料理はおまかせコースの一例。
ステーキ エーダ(Steak Éda)
TEL:非公開(紹介制)
住所:東京都港区白金1-6-1
休み:不定休
備考席数:カウンター6 席、個室:1 室(2~4名)

うえ山(Ueyama)
<鶏料理/蒲田>

【キラーのひと皿】「鶏素揚げ」/「鶏素揚げ」ムネ・モモ各¥750(セットで¥1,400)。まずはそのまま味わった後、お好みでニンニクしょう油を。

 薫ちゃんの口説き技にはいつも驚かされるけど、僕くらいに枯れてくると、こういう店で仲間と食べるのがホッとする。

 秋元さんこそ、好感度を上げるために言っていません? 僕もこの店、気になりますが!

 ここどこ? 何屋なの?

 蒲田にある鶏料理屋です。昨年末同じ町内に移転しましたが、メインメニューは「鶏素揚げ」だけという直球勝負の店で。

 蒲田まで行くのがすごい。

 ここは、お母さんと娘さんのふたりで営む18席の小さな店でして。ひじきや切り干し大根とか、お惣菜十数種のなかからお通し3品を選んで、それらをつまんでビールを飲んでいると鶏が揚がってくるんです。

席料(お通し)/3品¥600。煮卵や鶏レバーの煮つけなど、お惣菜は常時9~10種類ほど。追加のつまみは1 品¥200。

 〆には何を?

 炭水化物はないんです。でも春雨入りの鶏スープがあって、これが味わい深くてまた旨い。

 食べログには予算2000円~2999円てありますよ。

 いいでしょ?

 こういう店は女友達でも、素敵だとわかる成熟している女性を連れて行きたいね。

鶏スープ(春雨入り)/¥150
うえ山(Ueyama)
TEL:090-3572-8700
住所:東京都大田区西蒲田7-61-1(※昨年12月に移転リニューアル)
営業時間:17:00~L.O.21:30
休み:日曜、祝日
備考席数:18席

寿司 ひら田(Sushi Hirata)
<鮨/銀座>

【キラーのひと皿】「鮪のヅケほか」/「鮪のヅケ、コハダ、煮ハマグリ」は¥20,000のおまかせの一例。

 僕の今回、唯一の鮨屋なんですが『ひら田』はデート使いにもぴったりですよ。

 どこかにいた人なの?

 もともと銀座の『寿司幸本店』にいた平田哲幹(のりまさ) 君が独立して。鮨はいわゆる伝統的な江戸前なんですけど、平田君はお酒担当も兼任していたので、ワインの種類が充実しているんです。

 実は薫堂が経営してるってオチとか(笑)?

4名用の個室も/仕切りをはずせば8人まで利用可能。

 僕はただの客ですよ(笑)。つまみが充実しているから、ワイン好きには本当にたまらない。

 特に何が旨いの?

 煮ハマグリとか、ピノやカベルネで漬けたヅケが旨かったです。ワインを飲みながら、つまみをつまんで"鮨サロン"みたいに使えるのも理想的で。

 店のキャパは?

 カウンターがメインで、個室もあります。これがなかなか変わった造りになっていて。デートにもよさそうです。入口に常連さん御用達の立ち飲みスペースもあって、そこで鮨をさらっとつまんでワインを飲んで帰るのができたら粋ですね。

とろの炙りとからすみ/おまかせコースはワインに合うつまみが7~8種登場する。
寿司 ひら田(Sushi Hirata)
TEL:03-3572-0828
住所:東京都中央区銀座8-2-8 高本ビル6F
営業時間:12:00~14:00(前日までの要予約)/17:00~L.O.23:00
休み:水曜
備考席数:カウンター8 席、個室:2 室(2~4名用)

のりこのごはん(Norikonogohan)
<しゃぶしゃぶ/神泉>

【キラーのひと皿】「オリーブ夢豚のしゃぶしゃぶ」/オリーブオイルの搾油粕(さくゆかす) 飼料に育つ香川県の特産品、オリーブ夢豚。コース¥7,200。

 ここは店構えがすごくいい店。3部屋全部が個室でね。筧美和子(かけいみわこ) と行ったんだけど、彼女曰く、今仕事に貪欲なんだって。「見城さんと会うと、刺激がある」と言うので、僕が選んだのがこの店。食べながら、映画とか舞台の感想を話すんです。

 見城さん、ちょっと自慢してません(笑)?

 何の店ですか。和食?

 しゃぶしゃぶなんだけど、それにいたるまでの前菜盛り合わせに蒸し野菜、それから北海道産特大しじみスープもすごく美味しい。メインのしゃぶしゃぶは、「オリーブ夢豚」という銘柄豚で。岩塩、特製出汁、ポン酢、ごまだれの4つが用意されていて、いろんな味で味わえる。それと店主の鈴木のりこさんはじめ、スタッフの雰囲気もいいよね。肩の力が抜けてて。

前菜4種の盛り合わせ。

 料理研究家の仕事をされてた方じゃないですか、昔は。

 筧美和子も大満足。そんなに高い店じゃないけれど、ご馳走されたっていう気分を味わってもらう、そんな意味でもいい店です。

のりこのごはん(Norikonogohan)
TEL:03-6416-3811
住所:東京都渋谷区神泉10-10神泉ビル1F
営業時間:18:00~24:00
休み:日曜
備考個室:3 室(4~20名) ※完全予約制

妻恋坂 けい吾(Tsumakoizaka Keigo)
<日本料理/湯島>

【キラーのひと皿】「十割蕎麦」/十割蕎麦。契約農家より仕入れた蕎麦の実をお店の地下で自家製粉。香りと口当たりのよさが際立つ。コースには手打ち冷や麦や天ぷらも登場。料理はすべて¥11,000コースの一例。

 デートでちょっと非日常感を楽しみたい時は『妻恋坂(つまこいざか) けい吾』がいいと思います。

 妻恋坂って店名? 歌謡曲のタイトルみたいだな。

 湯島のほうに妻恋坂という地名があって。店名も素敵ですがお料理もいいんです。もともとご主人が神田の蕎麦屋『松扇(まつおう)』にいらした方で、コースに蕎麦と手打ち冷や麦が出るんです。

 蕎麦割烹か。渋いね。

 日本料理も西麻布の店で長年修業していたみたいで、天ぷらも出てくるんですが、黒人参の天ぷらは本当に感動しました。ほくほくで甘いんです。

 美味しそうだね。

 空間も落ち着いた雰囲気だし、仕事も丁寧で。コースは8500円からでコストパフォーマンスも高いと思います。それに奥さんがとてもきれい!さり気ないサービスにも好感を持ちました。

 蕎麦でデートはいいね。

 そうですね。店名どおり、もう一度、妻に恋をしたくなる。そんな店ですね。

 うまくまとめたな(笑)。

妻恋坂 けい吾(Tsumakoizaka Keigo)
TEL:03-6803-0817
住所:東京都文京区湯島3-10-10
営業時間:12:00~L.O.14:00/17:00~L.O.21:00
休み:日曜、祝日(年末年始営業)、不定休あり
備考席数:カウンター8 席、テーブル8 席、個室:なし

シンシア(Sincère)
<フレンチ/北参道>

【キラーのひと皿】「鯛焼き」/「鯛焼き」は¥13,000のコースの一例。思わず笑みがこぼれる可愛らしいプレゼンテーション。

 今、フレンチの若手シェフがどんどん独立して新しい店を出しているなかで『シンシア』の石井真介さんが作る料理は、他の人とちょっと違うなぁと気になっています。

 北参道ってうちの会社の近くじゃん。気になるね。どんな風に他の店と違うの?

 イノベーティブで軽やかな感じが今の主流とすれば、石井さんの料理はもうちょっと骨太。新しさとクラシカルな感じが融合しているところがいいんです。

 すでに人気店なんでしょ?

 最近できたばかりと聞いたけど、もうそんなに?

 松濤に『バカール』(現在閉店)という本当に予約が取れない店があったんですが、石井さんはそこのシェフだったんです。

シェフの石井さん。

 じゃあ、その時からの常連さんが多いというわけだね。

 もともとのお客さんも多いと思うんですけど、『バカール』はココット鍋でごはんを出すようなカジュアルな感じだったみたいで。今はその時のスペシャリテをブラッシュアップさせた料理を出しているから、前の店とのつながりを大事にしつつ、まったく違ったことにチャレンジしている印象です。

 ここはコースなの?

 9600円と1万3000円のコースがあるみたいですね。メニューの書き方もユニークで、最近、食材の名前だけを書くシェフが多いですけど、この店は素敵な文章仕立てになっているんです。もちろん、料理が運ばれてくる時にサービスの方が説明してくれるんですけど、そういう仕かけがあると料理への期待が膨らみますよね。

地下にある店はシックで落ち着いた内装で隠れ家のような雰囲気。

 薫堂的なキラーは?

 「鯛焼き」が面白かったです。

 え? フレンチで鯛焼きが出てくるの?

 見た目はまんま鯛焼きなんですが、中に魚が入っていて。スズキのパイ包み焼きをもっと小さくできないかと、シェフが考えたそうです。

 ほう、なるほど。

 あとはバーニャカウダをアレンジしたもの。蟹の身と蟹味噌ソースで食べるんですが、大地の循環をテーマにしたプレゼンテーションがユニークで。ドングリの形をしたお菓子が出てきたり、森の中で見つけたような料理もいっぱい出てきて、演出が上手なんですよね。

 予約困難な店で女性好みのプレゼンテーションをしたら、それはデート使いにももってこいだね。

 俺も近々行ってみます。

バーニャカウダ/おなじみのスペシャリテを皿バージョンで。
シンシア(Sincère)
TEL:03-6804-2006
住所:東京都千駄ヶ谷3-7-13 原宿東急アパートメント B1
営業時間:18:00~L.O.21:00
休み:日曜、第1・3・5月曜
備考席数:20席、個室:なし

Cooperation=Sweet Thick Omelet,inc. Text=粂 真美子、小寺慶子、藤田実子、山本真由美、中井シノブ Photograph=薄井一議、上田佳代子、鈴木拓也、中庭諭生、大谷次郎、菊池陽一郎、内藤貞保、福森クニヒロ、笹原健裕、比田勝大直

*本記事の内容は17年1月1日取材のものに基づきます。価格、商品の有無などは時期により異なりますので予めご了承下さい。 14年4月以降の記事では原則、税抜き価格を掲載しています。(14年3月以前は原則、税込み価格)