京都グルメ 旦那衆がガイドする しっぽりキメる京の夜

京都を知り尽くした男には、大切な人を誘い"そっと通う"店がある。今宵の物語を考えながら店や空間を選ぶのは、至福の作業でもあるのだ。

相手を思い遣る店選びは、京男の粋の神髄である

案内人 齋藤上太郎

案内人 斉藤上太郎(Jotaro Saito) 1969年京都府生まれ。気鋭のキモノデザイナーとして活躍。ザ・リッツ・カールトン東京のエクステリアデザインや、星のや東京の滞在着ほか、幅広くデザインを手がける。

『バー アールエム』

わずか6席という特別感もいい。

祇園新橋の路地奥、ふと見過ごしてしまいそうな扉の先、階段を上るとまるで屋根裏のような空間が広がる。「自分が居心地いいと思う行きつけの店にお連れすることで、語らずとも人となりを知ってもらえる」と斉藤さん。広めにとった客席、品のよい設えや時代を経た骨董グラスからも、上質な時間を過ごしてほしいという店の思いが伝わり、寛ぐことができる。

女性には、季節の果物を使ったカクテルを。マスカットのカクテル¥1,500。
Bar RM
TEL:075-525-5510
住所:京都市東山区大和大路新橋東入ル元吉町59-1
営業時間:19:00~L.O.翌2:00
休み:火曜
席数:6席  
料金:チャージ¥800、カクテル¥1,000~、グラスワイン¥1,500~


『割烹 なか川 四条店』

斉藤さんとは30年来の付き合いの2代目・仲川昌宏さんが腕をふるう。

肩を寄せあい並ぶ半地下のカウンター席目前には、高瀬川のせせらぎ。「抜群のロケーション」と斉藤さんも絶賛するこちらは、はもしゃぶの元祖として知られる「なか川」の姉妹店。風情ある個室も揃えるが、本店よりもカジュアルに本格和食が楽しめるのが魅力だ。看板のコース料理では、〆(しめ)のはもしゃぶ雑炊がまた絶品。

淡路産のはもは大ぶりで、出汁にくぐらせると花のように咲く。
秋にはコースに松茸が登場することも。
七輪で焼くもろこは格別。
個室は4タイプ。茶室風の個室も。
Kappou nakagawa Shijoten
TEL:075-352-3511
住所:京都市下京区西木屋町通四条下ル船頭町237-5
営業時間:12:00~L.O.13:30/17:00~L.O.21:30
休み:月曜
URL:http://kappou-nakagawa-shijo.com
席数:35席、個室:7室  
料金:はもしゃぶ入りコース¥8,640~(アラカルトあり、サービス料別)
※完全予約制


『ぎをん 森幸』

青蓮院の襖絵も手がけた木村英輝さんの孔雀の絵が目を引く店内。

知恩院門前の白川沿いにひっそりと佇む広東料理の老舗。新鮮な食材と確かな技で作る京風中華は、ニンニクを控えながらもしっかりと旨味が利いていて、また京都在住の現代画家・木村英輝(ひでき)さんの華やかなアートも楽しめるとあり、女性たちを喜ばせる。夜は川沿いの柳並木の小道に明かりが灯り、しっとりした情緒が漂ってくる。

皮から手作りする人気の春巻¥1,100。
昭和30年に創業し、親子3代にわたるファンも多い。
Gion Morikoh
TEL:075-531-8000
住所:京都市東山区白川筋知恩院橋上ル西側556
営業時間:11:30~13:30/17:00~21:00
休み:水曜(祝日は営業)
URL:http://morikoh.com
席数:20席、個室:3室  
料金:焼き飯¥700、日替りランチ¥800、コース夜¥3,300~


『リストランテ ティ・ヴォリオ・ベーネ』

左:秋以降は必ず出すスペシャリテ「赤座エビとフルーツトマトのカッペリー二」。右:14種以上もの旬の野菜が味わえるサラダ(ともに¥15,500のコースより)。

「京都でイタリアンという時はココ」と斉藤さん一押しの店。京都の地野菜をふんだんに使った身体を気遣う料理は、地元のファンも多い。特に北区鷹峯・樋口農園の野菜は甘さや渋さ、食感が存分に発揮されていて美味。イタリア語で「親愛なるあなたへ」という意味も持つ店名のごとく、特別な人を連れていきたくなる1軒だ。

隠れ家のような入口。
元町家とは思えないモダンな店内。
Ristorante t.v.b
TEL:075-525-7070
住所:京都市東山区祇園町南側570-155
営業時間:12:00~L.O.14:00/18:30~L.O.21:30
休み:日曜、第3または第4月曜
URL:http://ristorante-tvb.com
席数:28席、個室:1室  
料金:昼¥8,200~、夜¥15,500~(サービス料別)


『ぎをん BAR kaen』

時に芸舞妓の姿も見られるカウンター。

新橋通のおばんざい割烹「ぎをん 華苑」併設のバーとして、今春オープン。町家を改装した大人の憩いの空間に、祇園で遊び慣れた人々が足を運ぶ。時にはひとりで訪れて庭を眺めながらグラスを傾け、ママと静かに語らえば甘美な酔いが訪れる。肉うどんなどのフードも充実。深夜4時まで営業と、使い勝手のよさも嬉しい。

格別な雰囲気を醸し出す個室。
人気のおにぎりは味噌汁つき¥1,000。
近江牛のカツサンド¥3,800。
「遅がけの食事にも使うてくれはったら」とオーナーの大原三花さん。
Gion Bar kaen
TEL:075-741-6992
住所:京都市東山区新橋通大和大路東入元吉町57-1
営業時間:20:00~翌4:00
休み:日曜、祝日不定休
席数:14席、個室:1室  
料金:チャージ¥1,000(個室¥2,000)、ウイスキー¥1000~


京の男には、町の魅力を再発見する時間が必要だ

案内人 細尾真孝

案内人 細尾真孝(Masataka Hosoo) 1978年京都府生まれ。西陣織の老舗、細尾の12代目。14年日経ビジネス誌『日本の主役100人』に選出。16年、米MITディレクターズフェローに就任。

『閑臥庵』

左:筝羹(しゅんかん)(煮合せ)は、湯葉巻など10種類ほど。右:野菜や花の天ぷら、揚油(ヤンウー)も(料理はコースの一例)。

「ここは、クリエイティブな感性が刺激されます」と、国内外のクリエーターを招くことが多い細尾さんにとって、閑臥庵でのディナーはとっておきのカードだ。開山が1671年の由緒ある禅寺だが、光で陰影を見せる庭や、黒壁に配したシャンデリアなど、寺とは思えぬ演出に満ちている。豆腐と牛蒡(ごぼう)で再現した鰻のかば焼などの普茶(ふちゃ)料理もゲストを大いに喜ばせる。

日が落ちると行燈(あんどん)など照明が灯る。
Kanga an
TEL:075-256-2480
住所:京都市北区烏丸通鞍馬口東入ル
営業時間:12:00~13:00/17:00~19:00
休み:無休
URL:http://kangaan.jp
席数:80席、個室:11室  
料金:普茶料理¥5,400~(サービス料別)
※2人前以上、3日前までに要予約


『酒陶 柳野』

一枚板の長いカウンター。土壁に一輪挿しのみのシンプルな造りは、茶室をイメージ。

土や木の素材感を活かした洗練の空間や、店主の柳野浩成さんが供する旨い酒と雰囲気に惹かれ、京都のバー好き、酒好きが通う。バーでは珍しい和食を出し、食事メインでも、2、3軒目に酒肴(しゅこう)と一杯でも、使い分けて楽しめるのがいい。こだわりのワインと小皿料理をじっくり味わえる心地よい時間に、ふたりの距離も縮まるはずだ。

ふっくら香ばしいカマスの焼物¥1,000は茸おろしでさっぱりと。
スペインのメンシア(グラス¥1,200)ほか、ワインは少数精鋭を揃える。
Shutou Yanagino
TEL:075-253-4310
住所:京都市中京区三条通新町西入
営業時間:18:00~翌2:00
休み:無休
席数:18席  
料金:チャージ¥500、カクテル¥900~、グラスワイン¥1,00~ 
※木曜はノーフード


『京都鴨川倶楽部』

鴨川を一望できる個室。

長い石畳のアプローチを進んだ先にあるのは、かつて旅館だった町家風情が残るレストラン。本場トスカーナで修業を重ねたシェフの本格的イタリアンと80種類以上ものワインに加え、いずれの席からも鴨川の眺めが楽しめるのがこの店の自慢。カウンター席もいいが、リザーブするなら2階の個室を。ふたり並んで鴨川を一望しながら京情緒と美酒を満喫すれば気分もほっこり、この空間にいる幸せに満ちてくる。

石畳の先に店は佇む。
自家製パッパルデッレ仏産鴨もも肉とポルチーニ茸の煮込みソース¥1,800。
ぺリゴール産フォアグラカナールのソテー¥1,500。
Kyoto Kamogawa Club
TEL:075-353-2258
住所:京都市下京区木屋町通仏光寺上ル天王町151番地
営業時間:18:00~L.O.翌1:00
(日曜・祝日~L.O.24:00、月曜が祝日の場合~L.O.翌1:00)
休み:不定休
URL:http://kamogawaclub.com
席数:12席、個室:3室  
料金:コース¥5,500~、バー利用はチャージ¥1,000


『游美』

檜の一枚板のカウンターを配した店内は、落ち着いた雰囲気。

茶屋が軒を連ねる宮川町の割烹は、特別な日の切り札として使いたい。「ご主人は、もと東京やフランスの有名店でフレンチのシェフとして活躍された方。お料理の軽やかさにも驚かされます」と細尾さん。さり気ない明代の器使いを堪能しながら繊細な料理に舌鼓を打つうちに、隣り合うふたりの会話も自ずと弾んでくる。

左:甘鯛の細造りからすみかけは、¥15,000コースの一品。右:伊賀牛と松茸、九条ねぎ、山椒醤油かけは、フレンチの技巧を使い牛肉の肉汁で松茸を炒めた。


Yuubi
TEL:075-541-0879
住所:京都市東山区新宮川通松原下ル西御門町444
営業時間:11:30~13:00/17:30~20:00
休み:不定休
席数:14席  
料金:昼¥4,000~、夜¥10,000~ ※完全予約制


『スフェラ・バー・サトナカ』

ソファ席はグループでの利用も可能。

店内奥の窓辺に面したソファ席が出色(しゅっしょく)だ。「何度かデートを重ね、今日こそキメたいと思う夜のひと押しを、ふたりで貸し切っていただくこの空間が手助けできると思います」と、バーテンダーの桧原玄次(ひはらげんじ)さんも太鼓判を押す。京都っぽい演出を控えたスタイリッシュさが、敢えてここを選んだ、という男の優越感を満たす。

細尾さんの定番はゴッドファーザー¥1,620(左)。女性には旬のフルーツカクテルを薦めたい。ブドウのティッツィアーノ¥1,944。
スタイリッシュなカウンターは11席。
Sfera Bar Satonaka
TEL:075-541-1197
住所:京都市東山区縄手通り新橋上ル西側 スフェラ・ビル3F
営業時間:19:00~翌4:00
休み:日曜
席数:17席  
料金:チャージ¥1,080、カクテル¥1,296~、スコッチウイスキー¥1,080~


Text=武井聡子、中井シノブ、廣瀬由仁子、山本真由美、築鐘柿子 Photograph=福森クニヒロ、内藤貞保


*本記事の内容は16年10月取材のものに基づきます。価格、商品の有無などは時期により異なりますので予めご了承下さい。 14年4月以降の記事では原則、税抜き価格を掲載しています。(14年3月以前は原則、税込み価格)