ハワイSUSHI最前線 日本では味わえないすしがある

今、ハワイには日本の名店が続々上陸。職人たちが日本を離れ、ハワイにやってきた理由、そしてここにしかないSUSHIとは!?


日本のすしを救うため、ハワイに上陸した巨匠の心意気

すし匠(Sushisho)

道具入れには装飾が施され、ライトアップされたカウンターはまるで劇場のようなつくり。

「ハワイだからこそ、すしの原点に戻れるんです」。カウンター越しに、そう語り始めた中澤圭二(けいじ)氏。創業して28年間、大切に育て上げた四谷の名店に別れを告げ、昨年の9月からワイキキのザ・リッツ・カールトン・レジデンス ワイキキビーチの8階に店を構える。 

ハワイはにわかにすしブーム。日本の名だたる名店のオープンが続くなか、中澤氏もその波に乗ったかといえばそうではない。

「日本の魚は世界一と称されています。でも今のままでは、いずれいい魚は高騰し、世界の富裕層だけのものになってしまう。本マグロがいい例です。だからハワイでやるからには、その土地のネタで旨いすしを握りたい」 

中澤氏はハワイの魚や素材と向き合い、すしネタとして最高の味を醸し出すようにと、手間暇をかけ、誠心誠意を込めた手当てを魚に施す日々が続く。

「アワビは蒸す、穴子は炊くと旨い。ものには合わせた使い方があるんです。ハワイの魚にどう手当てをするか。知恵を振り絞るのは、職人冥利に尽きます」

流れるようにシャリとネタを合わせ、刷毛で丁寧にタレを塗る。連日満席が納得できる美しい所作である。

中澤氏が向き合うのは、モイ、オノ、オパ、サーモンなど、ハワイ近郊で採れる魚やアメリカ本土から届く素材だ。モイは米麹に入れて発酵させ、オパのハラスは酒粕と味噌をつけて焼く。江戸前の原点である"いかに魚を持たせるか"という考えを、"発酵で旨みを引き出す"に置き換えた技は、中澤氏らしい。

「同時にね、我々の業界を夢のある仕事にしたいんですよ」

ハワイではすしブームだが、すし業界自体は人材不足に喘ぐ。

「私がハワイで楽しくやっている姿を見せて、若い子が夢を持ってくれればと思っています。もちろん地元の職人も育てたい」 

ハワイ出店からまもなく1年。

「世界一気持ちいい場所で、新しいものを作るんだからストレスなし(笑)。でも仕事面では2、3年で答えを出さなきゃという現実もあります。だから毎日がライブです」

"オパ"(アカマンボウ)のハラスを酒粕と味噌をつけて焼き、上にはフィンガーライムを搾ってのせる。わさびはオレゴンから取り寄せたもの。
Sushisho
住所:The Ritz-Carlton Residences Waikiki Beach,383 Kalaimoku st.
TEL:808-729-9717
営業時間:First Seating 17:00~19:30 Second Seating 20:00~22:30
定休日:日曜


極上の空間で許された者だけが食せる絶品

ヴィンテージ・ケイブ ホノルル(Vintage Cave Honolulu)

洞窟をイメージした約1400平方メートルの店内で、セミプライベートな空間となっているメンバーのためだけの特別なすしカウンター。

会員制、限られたメンバーだけが足を運べるこのヴィンテージ・ケイブ。そのすしカウンターに座れるのは、毎夜1組だけの狭き門だ。コースは増田操(みさお)料理長が作るお任せのみ。

「前菜、刺身、火の入った料理、すしをお出しします。ここは、美術品が並ぶ空間を楽しんでいただく場所。料理もアートだと思いお作りしています」(増田氏)

圧倒的存在感を誇るのはエメラルドでつくられたシャンデリア。店内にはピカソなどの名画とともに他にもルビーのシャンデリアが。

素材のほとんどは日本から。この日の大トロは奄美大島、ノドグロは高知から届いていた。

「沖縄のミーバイ、北海道のゴリ、メイタガレイなど、地方の面白い魚も仕入れます。『日本でも食べたことがない』と驚かれるお客様も多いですよ。羽田の市場や、漁師に直接オーダーしここにやってきます。鮮度でも、東京に負けません」

ガリは竹生姜を茹で、梅を加え漬ける。食後のお茶も目の前で煎って香りも楽しんでもらう。とことん手間をかけ、訪れた客を五感で楽しませる。それがこのすしカウンターの鉄則だ。

Vintage Cave Honolulu
住所:1450 Ala Moana Blvd.
TEL:808-441-1744
営業時間:18:00~23:00
定休日:日曜
備考:※すしカウンターは会員のみ利用可能


ハワイのすしのパイオニア。その貫禄のもてなしと味

鮨 銀座おのでら(Sushi Ginza Onodera)

銀座本店がオープンした半年後、2013年11月にホノルル店が始動。現在はすしだけで、世界中に6店舗を構える。

いらっしゃいませ――の声に迎えられて店内へ。ここがハワイであることを忘れるほどの、生粋(きっすい)の江戸前ずしに出会える店だ。

職人は料理長を含めて2名。カウンター7席、7席の個室と4席の個室も。

「鮨 銀座おのでら」は"銀座から世界へ"をコンセプトに、銀座本店で修業を積んだ職人たちが、カウンター越しに生き生きと動く。ハワイに最初に築地の本マグロを卸したのもこの店。

「ハワイには生で食べられるキハダやメバチマグロもありますが、やはり本マグロを食べたいというお客様も多いのです」と総料理長の坂上暁史(あきふみ)氏。

メニューはお任せの"極(きわみ)"のみ。つまみ6~7点とにぎり10貫にお椀とデザートが味わえる。この日は赤ワインで煮たあん肝と毛ガニの土佐酢ジュレ、そして半日かけて軟らかく煮たハワイ島コナのアワビなどが並んだ。

握りがのせられているのは備前焼の器。日本酒は江戸切子、ビールは松徳硝子(しょうとくがらす) のうすはりグラスで。

「日本酒は黒龍のしずくや八十八号、またハワイ産の芋焼酎波花もぜひお試しください」

アロハの心を感じながら、江戸前ずしを堪能したい。

Sushi Ginza Onodera
住所:808 kapahulu Ave.
TEL:808-735-2375
営業時間:First Seating 17:30~、Second Seating 20:00~
定休日:月曜


札幌の名店がハワイに完成。師弟の絆が生む唯一無二の味

◯鮨(Maru Sushi)

左: この手が優しく握るすしは、とにかく旨い! 右:身体でリズムをとるように鮨を握る川崎大将。

親子2代でミシュラン一ツ星を獲得し話題になった、札幌・すすきのの名店「○鮨」。その父、川崎武司氏が今年2月、ホノルルに新店舗を開店。

「うちの特徴はシャリと一緒に噛める鮨。噛めないものは、鮨ネタとして失格だと思う」と豪快に言い切るだけあり、仕込みはとことん丁寧だ。手間がかかる干し数の子や、ハマグリのすしがハワイで食べられるとは。

アワビ以外はすべて日本から。アジも息子の純之亮(じゅんのすけ)さんが頭とワタを取って送ってくれる。

「息子が煮て日本から送るからハマグリが出せる(生は輸入禁止)。彼を独立させたくてここに来たけど、その甲斐はあった」

若き職人のため日本を去った男のすしは実に味わい深い。

Maru Sushi
住所:1731 Kalakaua Ave.
TEL:808-951-4445
営業時間:First Seating 17:00~19:30
     Second Seating19:30~22:00(どちらも6歳以上より)
定休日:日・月曜


日本よりも旨いまぐろがここにはある

まぐろ屋(Maguro-ya)

広島県出身。大阪の料理屋で修業した後、ハワイへ。2000年カイムキにまぐろ屋を開業した小原氏。

「ハワイのすしの魅力は何と言っても生のまぐろが食べられること」と語るのは、カイムキで「まぐろ屋」を開業して17年の小原五郎氏。ハワイではメバチ、キハダといったまぐろが揚がるので、日本とは違い冷凍ではない生が基本なのだ。

まぐろの切り身と玉ねぎ、海藻などを、ごま油や醤油などで和えたポケ丼 25ドル(値段は日によって変動)。

「日本からいらした方も赤身の新鮮さに驚いていますよ。メバチは中トロも旨い! あとはポケ丼や、まぐろを刺身、焼き、揚げと3種の調理法で食べる『まぐろづくし』が人気です」

他にボイルして食べる「まぐろの皮」などのメニューも。新鮮だからこそ楽しめる、まぐろ三昧を愉しみたい。

Maguro-ya
住所:3565 Waialae Ave.
TEL:808-732-3775
営業時間:11:00~13:45、17:00~21:30(金・土曜~22:00)
定休日:月曜


ワードビレッジに移転した、NOBUのすしカウンターで一献

ノブ ホノルル(NOBU HONOLULU)

左右:カリフォルニアロール 12ドル。中:ソフトシェルクラブロール 15ドル。焼き物メニューも豊富。

ワイキキのNOBUが再開発中のワードビレッジの高級レジデンス「ワイエア」の1階に、昨年12月に移転した。

「NOBU HONOLULU」は、広い店内に6席の鉄板焼き専用カウンター、そして13席あるすしカウンターが印象的。

ネタを見ながらオーダーできるカウンター席。にぎりは4ドル~。

「すし職人は日本人が4人、ローカルが5人。ネタは世界各国から届き、地元ではまぐろ、コナのカンパチやアワビなど。ワイキキから移転して、ローカルのお客さんが増えました」

とヘッドスシシェフの小野好夫氏。オープンエアのバーで、海風を感じながらすしを注文......なんて贅沢も。

ローカルの板前トム氏が笑顔でサーブ。
NOBU HONOLULU
住所:Waiea Tower,1118 Ala Moana Blvd.
TEL:808-237-6999
営業時間:17:00~22:00(日~木曜、金・土曜~22:30)
定休日:無


ハワイツウが通いつめる和食店カウンターでつまむ粋

凜花(Rinka)

うに、いくら、ボタンエビなど、新鮮なネタをにぎった「にぎり盛り合わせ(上)」36.75ドル。

ハワイ在住の日本人やリピーターに人気の和食屋といえば「凜花」である。「ハワイの人たちはすしを食べ慣れているんです。だから日本と変わらないものをお出しできるようにしています」 

と大阪で修業を積んだ、総料理長の薗田一文(そのだかずふみ)氏。 

笑顔が優しい薗田氏。カウンターで会話を楽しむのもオツ。

素材は築地からの直送と鮮度のいいハワイ産のまぐろやアワビなど。店内にはすしカウンターをはじめ、テーブル席のほかに6人がけと4人がけの座敷も。

カウンターは6席。ビール、日本酒や焼酎、ケンゾー・エステートのワインなども揃う。

「すし以外にも一品料理、しゃぶしゃぶや鍋も人気です」

昼でもにぎりや海鮮ちらしを注文できるのもありがたい。

Rinka
住所:1500 Kapiolani Blvd.#102
TEL:808-941-5159
営業時間:11:00~14:00(月~土曜)、17:00~23:00
定休日:無