本能で謳歌せよ! 東京・熱愛イタリアン

新鮮な食材を用いた郷土料理とワインを、仲間や恋人と心から楽しむ。それがイタリア人の極意だ。今回紹介するのは、その美学を東京で再現する最旬イタリアンの6軒。物事が絶妙に展開する、という意味を持つイタリアの諺(ことわざ)"cacio su maccheroni(マカロニの上のチーズ)"のごとく、プライベートもビジネスも円滑に盛り上げる名レストランへ誘いたい。

コラボパスタと伝統料理の進化懐深いメニューに恋する旬店『ロットチェント』

人気リストランテを展開するサローネグループの次なる一手は、なんとオステリア。昼はパスタ屋、夜はアラカルトオンリーのカジュアルイタリアンだ。

厨房で腕を揮(ふる)う樋口敬洋(ひぐちたかひろ)シェフがイタリアの伝統料理を、より印象に残る形で提供する。

店は樋口シェフが探求、開発し続ける食材のアウトプットの場だという。

「コースではできなかったこと」

それが、シェフがこの店に見る可能性。流れやバランスを大切にするコースに対し、アラカルトのみのこちらは一品完結型。塩や香辛料をしっかり利かせ、本場さながらの存在感に仕上げる。パスタも同様にインパクト抜群。ラーメンの人気製麺所「浅草開花楼」と共同開発した太麺は、シェフがシチリアで覚えた感動が伝わるような小麦粉の味わいが感じられるできばえだ。

名物! たこジャガ¥2,800。伝統料理インウーミドをアレンジした魚介のスープが香るひと品。ジャガイモは崩れる寸前、タコはしっとりレアに煮た心に染みる食感。
肩肘張らずに、美味しい料理とワインが楽しめる。

気軽な雰囲気のなか、力強い旨さを噛みしめる。名店の実力に溺愛しそうになる1軒だ。

L'ottocento
TEL:03-6231-0831
住所:東京都中央区日本橋小網町11-9
   ザ・パークレックス小網町第2ビル1
アクセス:地下鉄茅場町駅7番出口より徒歩5分
営業時間:11:30~L.O.13:30/17:30~L.O.22:00
休み:日曜、第1・3月曜
URL:http://www.lottocento.tokyo
備考席数:30席



"料理人ではなく、技術者" パスタを極めし求道者の境地へ『バーゼ』

メニューはパスタ1種類のみ。味つけは胡椒とパルミジャーノチーズ、オリーブオイルだけと潔い。ボローニャのパスタ学校で学び、同校でプロコースの講師も務めたという河村耕作(かわむらこうさく)氏。

店主の河村氏。120センチある麺棒はイタリアで師匠から贈られた氏の宝。

肩書きはパスタ打ち。「バーゼ」はあくまで製麺教室及び卸であり、工房奥にある店は「手打ちパスタのお試しの場」だと言う。

「パスタ打ちは精神力が必要。その間はパスタのことだけ考える」と、河村氏がパスタを打つのは一日6時間までと決めている。

なかでも肝となるのは生地捏(こ)ね。空気と水分の含有量を大切に、最上の食感に仕上げていく。

本日のパスタ¥1,000。打ってから1週間~10日間ほど熟成させ、小麦の香りが柔らかくなった頃に提供。シンプルに徹した味つけがパスタの持ち味をダイレクトに伝える。
75gのセミドライパスタを使用。パスタはプリモ(1皿目)の存在であり、イタリアの正しい食文化を浸透させたいという思いから、提供するパスタは少なめのポーション。

「アルデンテが常にベストではない。それぞれのパスタに合う食感があるということを、知ってほしい」と話すとおり、絶妙な水分を含んだ食感は軽やか。

「手打ちパスタを広め、イタリアと勝負したい」と語る河村氏。

パスタ道を極める男気。食通にこそ試してほしい傑作だ。


通りからは工房の作業風景が覗ける。窓ガラスには"パスタ打ちのパスタ"の文字が刻まれている。
工房の奥に本物のパスタを味わえるカウンターとテーブル席を用意。
Base
TEL:03-5844-6992
住所:東京都文京区小石川5-34-10 長島ビル1F
アクセス:地下鉄茗荷谷駅より徒歩8分
営業時間:12:00~14:30/17:30~22:30
休み:日曜
URL:http://pasta-base.com
席数:8席


仲間と"仕事愛"を語り合う深夜イタリアン『ロバット』

自慢の肉料理にはA5ランクの黒毛和牛を使用。タン、ハツ、肩サンカクと多彩な部位の個性に合わせた特製ソースで堪能させる。黒毛和牛の切り落としで作るボロネーゼも必食だ。

A5黒毛和牛肩サンカクのカツレツ¥3,600。
黒毛和牛のボロネーゼ¥1,800。パスタはやや太めの1.9mm。もっちりと食べ応えあり。

「ソースも黒毛和牛のスジで作っているので、いろいろな肉の旨みが詰まっています。食材しだいで多彩に変化するのがパスタの魅力」と玉井健太シェフ。

都内の名店で研鑽を重ねた実力派の玉井シェフ。
ワインも充実で2軒目使いにも対応。

営業は深夜までと使い勝手も抜群のイタリアン酒場。ここは、多忙な男たちが、酒を酌み交わし、仕事や人生の情熱を語り合えるビジネスパーソンの心の解放区だ。 

LOVAT
TEL:03-6427-9490
住所:東京都渋谷区東3-16-6 1F
アクセス:JR恵比寿駅西口より徒歩3分
営業時間:18:00~L.O.翌1:00
(土曜17:00~L.O.24:00、日曜・祝日16:00~L.O.23:00)
休み:無休
URL:http://lovat.jp
席数:32席


郷土料理の神髄が息づく、シチリアの味をひと皿から『ラ・コッポラ』


 シリアの味を追求する名店「ドンチッチョ」の姉妹店。厨房を担う筒井力丸(つついりきまる)シェフが仕立てる妥協のない"現地の味"をコースはもちろん、パスタひと皿だけでも、という気軽な空気感で味わえるトラットリアだ。

イタリア各地で修業したという筒井シェフ。
現地のトラットリアを彷彿とさせる店内。ロングカウンターもあり、ひとり客にも安心だ。

黒板メニューのなかでも特にお薦めなのが、海老の出汁が利いたトマトソースのカサレッチェ。築地で仕入れた新鮮な魚介がソースに絡みやすく、カサレッチェとの相性も抜群だ。

白イカと天使の海老のトマトソースのカサレッチェ¥1,700。(カサレッチェはシチリアの郷土パスタのこと)
仔羊スネ肉(スティンコ)の蒸し焼き ストゥファート¥2,800。じっくりと蒸し焼きしたスネ肉の旨みが凝縮した味わい。

深夜まで営業しているから、残業後に部下や同僚と胃袋を満たすにもふさわしい。そんな時間が働く男たちの、明日への糧となる。

LA COPPOLA
TEL:03-6805-1551
住所:東京都渋谷区渋谷2-2-2 青山ルカビル2F
アクセス:JRほか渋谷駅より徒歩10分
営業時間:18:00~L.O.翌1:00
休み:日曜
席数:25席 個室:1室(2~8名)


男同士が絆を確かめ合う計算し尽くされた空間へ『アニマ』

 重要な交渉事の会合や機密情報の交換など、シークレットな会食には邪魔の入らないベストシートの確保が必要だ。しかも、料理が美味でサービスもスマートとなれば、願ったりかなったり。まるでイタリア映画のドン同士が語り合うようなシチュエーションにもぴったりの1軒がここ、今年8月にオープンしたばかりのリストランテ「アニマ」だ。

夜ともなれば、ライトアップされる庭を見ながらのディナータイムがまた、粋。他のテーブルの会話が耳に入らないほどよい間合いの空間。

シェフの中村圭佑氏は、イタリア・シチリアを中心にトスカーナなどで修業した経験を生かし、伝統のイタリア料理をモダンにアレンジ。布海苔(ふのり)を練り込んだ冷製キタッラや新潟直送の魚介を用いたシチリア風クスクスなど、日本の食材を取り入れ旬を意識した演出も楽しみだ。ベテランの金子眞治氏のサービスもスマートで安心できる。

魚介のクスクス サンヴィート・ロ・カーポ風。シチリアの修業先でマンマに習ったひと品。
甘海老の冷製キタッラ。ツルっ、シコッの食感がユニークかつ美味。料理はすべて¥10,000のコースより。
よもぎのラビオリ生ハムのブロード。よもぎとジャガイモでできたニョッキ仕立ての皮のなかには、ストラッチャテッラチーズを忍ばせてある。
anima
TEL:03-6884-4016
住所:東京都渋谷区広尾3-2-13 岡野ビル101
アクセス:JR恵比寿駅より徒歩15分
営業時間:12:00~L.O.13:30(土曜・日曜・祝日のみ)
/17:30~L.O.23:00
休み:火曜
URL:http://anima.regina-lxc.jp
席数:16席 個室:1室(2~6名)


絶妙な間合いのカウンターと革新イタリアンが愛のメソッド『サッカパウ』

ほの暗い照明に映し出される、重厚感のあるカウンター。今、注目度抜群の「サッカパウ」には、刺激的な抑揚と艶気が見事に交錯する。エスコートされ、席についた相手もそっと心を開いてくれそうだ。

オープンキッチンのカウンター席はある意味シェフズテーブル。自然と間合いを縮められる席の間隔、幅が理想的。
タリオリーニ・黒にんにく・ハチノス。国産黒にんにくを打ち込んだ手打ちパスタを唐辛子オイルで仕立てた、アーリオオーリオの再構築版。茹でたハチノスを添えたのは、田淵氏のフィレンツェへのオマージュ。

シェフの田淵拓(たぶちたく)氏は、イタリアをはじめヨーロッパ歴15年余の実力派。ふたりの時間を飾る料理は、秋刀魚(さんま)とマコモ茸の食感が楽しめるソテーや、黒にんにくを打ち込んだ手打ちパスタのアーリオオーリオ仕立てなど、古典を革新的に、今に焼き直したリストランテテイストだ。

秋刀魚・マコモ茸。ソテーした秋刀魚の上に被せている透明のシートはスダチのゼリー。下に敷いたマコモ茸の食感がアクセント。料理はすべて¥8,000のコース(月替わり)から。

カウンター横のキッチンでは創造性豊かな料理を仕立てるシェフの華麗な所作。肩を並べ、同じ視界と同じ美味を共有する特別なひと時に、ラストのドルチェを口にすれば、自然と笑みもこぼれ、ふたりの距離がグッと縮むはずだ。

田淵シェフはシチリアをはじめ、イタリア全土を見て回った。
デザートのカボチャ・チョコレート・ビーツ。カボチャアイスとチョコレートムース、ビーツのマスカルポーネクリームの組み合わせ。
S'accapau
TEL:03-6721-0935
住所:東京都港区西麻布1-12-4 nishiazabu1124ビルB1
アクセス:地下鉄六本木駅より徒歩10分
営業時間:18:00~23:00(バー18:00~L.O.翌2:30)
休み:日曜
URL:http://saccapau.jp
席数:25席


Text=鴫原夏来、小野寺悦子、山田貴美子、森脇慶子 Photograph=大谷次郎、上田佳代子


*本記事の内容は16年11月取材のものに基づきます。価格、商品の有無などは時期により異なりますので予めご了承下さい。 14年4月以降の記事では原則、税抜き価格を掲載しています。(14年3月以前は原則、税込み価格)