奥深き日本酒ペアリング『ふしきの』 The Killer Restaurant

ひと皿ごとに細やかにドリンクを組み合わせるペアリングを実践する店が増えている。なかでも話題の実力店を紹介。

日本酒の多面性を知る愉しみ

この時期の定番、香箱蟹。穏やかな香りと飲み口柔らかな純米酒『初亀 酒門』の冷酒で。次に蟹味噌や内子には『初亀酒門』をぬる燗で、最後は濃醇な生原酒『霜月』の熱燗で甲羅酒に。


左:"かます幽庵焼 焼野菜と共に"炭火の香りや幽庵のみりんの味と合う、甘めの熟成酒の燗酒を合わせている。 右:個室に続く通路の壁に設えられた器のギャラリー。

「酒の味は造りが8割。あとは飲み手に委ねられていますから蔵の想いをいかに魅力的に伝えるか、責任重大」と店主の宮下祐輔さん。日本酒は冷酒から燗酒までと、ワインより温度帯の幅が広い。器の形状しだいで味わいも劇的に変わる。

「ペアリングは、酒と料理どちらもおいしくなることが大前提。そこを狙わないなら、好きな銘柄を好きに飲んでいただいたほうが満足度は高いですよね」

レアな銘柄や季節の酒なども用意されている。

つまり、酒の好みを超えたところでの勝負。にこやかに接客している宮下さんだが、舞台裏では真剣。料理をさっぱりさせたいのか、食材のクセを包み込んで食べやすくするのか、逆にクセのある酒を飲みやすくするのか......。どうしたら一番おいしく感じられるのかをお客の好みや反応も見ながら、酒質、温度、器を料理の味わいとピタリと合わせてくるのがこの店の醍醐味ならではだ。

幅広でゆったりとした杉のカウンターが美しい店内。
Fushikino
TEL:03-3269-4556
住所:東京都新宿区神楽坂4-3-11 2F
営業時間:19:00~23:00(最終入店20:00)
休み:日曜・祝日
席数:カウンター11席、個室1室
料金:ディナーコース¥12,000、日本酒8~10種のペアリング¥4,000


Text=藤田実子 Photograph=鈴木拓也

*本記事の内容は17年12月取材のものに基づきます。価格、商品の有無などは時期により異なりますので予めご了承下さい。 14年4月以降の記事では原則、税抜き価格を掲載しています。(14年3月以前は原則、税込み価格)