米からウオッカ! 抹茶のリキュール! ジャパニーズ酒がすごい!【サントリー大阪工場】

羽田や成田から飛行機で海外へ向かおうとすると、免税店でひときわ目をひく商品がある。サントリーのクラフトシリーズだ。ジャパニーズクラフトジン「六 ROKU」、ジャパニーズクラフトウオツカ「白 HAKU」、ジャパニーズクラフトリキュール「奏 KANADE」は、いま海外や免税店での人気がすさまじいという。新世代のジャパニーズ酒はどうやってつくられるのか、サントリーの大阪工場を取材した。シリーズ第3回。     


本場ロシアの味とは一線を画す米のウオツカ

ウオツカといえば、「ロシアの強いお酒」と誰もが思う。そのほとんどは、大麦や小麦、ジャガイモなどが原材料だが、そんな従来品とは一線を画す日本のウオツカが2018年に誕生した。ジャパニーズクラフトウオツカ「白 HAKU」だ。クラフトビールやクラフトジンだけでなく、個々の特徴や味わいが求められる時代のニーズに添い、サントリー大阪工場・スピリッツ・リキュール工房で開発された。

ジャパニーズクラフトウオツカ「白 HAKU」(3000円)。清流の煌きをイメージした曲線のボトル。白米を思わせる純白のラベル。  

一番の特徴はその原料。「白 HAKU」は、日本人の主食・米、それも精白米(国産米100%)でつくられるのだ。精白米をベースにするのは、ぬかの雑味や不要な香りをとり除き、よりピュアな米の味わいを抽出したいからだという。

製造は、米の雑味を丁寧に取り除いた後、米麹を合わせて発酵させた醪(もろみ)を蒸溜しライススピリッツに。それを、2種類の蒸溜器でクリーンと芳醇でリッチな2タイプにつくりわけ、ほどよくブレンドして完成させる。濾過の工程で竹炭を用いることで、不純物や雑味を除くとともに、ミネラル成分を付与。これは、サントリーだけの製法だ。

口に含むとやわらくまろやか、華やかな米の香りが広がっていく。「しっかりとしたマティーニにしても日本的。果汁にも合うし、ソーダで割って紫蘇や黒コショウを利かせるという飲み方もおすすめです」と開発者の鳥井和之さん。スムースな口当たりやフルーティーな吟醸香は、他のウオツカでは得られない。

開発者に携わった鳥井和之さん 。

商品名の「白 HAKU」は、真っ白な白というよりは、和紙のようなニュアンスのある白。味わいもそんなやわらかな白をイメージした。清流を思わせるなだらかなボトルには、表情のある和紙をラベルに。金、黒、赤と3色のシンプルなデザインも美しい。 

個性あふれる四季の和リキュール

サントリー大阪工場では、昭和22年(1947)以降さまざまなリキュールがつくられてきた。「ヘルメスペパーミント」を皮切りに、「ヘルメスバイオレット」や「ヘルメスブルーキュラソー」などを製造販売し、日本の洋酒ブームを牽引。その70年の経験を生かし、現在も30種類以上のリキュールがつくられている。

そんななか、ジン、ウオツカに続き開発されたのが、4種のジャパニーズクラフトリキュール「奏 Kanade」。柚子、抹茶、白桃、桜という4つの和素材の風味を最大限に引き出した素材感たっぷりのリキュールだ。

「奏 Kanade<柚子>」は、国産柚子の爽やかな香りと酸味、苦味が後から追ってくる感じ。「 奏 Kanade <抹茶>」は、京都宇治の茶葉を贅沢に使って独特の香りと旨味、渋みを抽出した。「 奏 Kanade <白桃>」は、まるごと使う国産白桃のみずみずしい果汁感が際立った1本。「 奏 Kanade<桜>〉は、桜特有のやわらかな香りと繊細な味わいが特長。各2,000円 

ジンやウオツカと同じように、浸漬と蒸溜で風味を抽出する方法でつくられる。一般的なリキュールは、抽出したベースに香料や果汁を加えるが、「奏 Kanade」は、できる限り素材そのものの味わいをだすために、香料は控えめ。一切使わないものもある。

たとえば2020年1月に発売された「奏 Kanade <桜>」は、八重桜の花と大島桜の葉を原料酒にする。桜の花は一輪ずつ手摘みしてすぐに大阪工場に送り、スピリッツに浸して風味を抽出。一方、大島桜の葉は手摘みしてスピリッツに浸漬後、減圧蒸留。いずれもが安定したところでブレンドするという。

「毎年咲く時期が変わるから大変です。明日が摘み頃と連絡があると、大勢ででかけて数日かけて手摘みします。花と葉で品種が違うので、味わいや香りも違います。味は花、香りは葉が強いでしょうか。毎年状態が変わるので、それをよくみてブレンドします」と開発担当の久保田素生さん。口に含むと、まるで桜餅のような香り、ほんのりとした甘味と少しの塩味。桜並木の下を歩いているような桜感に満たされる。

開発担当の久保田素生さん。 

サントリーのリキュールは、「実物以上の本物感がある」と以前から評判だが、「奏 kanade」は、さらに素材の個性を引き出している。グラスの中に果実や素材が入っているかのような風味が感じられるのだ。

「リキュールはバーでカクテルにして飲むことが多いお酒ですが、「奏 Kanade」は、ソーダなどで割って簡単に楽しめるのも特徴です。自宅でもアペリティフや食後酒として楽しんでいただきたい」と久保田さんは言う。

Text=中井シノブ Photograph=伊藤信


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