第5回ゲーテ・レストラン大賞 悶絶レストラン ゲーテイスト2017 魅惑の「空間」に浸る

心地よい空間は、目の前のひと皿も、ともに過ごす時間も格上げする。ついついお酒も進み、自然と本音も漏れたりして──。秋元康・小山薫堂・見城徹が、そんなひと時にどっぷり酔いしれる店を、ゲーテ読者だけに特別にセレクト。

下鴨茶寮 東のはなれ
(Shimogamosaryo Higashinohanare)
<日本料理/銀座>

【キラーの空間】「東京タワーが見える秘密の小部屋」/食事が終わったあとはこちらの〝奥個室〞へ移動。シャンパーニュを飲みながら、ふたりきりの世界に浸って。利用希望の場合は予約時にスタッフに伝えておくとスムーズ。

 手前味噌で申し訳ないですが、ここはぜひ『下鴨茶寮』をお薦めさせてください。

 ぜひ。銀座の店は、趣も新たに、味もすごくよかった。

 東京に店を出すにあたって結構、料理のメニューも変えまして。料亭の懐石って......。

 ちょっと飽きるもんね。

 (笑)。なので、本質はきちんと京都のエッセンスを押さえながら、割烹のようなお料理を出したいなと。お造りも、普通に出すのは面白くないので。

 工夫してるよね。

 のどぐろを生へしこにして出したり、トロは自分で炙って葱と一緒に手巻きにして食べるとか、楽しさのあるプレゼンテーションを意識しました。夜は基本1万5000円のコースで、事前予約で2万円のオーダーメイドコースもやっていますよ。

 内装デザインも薫堂の肝入りだって聞いたけど。

へしこは¥15,000のコースの一例/鯖ではなくのどぐろで作るのがこだわり。口の中ですっと溶けるような脂を湛えたへしこは日本酒にもぴったり。

 ここは女性を口説きたいという「ゲーテ」読者の方だけにお伝えしたい(笑)! 東京タワーが正面に見えるお茶室があって、食事のあと、そこに移動してデザートを食べ終えたら、さらにその奥の裏側にある本当に小さな個室へ移って......。

 最後のツメをする。

 そこは何人入れるの?

 ふたりですね。ほどよい密着感があるくらいの小さい空間で。ちなみに、そこの部屋からも東京タワーが見えるんです。

 いいね! まさに口説き用。

 デザートは「彼女の唇」的な......。

 何、今の? 安っぽいコピーだなぁ。

 今のは取り消しで(願)!

 いや、大きく書いといて。

空間デザインは建築家の木島徹氏によるもの。
下鴨茶寮 東のはなれ(Shimogamosaryo Higashinohanare)
TEL:03-6264-5264
住所:東京都中央区銀座5-2-1 東急プラザ銀座11F
営業時間:11:30~15:00/18:00~22:30
休み無休:(ビルの休館日に準ずる)
備考席数:カウンター7席、個室:2室(2~4名用、4~6名用)

プリズマ(PRISMA)
<イタリアン/青山>

【キラーのひと皿】「スペイン産若鶏のヴァポーレ」/スペイン産の若鶏をオーブンで蒸し焼きに。国産よりも、肉質がきめ細かく旨味やコクがある。

 『プリズマ』は夫婦ふたりでやっている店だけど、広い空間をこんなに贅沢に使っている店は他にない。家具も最小限の設えで、1日数組限定という。

 知る人ぞ知る店、ですね。

 場所が隠れ家的なところにあって、青山にこんなところがあるの!?という。家具も、ドイツのウォルター・ノルのレザーチェアをはじめ、さり気なくセンスにこだわっているんですよね。麻のまっ白のクロスとか、何もかも上質な空間ですよ。

 ここはガールフレンドと?

 いや、行くと必ず知り合いに会うから......(笑)。

 隠れ家とはいえ、お忍びは無理なんですね(笑)。

 シェフの斎藤智史(さいとうともふみ)さんは助手もいなくて、孤高な雰囲気。サービスは奥さんが担当していて、ふたりとも寡黙で、プライベートな時間を邪魔しない配慮が行き届いている。だから個室がなくてもいいんだけど、さすがにデートにはどうかな。知り合いに会うからね(笑)。VIPも多いし。

空間を贅沢に使った店内/リゾート地のレストランのような気持ちのよさを味わえる、都心にあって希有な場所だ。

 コースだけですか?

 そう。農法とか作り手まで、食材も相当こだわってるみたい。下ごしらえは丁寧だけど余計なことはしていなくて、野菜も魚も肉も素材のピュアな魅力が生きている。透明感のある味わいで、通うほどに段々虜になっていくんだよ。ワインもいい。

 パスタも美味しそうですね。

 毎回違うし、毎回美味しい。キャビアと赤ワインのタリオリーニとかトマトのタリオリーニ、旨かったなぁ。あと「スペイン産若鶏のヴァポーレ」は繊細な肉質が印象的だった。空間も料理も心がデトックスできる感じで、気持ちがいい店なんだ。

 さすが見城さん、大人が行き着く洗練イタリアンですね。

トマトのタリオリーニ/その時々のトマトを厳選。素材の美味しさを引き出すことだけに焦点を当てたピュアな味わいが感動を呼ぶ。
プリズマ(PRISMA)
TEL:03-3406-3050
住所:東京都港区南青山6-4-6 青山ALLEY1F
営業時間:18:30~L.O.20:30
休み:水曜
備考席数:テーブル10席、個室:なし

itumo×LOVER(イツモ×ラバー)
<西洋料理/銀座>

ベロア生地に金の縁取りのカーテン、革張りのソファ、銀の燭台(しょくだい)など、中世の古城の中に迷い込んだような重厚感溢(あふ)れるインテリア。食器やカトラリーもアンティークを多用している。

 ここにものすごく通ってる。

 会員制なんですか?

 紹介制です。サービスをちゃんとしたいからって。六本木に『itumo』というダイニングがあって、僕は行ったことないんだけど、すでに10年前に開店していて。『itumo×LOVER』が銀座にオープンしたのは2年位前かな。クラシックなインテリアで、食通の大人たちのために出したお店なんです。

 いつもサービスしてくれる方がオーナーですか?

 オーナーの増田 武さんはサービスのカリスマとして、青山のスパイラルの地下とか、いくつかの店を任されてきた方なんですよ。イギリスの貴族の館で、主人の客をもてなす給仕人みたいになりたいって、ここでは白いジャケットに蝶ネクタイ姿で仕事をしています。

 クラシックでいいですね。

 僕、接待で使う時は、彼に電話して事前打ち合わせをしておくの。人に合わせたサービスをちゃんとしてくれるから安心。

 サービスだけでなく、料理も伴っていていいですよね。

 イタリアン・フレンチとでも言ったらいいのかな。でも、お出汁でしゃぶしゃぶ、みたいな和のテイストもある。ワインはボトルでも頼めるけど、基本的にお任せのデギュスタシオン。大体チーズとそれにぴったりのワインからスタートして......。

 「ダブルコンソメ」!

左:【キラーのひと皿】「ダブルコンソメ」/ひと口含んだだけで、香り、旨み、コクにノックアウトされる「ダブルコンソメ」。美味しさの秘訣は「とにかく鮮度の高い上質の肉を使うこと」だとか。 右:〆の3連発で供される、ミニサイズのヒレカツカレー。ラッシーをイメージして、ジャージー牛の超濃厚ヨーグルト酒を添えるウイットあるサービスも楽しい。予算は¥25,000~。

 あれは本当によくここまでの味にしたな、というぐらいのコンソメですよ。目の前で見事な手さばきで作るシーザーサラダも美味しいし、肉料理も上品。

 コンソメが旨いというのは信頼できますよね。

 肉はどんなふうに出てくるんですか。

 ステーキでちょっと出て、それから〆のカツカレーでも。

 目の前で作ってくれるチーズリゾットやパスタ、カレーとか〆がまた楽しい。デザートのマドレーヌが焼き型ごと出てくるあのサービスも好き。何もかもよく考えてありますよ。美味しさとサービス、アンティーク調の食器とか付随するモノもセンスがあって満足度が半端ない。

左:焼き型にのせたまま目の前に運ばれてくる焼菓子。給仕人・増田さんがフランスのビストロで受けたサービスに感動したのがきっかけ/右:〆で供されるチーズリゾット。大きなパルミジャーノレッジャーノを使って目の前で作り、最後にトリュフをたっぷり削ってくれる。

 接待で、みんなで、恋人同士で、どの人と行ってもいい。

 紹介制だから「見城さんの紹介です」って僕は言えばいいですかね? でも読者は......。

 読者も見城さんの紹介(笑)。

 いやいや、さすがにそれはダメでしょう(笑)。誰かに紹介してもらってくださいね。

itumo×LOVER(イツモ×ラバー)
TEL:非公開
住所:非公開
営業時間:非公開
備考:(紹介制)

Cooperation=Sweet Thick Omelet,inc. Text=粂 真美子、小寺慶子、藤田実子、山本真由美、中井シノブ Photograph=薄井一議、上田佳代子、鈴木拓也、中庭諭生、大谷次郎、菊池陽一郎、内藤貞保、福森クニヒロ、笹原健裕、比田勝大直

*本記事の内容は17年1月1日取材のものに基づきます。価格、商品の有無などは時期により異なりますので予めご了承下さい。 14年4月以降の記事では原則、税抜き価格を掲載しています。(14年3月以前は原則、税込み価格)