秋元康・小山薫堂・見城徹が心惹かれるレストランとは

「美食の名店──。ひと言でそうは言えども、生きる喜びの湧いてこないレストランに、レストランの資格はない。自分のハートを射抜き、読者に薦めて絶対に自信のあるレストランのみを厳選する」。秋元康・小山薫堂・見城徹が、そう自らに鉄のルールを課し、今回も初だしの名店を一挙公開。

ゲーテ・レストラン「ゲーテイスト2017」開宴!

この1年、忙しい仕事の合間を縫って東京で、地方で、隠れた秘宝のようなレストランを発掘した。今回も鼎談スタイルで、時には熱く、時には偏屈に3人それぞれが悶絶したひと皿と、料理人の心意気を紹介。なかなかカメラが入れなかった名店にも取材を敢行! 長年のレストラン経験と黄金の舌を持つ3賢者を唸らせたキラー料理とともに、それぞれの魂のレストランを本人たちが予約を取れなくなるのを承知で、特別にお伝えします。

 今年もゲーテイストの季節がやってきましたが、今回も三者三様、強力で個性的な店が出揃った感があるよ。

 6月くらいの段階で見城さんが「俺はもう6、7軒は目星がついている」と言うので、かなり焦りました(笑)。

 俺はその年のゲーテイストが終わった瞬間から、次の年のことを考えているから。あと、今回も昨年同様"初だし"というルールを設けたけど、どうだった?

 僕は、昨年ちょっと苦労しましたが、今回はわりとスムーズに決まりました。若手で勢いのあるシェフが次々と店を出しているというのと、特にフレンチの分野で期待の新星が多く現れているんですよ。

 俺はもともと大箱があまり好きじゃないので、自ずと料理人との距離が近い店を多く選んだかな。秋元は年々、"仙人感"が高まっている感があるけど(笑)。本当によくこんなマニアックで、渋い店を見つけてきたなという!

 ゲーテイストには毎年、100%の気合で臨んでいますので。旨い店があると聞けば、遠方でも自分の足で行って確かめてくる。それはほとんど、習慣化されていると言っても過言じゃないですから(笑)。

 薫堂がさっき言ったように、確かに最近若い世代の新店が増えているけど、自分たちも今のような店選びをするまでには、本当に数多くのレストランで経験を積んだよね。

「地方にも数々の名店が。垂涎のひと皿とともに紹介します」秋元康

 フレンチといえば、昔からの名店にもよく通いました。

 『コート・ドール』の赤ピーマンのムースとか、好きだったなぁ。

 『アピシウス』や『トゥールダルジャン』『レカン』とかも。

 僕もいろいろ行きましたね。

 そうそう。『オテル・ドゥ・ミクニ』もよく通ったな。でも何よりすごいのは、そういう名店が今でも健在だという点。それに、これほど高レベルのフレンチが30年前の日本にはあったという点も述べておきたい。それぞれの店には、名刺代わりの"スペシャリテ"があって。それが現在のゲーテイストでいう"キラーメニュー"なんだけど。

 18歳の頃からさまざまな店に通いつつ、衝撃を受けた料理もたくさんありました。

 俺は、今は無き伝説の名店『パスタン』のローストビーフの味が、やはり忘れられない。

 『パスタン』、懐かしいですね。僕はあの店で、人生初のエスカルゴ体験をしました(笑)。

 いわゆる、洗礼を受けたレストランね。薫堂はどこ?

 僕は『アピシウス』ですね。初めて海亀のスープを食べた時、「え? ウミガメを食べるとですか!?」って(笑)。

 そういう"筆おろし"グルメの話は尽きないよね。40年くらい前に『ステーキハウスハマ』で牛刺しを食べて、肉を生で食べるということに衝撃を受けた。

 俺たち3人がそれぞれ多くの食体験を経て、それがゲーテイストの礎になっているんだなと思うと感慨深いですよ。そういう名店をずっと見てこられたことに幸せも感じるけど。

 僕もこれだけレストラン通いにハマったのは、いつもそこに人生経験や学びがあったからなんですね。さっきの『パスタン』なんか、文化人が集っていてね。そんなサロン的な店が減っているのは、少し寂しいかな。

「今年はフレンチが面白い。新しい潮流が生まれますよ」小山薫堂

 僕も秋元さんに同感です。この20年くらいで、料理人がとても進化しましたよね。だから最近は"食べ手が料理人を見に行く"みたいな風潮もあるのですが。それもひとつの形としては面白いのですが、決まったプレゼンテーションで料理が出てきて、こちらはそれを黙っていただくだけ、というのは何か少し物足りない気もしています。

 大事なのは、店も旨いものをただ出すだけじゃなく、客をちゃんと目利きすることだと思う。店と客が想像力を折り重ねることで、いい店というのはできていくから。昔の料理人は自己実現より、ものすごく高いハードルを越えてでも、客の要望に応えようという人が多かった。だからこそ、名店には伝説やストーリーが生まれるワケで。

 食べる側もただ新しい店を追っかけるのではなく、好きな店を見つけたら、とことん通ってみるのもいいですよね。それで信頼関係を築くことができたら幸せですよ。

 我々もそうだったように、今後また誰かにとって、豊かな人生経験の場になるようなレストランが増えることを期待したいですね。そういう経験を積むと、レストラン通いの楽しさも倍増しますよ。

 いろいろ厳しい意見も出し合いながら、今年の店を厳選して決めたワケですが、長年蓄積された経験や知識を活かして本気でゲーテイストに取り組んでいる思いが伝わると嬉しいな。

 今回も全力を出し尽くしました。その厳選した店の魅力を、たっぷりと堪能してほしいですね。そして僕たちはさっそく、来年に向けて走り出さねば!

「長年のレストラン経験を持つ3人が今回も本気で選びました」見城徹


Cooperation=Sweet Thick Omelet,inc. Text=粂 真美子、小寺慶子、藤田実子、山本真由美、中井シノブ Photograph=薄井一議、上田佳代子、鈴木拓也、中庭諭生、大谷次郎、菊池陽一郎、内藤貞保、福森クニヒロ、笹原健裕、比田勝大直

*本記事の内容は17年1月1日取材のものに基づきます。価格、商品の有無などは時期により異なりますので予めご了承下さい。 14年4月以降の記事では原則、税抜き価格を掲載しています。(14年3月以前は原則、税込み価格)

秋元 康
秋元 康
作詞家。1958年東京都生まれ。美空ひばり「川の流れのように」をはじめ、AKB48『ハイテンション』などヒット曲多数。TV番組の企画構成、CMやゲームの企画ほか、幅広い分野で活躍する。
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