第5回ゲーテ・レストラン大賞 悶絶レストラン ゲーテイスト2017 いざ「大人の遠足」へ

仕事のついでに行くのではない。「幻のひと皿」に巡り合うために、わざわざ遠方まで出かけることに意義がある。秋元康・小山薫堂・見城徹が悶絶した、大人の探究心を満たし秘宝のような料理に出会える、かの地のレストランはココだ!

柳家(Yanagiya)
<郷土料理/岐阜>

【キラーのひと皿】「季節自慢の郷土鍋」/季節によってお薦めの肉が変わる鍋料理。写真は、猪肉、豆腐、サトイモ、ゴボウなど具だくさんの「しし鍋」。料理はおまかせコース¥12,960のみ。

 今回のゲーテイストでは、地方の名店も紹介しようということに。僕がまず筆頭に挙げたいのが、岐阜の『柳家』です。

 来たねぇ、名店来ました!

 噂のジビエ料理を求めて岐阜まで。堪能しましたよ。

 すごい。ここ食べログの点数も4.87だって(笑)。

 確かずっと1位だったはず。

 昔からある店だよね。

 創業70年で、今は3代目の山田和孝さんと奥さんに弟夫婦、確かお母さんも一緒に店を切り盛りしています。店は地元の古民家を改築していて、囲炉裏(いろり)を囲みながら猟師さんの話や岐阜の食文化を聞かせてもらうのが、また情緒たっぷりでいいんです。

左:先代が考案した囲炉裏の炭火焼き料理は、炭の積み方にも工夫が。肉の焼けるいい匂いが漂う/右:囲炉裏を囲み、天然の山菜や鰻、若鮎、茸など四季の郷土料理を満喫。

 肉に臭みはないですか?

 まったく感じないね。信頼できる猟師の名人から直接肉を仕入れるから、新鮮なんだな。何でも、食材の持ち味をいかに最大限に引き出すか、ということに心血を注いでいるらしい。

 確かに、ジビエは手間をかけすぎると美味しさが損なわれるといいますからね。

 先代が肉の臭みを取るために苦心したそうで。今は、弾が頸(くび)から上に当たったものしか使わないそうですよ。

 でも、よくこれほど遠くまで行くよね。電車で行ったの?

左:焼き物はすべて専属のスタッフが絶妙に焼いてくれる。こちらは、美濃焼の作家の器に盛られた炭火焼き、猪のロース/右:小熊のロースは、秘伝のタレをつけて。

 名古屋からはクルマで。2時間くらい山道を行くんですけど、わざわざ行く価値のある店です。時々、食通仲間と旨いものを探求して出かける"大人の遠足"で行ったんですが。

 あの噂の大人の遠足で!

 それでキラー料理は?

 季節によって獲れる肉や料理が違うんで難しいんですが、僕は2月に行ったので「鴨鍋」や若い鴨のタカブが旨かったですね。焼き物も小熊や猪、小鹿と、豊かな妙味を満喫できます。

ウリボウのヒレ/いずれも11、12月の猟期に供されるジビエ肉で、クセがなく肉本来の旨みを楽しめる。

 四季折々、通うんですか?

 年に1、2回ですよ。ほら、滋賀の『比良山荘』の名物で、ツキノワグマのしゃぶしゃぶ"月鍋"も時々食べたくなるじゃないですか。そんな感じですね。

 確かに魅力ある店だね。

 必ず店の人がひとりついてくれて、ライブ感も楽しめる。

 心地いい時間が過ごせそう。

 フランスやイタリアのワインも充実していて、現地まで買い付けに行って相当リーズナブルに出してくれます。

小 ここは僕も訪れてみたいな。

 遠いよ?(笑)。でも、ぜひ行って食べてきてほしいな。

 解脱感、出ているね(笑)。

 はい、おふたりはまだ煩悩のなかですか(笑)。

 恐れ入りました(笑)。

安政時代の民家を移築した店舗。
柳家(Yanagiya)
TEL:0572-65-2102
住所:岐阜県瑞浪市陶町猿爪573-27
営業時間:12:00~15:00/17:00~22:00(日曜~21:00)
休み:不定休
備考:席数:100席、個室:6室 ※紹介制、完全予約制、利用は4名以上

やまぐち(Yamaguchi)
<イタリアン/京都・祇園>

【キラーのひと皿】「自家製からすみのパスタ」/『やまぐち』冬場のスペシャリティー。自家製からすみはかけ放題、天然フグの白子たっぷりで、贅沢に絡ませて食べる。

 必死にスケジュール調整してでも行きたくなる、次は京都・祇園『やまぐち』を推薦します。

 完全紹介制だったよね。

 はい。東京で和食を学んだあと、京都の有名イタリアンで腕を振るった山口正シェフが2011年にオープンした店です。一見さんお断りが多い京都でも、完全紹介制イタリアンは珍しい。

 秋元がいつもそう言うから、僕もすぐ行きました。確かにどの料理も美味しかった。

 食事はカウンター席で?

 そう、6席だけのね。

ライヴ感溢れる料理のプレゼンテーションが楽しめる、人気のカウンター席/お茶屋が建ち並ぶ石畳の路地の奥に位置する。

 プラチナシートですね。

 以前から京都の知人によく「『やまぐち』に行きましょう」って熱心に誘われていたんだけど、「なんで京都まで来てイタリアン行かなあかんの」って断っていた。でも想像以上に、どの料理とも素晴らしかった。

 トリュフとかキャビアとか、食材も豪勢ですよね。自家製からすみも「お好きなだけどうぞ」って、ブワーッとかけてくれる。

 気分が上がるよね。

 予約は? 困難店だよね。

 カウンター席はもちろんのこと、2階の個室も予約がなかなか大変な人気店です。

千枚漬けで白甘鯛のカルパッチョをサンド/キャビアと穂紫蘇がアクセント。京都らしい素材使いも魅力。

 薫堂とも行きたいな。でもこの人、お忙しいからさ。

 ほんと、僕らはいつも誘うのに、見城さんも僕も愛情を注がれていない気がするんだけど(笑)。

 だから、今度は一緒に行きましょう、ね。はい(汗)。じゃ話を変えて秋元さん、ぜひ『やまぐち』のキラー料理を。

 コース料理で季節ごとに変わるから選ぶのが難しいんだけど、フィレ肉の炭火焼きは通年メニューだし絶品ですよ。

 自家製からすみは?

 「自家製からすみのパスタ」。そう、これをキラーに認定しましょう!

京都の有名イタリアンで磨いた腕を振るう、山口シェフ。
やまぐち(Yamaguchi)
TEL:075-708-7183
住所:京都府京都市東山区祇園町南側570-185
営業時間:17:00~L.O.20:30
休み:日曜
備考:席数:カウンター6席、個室:2室※完全紹介制、ランチは応相談

洋食 おがた(Yoshoku ogata)
<洋食/京都・烏丸御池>

【キラーのひと皿】「土鍋ビーフカレー」/「土鍋ビーフカレー」¥3,240。尾崎牛のすね肉を野菜や香辛料とともに丸1日じっくり煮こむ。

 京都って洋食文化が盛んなところではあるのですが、僕の今のイチオシは、なんと言っても『洋食おがた』です。

 京都の人たちに絶対に聞かれるもんなぁ。「『おがた』、行きましたか?」って。

 コテコテの洋食じゃなくて、和やフレンチの要素がちょっと入ってるのが今っぽいんです。

 洋食なら、やっぱり俺はオムライスとかハンバーグとか王道がいい。この店のキラーは?

 「土鍋ビーフカレー」です。

 カレー、いいなぁ。

 僕が「日本一、美味しい」と思うカレーの店が熊本にあるんですが、店主の緒方裕之さんはそこで修業していた人で。

 なんという店? 熊本の。

 以前ゲーテイストで紹介した『橋本』です。野菜の甘みが溶け出した欧風カレーの味は僕が生涯、忘れられない味。あと、見城さんが好きなハンバーグもとても美味しかったです。

 予約はできるの?

 人気店なのでかなり先まで予約で埋まっているみたい。でも絶対行く価値があります!

ハンバーグ¥1,680(100グラム~)/尾崎牛と南の島豚の旨みを堪能できる。
洋食 おがた(Yoshoku ogata)
TEL:075-223-2230
住所:京都府京都市中京区柳馬場押小路上ル等持寺町32-1
営業時間:11:30~L.O.13:30/17:30~L.O.21:00
休み:火曜(月1回不定休あり)
備考:席数:カウンター11席、テーブル12席、個室:なし

ほうば(Houba)
<韓国料理/京大阪・大江橋>

【キラーのひと皿】「牛カルビの煮込み」/「牛カルビの煮込み」はA3ランクの和牛を大根とナス、醤油ベースのタレで煮込んだひと品。トウガラシやにんにくを利かせて。

 次は、大阪の人気店から。天神橋に2002年にオープンして、15年7月に堂島に拡張移転した韓国料理店の『ほうば』です。ここもなかなか予約困難の店ですが、関西に行ったら必食ですね。

 ここ、超人気店ですよね。

 京都の芸妓ちゃんに「美味しいお店どこかない?」と聞くと、この『ほうば』か、滋賀の『比良山荘』を必ず紹介されるの。確かに料理が丁寧だよ。

 最初に野菜のナムルが小皿で15種類ほど出されるのも圧巻。ヘルシーな感じも◎ですね。

 意外なことにオーナーシェフの新井正彦さんは、イタリアン経験者。毎朝、鶴橋市場で山海の旬食材を厳選して、オモニの味を受け継ぎながら、独自のアイデアも盛り込んで身体に優しく、食べて健康になる韓国料理を追求している。さすがは韓国料理で、初めてミシュランガイドに掲載されただけありますよ。

 この店のキラー料理は?

 「牛カルビの煮込み」です。最後にタレを白いごはんにかけて食べるのも最高なんです。

ナムルは同店の名物/コースの最初に野菜を供することで、糖の吸収を抑える効果もあるとか。もやし、ホウレンソウ、まこも茸、カボチャ、ニンジン、黄ニラなど。料理は¥12,000~のコースの一例。
ほうば(Houba)
TEL:06-6456-0080
住所:大阪府大阪市北区堂島浜1-2-1 新ダイビル2F
営業時間:17:00~最終入店21:00
休み:木曜、不定休
備考:席数:カウンター5席、テーブル11席、個室:なし

イル コテキーノ(IL COTECHINO)
<イタリアン/山形>

【キラーのひと皿】「自家製ハム・サラミの盛り合わせ」/「シェフお薦めの自家製ハム・サラミの盛り合わせ」¥2,400。15種の自家製ハムが登場。イカスミ入り、豚ほほ肉、豚のレバー入りなど、モルタデッラだけでも4種を用意。

 見城さんが挙げられた恵比寿の『ペレグリーノ』は僕も大好きなんですが、山形にもとても素晴らしいハムやサラミを出す店があるんです。本当にすごいハム三昧で。オーナーの佐竹大志(ともゆき)さんがハムおたくで、すべて手作りしているんです。

 すごいね、どういう経緯で薫堂はこういう店を知るの?

 薫堂は東北芸術工科大学の企画構想学科の学科長だから、山形にも精通しているんです。

 いえ、そういうわけではないんですが......でも、とにかくこの店の何がすごいってハムやサラミが全部で25種くらい出てくるんです。6人でワインを5本くらい飲んで、満腹で動けないくらい食べて3万円くらいだったのも衝撃的で。東京じゃありえない!

 そんなにハムばっかりで、正直、飽きないの?

自家菜園のクレソンサラダ¥1,400/野菜も自ら栽培。

 ひとりひと切れずつ、味の濃淡をつけていろいろな種類が出てくるのでまったく飽きないんです。自家製ハムを作る熟成庫が3カ所あって、そこで常時40種の加工肉を作っていると言っていました。

見 しかし、よく見つけたね。

 はい。ここではワインを飲みながら、食べやすいモルタデッラで始まり、鮨でいう中トロみたいなボンレスハムを食べて、ガリのようなピクルスをつまみながら、ひたすらハムを食べるんです。途中でピザやペコリーノ・ロマーノがたっぷりかかったクレソンのサラダをはさんで。野菜も自家農園で育てているのですごくフレッシュ。こんな体験は東京じゃできない。

 予約は取れるの?

 今のところは大丈夫。店主の佐竹さんは、とにかくハム作りに愛情とこだわりを持っていらっしゃるので、行けばきっと満足すると思いますね。

イタリアでハム作りに目覚めた佐竹さん/「オリジナルハムを多数ご用意しています」。
イル コテキーノ(IL COTECHINO)
TEL:023-664-0765
住所:山形県山形市七日町4-1-32 松源ビル1F
営業時間:18:00~L.O.22:30
休み:水曜
備考:席数:カウンター6席、テーブル14席、個室:なし

厨(Kuriya)
<居酒屋/軽井沢>

【キラーのひと皿】「ヘルシー野菜のあんかけそば」/「ヘルシー野菜のあんかけそば」¥1,350。

 じゃあ僕の地方で発見した旨い店、軽井沢の『厨(くりや)』から。軽井沢で今、一番旨いと思っている居酒屋です。

 山小屋みたいなところですよね。美味しかったです。

 餃子や豆乳の担々麺、青椒肉絲が美味しくて。コロッケやメンチカツとかの洋食も美味しいし。具が色とりどりの「ヘルシー野菜のあんかけそば」という〆の焼きそばも絶品。揚げた麺じゃなくてカリッと焼いてあるの。基本的に中華ですが、洋食も和食もある。

 全部美味しそう。

 そう。全部旨いのよ。料理人は、奥で黙々と仕事していて全然表に出てこないけど、いい腕をしている。焼酎、日本酒の品揃えも入手困難な銘柄もちゃんと置いてあって目を見張るよ。

 最高ですね、夏でも予約は取れます?

 知る人ぞ知る意外な穴場だけど、ハイシーズンは混むかも。旧軽の別荘族サロンみたいな感じなので。オーナーの伊草弘泰(いぐさひろやす)さんの人柄も魅力。彼はシーズンが終わるとバリに行っちゃうの。で、またGW前くらいから営業するスタイルなんだよ。

アーティスティックで個性的な外観/深夜まで営業している。
厨(Kuriya)
TEL:0267-42-4436
住所:長野県北佐久郡軽井沢町軽井沢609
営業時間:17:00~L.O.24:00
休み:木曜、祝日 ※12~4月中旬まで冬期休業
備考:席数:カウンター6席、テーブル20席、個室:なし

実家 くろぎ(Jikka Kurogi)
<日本料理/宮崎>

【キラーのひと皿】「冷汁」/「冷汁」は¥14,500(税・サ込)のコースの一例。〆は鯛茶漬けか「冷汁」を選ぶことができる。鯵や鯛の骨を焼き出汁を取るなど、丁寧かつ心にしみる旨さを追求。

 『アイアンシェフ』に出演していた日本料理店『くろぎ』の黒木純さんのご両親がやっていらした、宮崎の割烹が移転して店名も変えて......。

 湯島の『くろぎ』の?

 その名も『実家 くろぎ』。

 そういうの面白いね。

 黒木さんが監修で、お父さんが今までやってきた割烹料理を出すという親子コラボレーションみたいな感じでして。

 宮崎に『実家 くろぎ』。いいね、すごく。

 宮崎の料理がメインで。もともと地元で人気の店なので、ファンもすごく多いんですよ。

 特に何が旨いの?

 「冷汁」が、もう今まで食べたなかでも一番でした。

 「冷汁」史上最高と。

 「冷汁」で、なかなか旨いと思うのってそうないよね。

 お父さんがこれまたいい男で。名刺の肩書きに店主じゃなくて"親父"って書いてあるのもいいなと(笑)。むしろこれをキラーにしたかったくらい。

 いいね。この冷汁のために、宮崎に行きたい。

食の道ひと筋、店主の黒木 浩さん。
実家 くろぎ(Jikka Kurogi)
TEL:0985-24-0910
住所:宮崎県宮崎市山崎町浜山シェラトン・グランデ・オーシャンリゾート1F
営業時間:12:00~13:00/17:30~22:00
休み:不定休
備考:席数:カウンター9席、テーブル12席、個室:1室(~10名)

長太郎飯店(Chotarohanten)
<中国料理/静岡>

【キラーのひと皿】「茄子そば」/ラーメンの上に麻婆茄子が。レタスのトッピングもグッドアイデアな「茄子そば」¥900。

 僕がやっているトークアプリ「755」で知った『長太郎飯店』を挙げたいです。オーナーの石田雅也(まさや)君が、僕に"やじコメ"をしてくれて。

小 来てくださいコール?

 いや、彼のトークを見てるうちにここは旨いだろうと。

 直感したんですね?

 そう。佇まいは住宅街にあるフツーの中華料理屋なんです。大きい厨房で石田君がひとり鼓舞奮闘。お母さんの接客も温かみがあっていいんだ。料理は、コクがあるのにさっぱりっていう矛盾してる両方を統合して乗り越えていて。餃子も「茄子そば」も、ちまきも抜群に旨い。

ニラとキャベツたっぷりの手作り餃子¥500。

 僕も「755」で見て、美味しそうって思いましたよ。

見 あと自家製の豚まんもふかふか! 中の具は三枚肉を甘めに味つけしてトロトロだし。すべて旨いけどお腹いっぱいになっちゃうから諦めて帰るのが辛いのね。以前ゲーテイストで紹介した『ドン・岩?』『ひでじ』、『長太郎飯店』『てんぷら 成生』(大人の遠足編)。静岡の四天王にふたりを4泊5日でお連れしたいな。

手作り豚まん¥330/ほか、チーズ豚まん、栗あんまんも人気。
長太郎飯店(Chotarohanten)
TEL:054-366-2363
住所:静岡県静岡市清水区西久保309-3
営業時間:11:00~L.O.13:30/16:00~L.O.19:30
休み:水曜、木曜
備考:席数:カウンター6席、テーブル20席、個室:なし

てんぷら 成生(Tempura Naruse)
<天ぷら/静岡>

【キラーのひと皿】「新タマネギの天ぷら」/半割りにした新タマネギを丸ごと揚げて手渡しに。アツアツにかぶりつく臨場感もご馳走。

 ここは大阪『カハラ』のオーナーシェフ、森義文(もりよしふみ)さんが「日本で一番旨い天ぷら屋を見つけました」と教えてくれた店です。電話したら奇跡的にキャンセルが出て、すぐ行きました。

 いかがでしたか?

見 なんとも凛々しい天ぷらです。味を閉じ込めるというのは、こういうことかと。ふたつの鍋を使い分けて、時間をかけて揚げたり、さっと揚げたり、素材ひとつひとつの揚げ方や供し方が違うんですよ。余熱まで計算して、今が一番美味しいって時に気迫で出してくれる。タマネギはじっくりと揚げてあって甘みと香ばしさが絶妙。ヤングコーンの天ぷらは手渡しだったな。

 丁寧な仕事ですね。

 手渡し! そのままかぶりつくんですか?

 そう。手に持ってかぶりつくのと箸で食べるのでは、臨場感が全然違う。温度感も香りも。一番旨い瞬間を逃してほしくない、っていう気持ちの表れだよ。

 革新的ですね、手渡しって。

左:桜海老を餌に育ったアジ。厚切りにして短時間で揚げ、レアで供される/右:シャキッ、ねっとりの歯応えが独特。生産量の希少な〝あさはた蓮根?は醤油でいただく。

 素材は魚介も野菜も静岡産にこだわっていて、焼津の魚の仲卸にすごい目利きがいて、築地とかに行く前にいいものが入るらしい。海老は浜名湖の天然が入った時しか揚げないそう。季節によって揚げる素材も変わるし、とにかく魅了されるよ。

 江戸前とも違う感じですね。

 そう。鰆とか東京じゃ揚げないよね? これがもう死にたくなるほど旨いの!

 春までに行かなきゃ。

 あと、入店直後からずっとメイクイーンが鍋に入ってて。いつ出んのかなと思ってたら、30分くらいして紙に包んで手渡されて。新しい天ぷらの世界を見た、という感じでしたよ。

近くの麻機沼(あさはたぬま)で栽培されている〝あさはた蓮根?や極太の大浦牛蒡(おおうらごぼう)をはじめ、すべて静岡産の野菜を使っている。志村さんが早朝に自ら畑に足を運び採ってくることもある。
てんぷら 成生(Tempura Naruse)
TEL:054-273-0703
住所:静岡県静岡市葵区鷹匠2-5-12
営業時間:12:00~14:00(前日までの要予約)/17:00~L.O.22:00
休み:月曜
備考:席数:カウンター7席、個室:なし

Cooperation=Sweet Thick Omelet,inc. Text=粂 真美子、小寺慶子、藤田実子、山本真由美、中井シノブ Photograph=薄井一議、上田佳代子、鈴木拓也、中庭諭生、大谷次郎、菊池陽一郎、内藤貞保、福森クニヒロ、笹原健裕、比田勝大直

*本記事の内容は17年1月1日取材のものに基づきます。価格、商品の有無などは時期により異なりますので予めご了承下さい。 14年4月以降の記事では原則、税抜き価格を掲載しています。(14年3月以前は原則、税込み価格)