日光「四代目徳次郎」の天然氷の美味しさの秘密とは? 名人と一緒に"切り出し"へ<後編>

去る2月2日、会員制美食サロン「CHEF-1×GOETHE北参道倶楽部」発足以来初の“食材の生産地を辿る旅”が実現した。場所は栃木県日光市、日本に7ヵ所しか残っていない天然氷の蔵元の一つ、『四代目徳次郎』。極上の天然氷を護るため、住所非公開となっている場所に「北参道倶楽部」が入ることが許された。後編では四代目のお話、そし天然氷でつくったかき氷についてレポートする。


極上の天然氷でつくるかき氷

四代目が『氷屋徳次郎』を引き継いだのは2006年のこと。作業員の高齢化と後継者不在で先代が既に廃業を決めていたが、「日光の風物詩と文化を守るため」1ヵ月通い詰めて先代を説得し、『徳次郎』を継承した。

継承した当初、切り出し作業は6人だけで行っていた。今のように多くの人が切り出しの手伝いに来てくれるようになったのは四代目が『徳次郎』を継承して3年経った頃からだという。

「それまでは地域の年寄りたちだけでやっていたから、高齢化で衰退してしまっていました。でも、楽しくやっていたら私の氷を使ってくれている人や一緒に山遊びをしている人などを中心に、どんどん人が増えていきました。

ここに来ると美味しいものが食べられるからと、お昼だけ食べに来る人もいるけど、それでもいいんです」と言って四代目は笑顔を見せる。「来てくれる人にはいい思いをして帰ってもらいたい。ここで生まれる人と人とのつながりこそが大事なんです。それが氷づくりを文化として残していくことにつながります」

協力者や知名度が順調に増していく一方で、自然を相手にする氷づくりは今でも試行錯誤の連続だ、と四代目は言う。今年は何年かぶりに先代のアドバイスを仰いだ。

「硬くて透明な本当にいい天然氷はミネラルや不純物が一切入っておらず、氷の六角形の結晶がハチの巣状にできます。マイナス六度くらいになると凍り始め、氷が成長しているのが目に見える。氷の結晶を見るとこれは硬いな、柔らかいなというのはすぐわかるので、柔らかいときには割ってつくり直します。だけどいつまでもこの氷は駄目だからと壊してばかりいたら春が来てしまうので、いい意味での諦めも必要です。正直なところ、やっぱりこの間割った氷の方がよかったって思うこともあります。その判断をするときが一番大変。親方が正解だったね、と言ってくれるとやっぱり安心しますね。外には見せないけど、不安は常にあります」

この日は三代目のお姿も。左から山田宏巳シェフ、五代目山本仁一郎さん、四代目山本雄一郎さん、三代目吉新良次さん 。

12月初旬から2月初旬までの厳しい寒さの中での天然氷づくりが終わると、3月末まではメイプルシロップとイチゴシロップづくりに勤しみ、5月から全国で始まるかき氷の販売に備える。四代目も夏は日光霧降高原の「チロリン村」で観光業を営み、天然氷を使ったかき氷を提供している。あまりの人気のため、2時間待ちの日も珍しくないという。

「初めていらっしゃった観光客の方はかき氷を食べるのに2時間も待つのか、と驚きます。常連のお客さんがその方たちに『ここのかき氷はそのぐらい待つ価値がありますよ』と言ってくれる。お客さんがかき氷を食べた瞬間にどういう風に顔が動くのか、それを見るのが氷を作つくっていて最も嬉しい瞬間なんです」

その2時間待ちの『四代目徳次郎』の天然氷を使用した極上のかき氷を味わうため、四代目から貴重なお話をうかがった北参道倶楽部一行は一路、東京にある山田宏巳シェフのお店「テストキッチンH」へ向かった。

「テストキッチンH」に到着すると、早速山田シェフが採れたての天然氷でかき氷をつくってくれた。『四代目徳次郎』の天然氷は世界一を目指しているというその硬さゆえ、かき氷にすると非常に溶けにくく、ふわふわとした食感になる。

天然氷を手にする山田シェフ。氷の中にうっすらと見える線が一晩で醸成された分を示す。

そこに山田シェフ特製のイチゴシロップとクリームホイップがのっているのだから、美味しくないはずがない。一同、首を長くして待っていると、見た目だけですでにただならぬオーラを放っているかき氷が運ばれてきた。

『四代目徳次郎』の天然氷を使用したかき氷。山田シェフ特製のいちごシロップとクリームホイップが組み合わったこの日だけのスペシャルバージョン。いちごは静岡の「あかずきんちゃん」。

氷を口に入れると氷が優しく消えていく。同時に山田シェフ特製のいちごシロップが口の中に甘い香りを残し、静岡県産のいちご「あかずきんちゃん」がそれに負けないくらいのしっかりとした甘さと食感で存在感を示す。

まさに至福。『四代目徳次郎』の方々の想いも一緒に噛みしめつつ、かき氷を夢中で頬張る。冬に食べるかき氷がこんなに美味しいとは! 参加したメンバー一同大満足でイベントは幕を閉じた。

今回は、「北参道倶楽部」史上、初めての“食材の生産地を巡る旅”だった。どんな場所で、どんな人が、どんな想いで食材を育てているのか。それを目にした後では、食に対する想い、見方が変わってくる。実際に食材の生産地を辿ってみることは想像以上に勉強になることが多く、「北参道倶楽部」ならではのスペシャルなイベントとなった。

先代を説得するために毎朝5時半に通い詰めた待合室の椅子に座る四代目山本雄一郎さん。横には三代目が座る場所を示す「三代目御席」の貼り紙も。

このように、スターシェフと一緒に極秘の生産地を訪れる機会が得られたり、超絶美食体験ができるのは「CHEF-1×GOETHE 北参道倶楽部」ならでは。今後も、スターシェフだけが知り得る、最高級の食材を仕入れるルートと人脈を駆使し、多種多様な究極の美食体験をメンバーたちへ届けていく。

興味のある人は、ゲーテサロンメンバーに登録後、ぜひ「CHEF-1×GOETHE 北参道倶楽部」の一員に!

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CHEF-1×GOETHE 北参道倶楽部ラインナップ

<3月>
・17日(日)「赤坂離宮」譚シェフが香港で買い付けた超貴重食材を食す会
・25日(月) 日本一予約の取れない焼肉店「クロッサムモリタ」の庭の桜でお花見! 美食の園遊会

<4月>
・14日(日) 料理人がこぞって通う滋賀県「徳山鮨」スペシャルコース!

<5月>
決まり次第、お知らせいたしいます。

<6月>
・4日(火) テストキッチンH1周年パーティー 山形イル コテキーノ佐竹シェフとコラボ! 自家製ハム25種類とコテキーノを満喫
etc.

※ラインナップは場合によって変更になることがあります。その他のイベントも決まり次第、お知らせいたします。

※ラインナップは場合によって変更になることがあります。5月以降も決まり次第、お知らせいたします。


Text=河田智樹(ゲーテWEB編集部)