「世界のベストレストラン50」発表! 日本の『傳』が17位にランクイン!!

世界中の食の識者の投票によって決まる、レストランランキング「世界のベストレストラン50」のアワードが6月19日、美食都市として名高いスペイン・ビルバオで開かれた。 三ツ星レストランを多く擁し、古くからのバル文化、また、男性が集まり美食に酔いしれる「美食倶楽部」など、独自の美食文化を世界に轟かせるバスク州ビスカイア県の中心地での開催とあって、いつにない盛り上がりを見せた。 


オステリア・フランチェスカーナが1位に返り咲く!

ランキングの乱高下が、ベストレストン50の醍醐味でもあるが、今年もまた、大胆な入れ替わりや新規参入のレストランが相次ぎ、会場では、順位が読み上げられるつどに、歓声と悲鳴が入り混じる、大変な熱気に包まれた。

1位~5位残り5枠を残して、未だ読み上げられていないレストランは昨年1位の『イレブンマジソンパーク』、昨年2位の『オステリア・フランチェスカーナ』、常にゆるぎのない『エル セジュール カンロカ』、昨今とみに高評価のフランス・マントンの『ミラズール』。そしてなんと、アジアの星『ガガン』! その栄冠は誰の上に。会場がひとつになり、固唾を飲んでその時を待つ。

果たして、『イレブンマジソンパーク』は5位にとどまり、マッシモ・ボットゥーラ率いるイタリア・モデナの『オステリア・フランチェスカーナ』が『エル セジュール カンロカ』を抑え、1位を奪還。一昨年に続く二度目の世界一となった。受賞のスピーチでは、いかに昨年一年が大変であったか、努力を重ねたかをマダムが語り、「なせば成る、可能性は誰にも!」とマッシモは声高に叫んだ。

世界一に輝いたマッシモ・ボットゥーラ。

日本人の最高位であり、ハイエストクライマー賞を受賞した『傳』!

「次の17位は、ハイエストクライマー賞(昨年から最も順位を上げたレストランに与えられる賞)!」と司会者が読み上げると、会場の期待も一層高まる。直後にスクリーンに映し出されたのは『DEN』の3文字。日本の星『傳』が昨年の45位から28位も順位を上げてのランクイン! 2年前初めてONE TO WATCHという注目賞からの大躍進である。

ドレスコードはブラックタイのアワードながら、『傳』長谷川在佑シェフは、いつもと同じコックコートにタオルのハチマキ姿。コックコートの下には店のマスコットである愛犬の写真をプリントしたTシャツが。壇上では、コックコートを広げて見せる大サービスを披露し、喝采を浴びる。言葉の壁を超えた、ホスピタリティ、瞬時に人の心をつかむパフォーマンスこそが、『傳』の魅力の神髄なのだ。

「傳」の長谷川シェフ。式典前のパーティ会場にて。

『NARISAWA』22位、『日本料理 龍吟』41位にランクイン!

そのほかの日本勢で今回50位の報せが届いていたのは、『NARISAWA』 と『日本料理 龍吟』の2軒だ。嬉しいことに、『日本料理 龍吟』は、一昨年以来のカムバックである。「すぐ呼ばれて終わりですよ」とアワード前のパーティではおどけていた山本征治シェフだったが、どうして、堂々の41位。スクリーンには、会場の声援に応えて投げキスをする、嬉しそうな姿が映し出され、フーディーズたちがカムバックを心から喜んでいる様子が伝わってきた。

ちなみに15年営んだ六本木店を閉じ、この8月に日比谷ミッドタウン店に移転。席数も増えるとのことで、世界のフーディーズもよりリーチしやすくなり、今後の活躍が一層楽しみだ。

そして、もう一人の重鎮である成澤由浩シェフの『NARISAWA』は22位にランクイン。昨年の17位からはややランクダウンしているものの、彼が提唱する“里山キュイジーヌ”はゆるぎない料理として世界に認知され、日本のトップシェフとしての重責を果たし続けていることがよくわかった。

アワードに先立って、読み上げられた、51位~100位の中ではアジア3位の川手 寛康シェフの『フロリレージュ』が59位、生江史伸シェフの『レフェルベソンズ』が92位にランクイン。アジア3位でも50位以内に入れないという事実は、投票権を持つアジア以外の評議員が依然として、日本に食べにきていないということが原因であろう。評議員の誘致を真剣に考えなければいけないとも思わされた。

「NARISAWA」の成澤シェフ。

南米勢の活躍と、そのほかの世界の動き

地域ごとのランクイン状況を見てみると、なんといっても目立ったのが中南米勢の活躍だ。6位のペルー『セントラル』、7位のペルー『マイド』、39位の『ガストン』は、料理で国を興すという強い信念のもと、ペルーはもとより、南米全体のガストロノミーを盛り上げ立役者として、「ライフアチーブメント賞(厚労省)」を受賞した。

他にもメキシコ『キントニル』11位、『プジョル』13位、ブラジル『D.O.M』30 位、チリ『ボラーゴ』27位など、枚挙にいとまがない。かつての連続1位、今や伝説のレストラン『エルブジ』フェラン・アドリアらと、南米の重鎮の親交が深いことも好結果に関与していると思われるが、先に述べたように「料理で国を盛り上げよう」という士気の強さの違いが、アジア諸国とのランキングの差になっているのかもしれないとも感じる。

また、数年前までのフランス勢と反目していた状況は影をひそめ、フレンチの巨匠であるアラン・パッサール『アルページュ』8位、『アラン・デュカス オ プラザ・アテネ』21位、ヤニック・アレノ『ルドワイヤン』29位、なども順当にランクイン。受賞後シェフが壇上に集まっての写真撮影の際にも、ヤニック・アレノが率先して皆に指示をする様子などは、スターシェフの面目躍如といったところだろう。

FOOD MEETS ARTを掲げた、世界のベストレストラン

ビルバオといえば、斬新な建築で知られるグッゲンハイム美術館を擁する、アートの街でもある。2018年のベストレストラン50のベースとなるテーは、“FOOD MEETS ART”でもあった。会場となったエウスカルドゥナ国際会議場では、レッドカーペットや壇上で美食の源でる水(豊富な海洋資源を表す)と火(薪火で焼くアサドール料理の象徴)の映像が効果的に使われ、会場を盛り上げていた。アワード前後のパーティ会場では、フィンガーフードのプレゼンテーションもいつになくアーティスティックで、スパニッシュクラフトジンを使ったミクソロジーカクテルなどが演出に花を添え、フード&アート、両方の側面から、バスクの魅力を世界中にアピールするアワードとなったことは間違いない。

式典前に開催されたパーティの様子。バスクの魅力を溢れるプレゼンテーションで魅了した。


「世界のベストレストラン50」全リスト
1. Osteria Francescana(モデナ/イタリア)
2. El Celler De Can Roca(ギロナ/スペイン)
3. Mirazur(マントン/フランス)
4. Eleven Madison Park(ニューヨーク/アメリカ)
5. Gaggan(バンコク/タイ)
6. Central(リマ/ペルー)
7. Maido(リマ/ペルー)
8. Arpège(パリ/フランス)
9. Mugaritz(サン・セバスチャン/スペイン)
10. Asador Etxebarri(アクスペ/スペイン)
11. Quintonil(メキシコシティー/メキシコ)
12. Blue Hill At Stone Barns(ポカンティコ・ヒルズ/アメリカ)
13. Pujol(メキシコシティー/メキシコ)
14. Steirereck(ウィーン/オーストリア)
15. White Rabbit(モスクワ/ロシア)
16. Piazza Duomo(アルバ/イタリア)
17. 傳(東京/日本)
18. Disfrutar(バルセロナ/スペイン)
19. Geranium(コペンハーゲン/デンマーク)
20. Attica(メルボルン/オーストラリア)
21. Alain Ducasse Au Plaza Athénée(パリ/フランス)
22. Narisawa(東京/日本)
23. Le Calandre(ルバーノ/イタリア)
24. Ultraviolet By Paul Pairet(上海/中国)
25. Cosme(ニューヨーク/アメリカ)
26. Le Bernardin(ニューヨーク/米国)
27. Boragó(サンティアゴ/チリ)
28. Odette(シンガポール)
29. Alléno Paris Au Pavillon Ledoyen(パリ/フランス)
30. D.O.M.(サンパウロ/ブラジル)
31. Arzak(サン・セバスチャン/スペイン)
32. Tickets(バルセロナ/スペイン)
33. The Clove Club(ロンドン/イギリス)
34. Alinea(シカゴ/アメリカ)
35. Maaemo(オスロ/ノルウェー)
36. Relae(コペンハーゲン/デンマーク)
37. Restaurant Tim Raue(ベルリン/ドイツ)
38. Lyle’s(ロンドン/イギリス)
39. Astrid Y Gastón(リマ/ペルー)
40. Septime(パリ/フランス)
41. 日本料理 龍吟(東京/日本)
42. The Ledbury(ロンドン/イギリス)
43. Azurmendi(ララベツ/スペイン)
44. Mikla(イスタンブール/トルコ)
45. Dinner By Heston Blumenthal(ロンドン/イギリス)
46. Saison(サンフランシスコ/アメリカ)
47. Schloss Schauenstein(フュルステナウ/スイス)
48. Hiša Franko(コバリド/スロベニア)
49. Nahm(バンコク/タイ)
50. The Test Kitchen(ケープタウン/南アフリカ)


Text=Hiroko Komatsu Photograph=Takuya Suzuki


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