グルメ界の新潮流先取り!美食ムーブメント2016

日本初上陸の黒船グルメ、次世代中華の台頭など、数多くの話題で盛りあがった2015年。一方で気になる2016年の潮流とは? 衰えを知らぬ肉ブームの第2章、人気シェフがプロデュースする新グルメに、期待の若手の動向……。次代のグルメシーンを席巻し、必ずブームになる注目のキーワードで2016年を占います。

衰え知らずの肉ブームの勢力図を変える肉割烹『肉匠 堀越』

「ライバルの多い西麻布にオープンした新参者としては、他店にはない独自のスタイルと味で勝負していかなくてはと思ったんです」とはご主人の末富信氏。それゆえ、敢(あ)えて店名に“焼肉”とは謳(うた)わず、割烹スタイルの設(しつら)えと料理内容に舵(かじ)を切った。
 個室中心の落ち着いた店内で供されるのは、金山寺(きんざんじ)味噌で和えた牛ミノや内腿肉(うちももにく)を牛ロースで巻いた逸品など、和食出身のご主人ならではのひと手間が入った皿の数々。さらに〆(しめ)の土鍋ご飯も圧巻! 贅沢にも霜降りのザブトンや牛タンを炊き込み、ベースの鰹出汁と肉の旨みが相まって後を引く美味しさだ。

ザブトンの炊き込みご飯。驚くほどさっぱりとした味わい。卵かけにしても旨い。料理は¥9,000のコースの一例。

 肉への思い入れは人一倍。自ら生産者の元を訪れ、その目で確かめ、納得した牛のみを仕入れる。現在、お眼鏡にかなった牛は兵庫県但馬(たじま)牛に山形牛、宮崎尾崎牛と茨城紫峰(しほう)牛の4種類。
「山形牛は香りがよく、但馬牛はいい出汁が出る」など、それぞれの持ち味を活かした美味で、極上の肉ワールドへと誘う。

左:個室も多数完備。接待にも重宝する。右:割烹然とした上品な設え。

Nikusyo Horikoshi
TEL:03-5464-2929
住所:東京都港区南青山7-11-4 HT南青山ビル2F
営業時間:18:00~L.O.24:00
休み:無休
席数:カウンター8席 個室6室(2~8名)
アクセス:地下鉄広尾駅3番出口より徒歩10分


真の高級を知る業界のトップが仕かける美食ビジネスの新機軸『松阪牛 よし田』

新宿御苑をはじめ、眠らない街・新宿の眩(まばゆ)い高層ビル群を望むパノラマ。晴れた日には房総半島の先端まで見えるという。ここは、1920年の創業より高級時計を扱ってきた時計店『YOSHIDA』が、満を持して世に放つ眺望迎賓館『松阪牛 よし田』だ。一流の商品だけを扱ってきた目で食材に食器や調度、空間構成にもこだわり、2015年11月にオープンさせた。

高級時計の展示会場にもなるメインダイニング。

 時計の展示会にも使われるというバンケットには、バカラのシャンデリアや堂々たる枝ぶりの松の盆栽。茶室を思わせる和の個室には平山郁夫の肉筆画が掲げられており、ゲストは一流品を間近に感じることができる。

上:特製のごまだれに辣油などを入れていただくしゃぶしゃぶ。コース¥10,000の一例。下:旨み豊かなステーキ。鉄板焼きコース¥20,000の一例。

 扱うは生でも食せる最高級の松阪牛。熱が入ると独特の香気を放つオレイン酸をたっぷり含んだ肉を、しゃぶしゃぶ、すき焼き、鉄板焼きの3つのスタイルで楽しめる。また、時計業界の太いパイプを活かし、国内にほぼ入荷のないスイスの名門ワイナリーのワインも提供。本物にだけ触れてきた目利きの飲食業界進出、この目で確かめたい。

世界遺産認定の地で600年以上の歴史を持つ、ドメイン・デュ・ダレーのワイン。

MATSUZAKA-GYU YOSHIDA
TEL:03-5358-5401
住所:東京都新宿区西新宿3-20-2 東京オペラシティタワー53F
営業時間:11:30~14:00/18:00~22:00
休み:無休
席数100席 個室4室
アクセス:京王新線初台駅東口より徒歩1分


黒船グルメブームのエース格、世界中で話題の3軒が上陸

パリ発!『ユーゴ デノワイエ 恵比寿店』

 この店なくして2015年後半の東京レストランシーンを語ることはできない。パリのカリスマ肉職人として、世界の食通やスターシェフから「別格!」と称賛されるユーゴ・デノワイエ氏が手がけるレストランが、満を持して海外初進出を果たした。

1.和牛の中でもあっさりした阿蘇産あか牛のサーロイン(300g)¥7,590。2.ユーゴ・デノワイエバーガー¥1,600。1階のミートバーで提供。パティには阿蘇のあか牛と仏のリムーザン牛を使用。3.豚足と豚耳のグリエ¥700。
左:2階のレストランフロアは連日大盛況。要予約。右:1階ではユーゴ氏が厳選した精肉の販売も行う。※メニュー、種類、調理法は日によって異なる。

Hugo Desnoyer Ebisuten
TEL:03-6303-0429
住所:東京都渋谷区恵比寿南3-4-16 アイトリアノン1・2F
営業時間:11:30~L.O.14:00(1F14:00~17:00ティータイム)/18:00~22:30
※物販は11:30~17:00
休み:月曜
席数:50席
アクセスJRほか恵比寿駅西口より徒歩7分


NY発!『シェイクシャック 外苑いちょう並木店』

『Zagat NYC』の“最も人気のあるニューヨークのレストラン”や『TIME』誌の“歴史上、最も影響のある17のバーガー”などに選ばれた『シェイク シャック』の日本1号店が明治神宮外苑にオープン。開店初日には400人(!)の大行列ができたという話題は記憶に新しい。100%ナチュラルなアンガスビーフのパティを使用したシャックバーガーにかぶりつけば、ワイルドな肉の旨みがじゅわり。店で手作りするリッチでクリーミーなアイスクリームは日本限定フレーバーも用意する。美味しくアップデートされた“東京名所”。いち早く訪れたい。

1.シャックバーガー¥680。牛肉の力強い旨みを堪能して。2.マッシュルームバーガー¥930。2種のチーズを包みこんで揚げた肉厚なマッシュルームが美味。3.いちょう並木に囲まれた心地よいテラス席も。

Shake Shack Gaien-Ichou-Namikiten
TEL:03-6455-5409
住所:東京都港区北青山2-1-15
営業時間:11:00~22:00
休み:年末年始
席数:167席
アクセス:地下鉄外苑前駅4a出口より徒歩5分


ミラノ発!『ピッツェリア スポンティーニ カスケード原宿店』

ホームパーティーに持参するキャッチーな手土産をお探しなら、最先端フードの店が軒を連ねる原宿へ。ミラノを中心に8店舗を展開する『スポンティーニ』は、行列嫌いなミラネーゼが「並んででも食べたい!」と切望するピッツァ専門店。大豆油をふりかけ、鉄鍋で香ばしく焼き上げるピッツァは、フォカッチャのような生地と底のクリスピーな食感のコントラストが楽しめると評判だ。現在はトマトの旨みが凝縮されたマリナーラと、チーズたっぷりのマルゲリータの2種を用意。主役級のボリュームピッツァがパーティーにも華を添えること間違いなし!

左:マルゲリータ(1P)¥830。ふかふか生地の上にモッツァレラチーズがたっぷり! 1ホール(8P)は¥4,800。右:マリナーラ¥780(1P)。後を引く旨さ。1ホール(8P)¥4,400。
並びながらピッツァが豪快に焼かれる様子を見るのも楽しい。


Pizzeria Spontini Cascade Harajukuten
TEL:03-6434-5850
住所:東京都渋谷区神宮前1-10-37 CASCADE HARAJUKU 2F
営業時間:11:00~L.O.22:30
休み:不定休(ビルの休館日に準ずる)
席数:93席
アクセス:地下鉄明治神宮前駅3番出口より徒歩1分


グルメバーガー人気を追随するは新感覚サンドウィッチで決まり!『カフェ 1886 アット ボッシュ』

“朝時間”を制する者がビジネスを制するのは、もはや常識。多忙な日々の調整に、朝カフェを有効活用する人が増えている。
 渋谷の『カフェ 1886 アット ボッシュ』は、陽がゆったりと差しこむ空間が心地よく、1日のスタートを切るのに最適とビジネスマンに人気。ドイツの自動車機器メーカー『ボッシュ』社が手がけるカフェとあって、内装センスもピカイチだが、幅広い層のゲストを魅了しているメニューにもぜひ注目したい。

天井が高く開放的な雰囲気。スタイリッシュなインテリアにも注目。

 名物のサンドウィッチを手がけるのは、肉好きから支持を集める銀座『マルディ グラ』の和知(わち)徹シェフ。ドイツへのリスペクトを込めて考案したというサンドウィッチは、和知シェフの気合いを感じる美味揃いだ。常時4種類用意するサンドは期間限定メニューのほか、雑穀パンを使用したベジ向けサンドなど、バラエティー豊か。
 ランチミーティングやリフレッシュタイムに活用するのもお薦め。贅沢サンドウィッチを堪能し、パワーを充電しよう。

ボローニャ¥800。ビアヴルストをフォカッチャでサンド。
スラバ¥850。燻製したソーセージとザワークラウトの酸味、ライ麦フレーク入りのパンがマッチ。

café 1886 at Bosch
カフェ 1886アット ボッシュ 東京/渋谷 TEL:03-6427-3207
住所東京都渋谷区渋谷3-6-7
営業時間8:00~22:00(土曜11:00~、日曜・祝日11:00~20:00)
休み無休
席数85席
アクセスJRほか渋谷駅東口より徒歩5分


皿の上の究極美を追求する、ノンジャンルなレストランが今の旬『クラフタル』

 経験値もキャリアも申し分ない若手の登場だ。『ジョージアンクラブ』『ジョエル・ロブション』を経て、パリのネオビストロ『サチュルヌ』へ。多国籍の料理人と渡り合い、帰国後は初台『アニス』の立ち上げを経験し、『クラフタル』のシェフに就任した大土橋(おおつちはし)真也氏。店名はクラフト=手技、テール=物語を重ねた造語。素材は極力シンプルに連鎖させ、ストーリーを紡ぐ氏の料理観を示す。

左:美味の探求に邁進するシェフの大土橋真也氏。右:2015年9月11日にオープン。自然物と人工物を共存させた店内。

 顕著な料理といえばホタテ。ゼブラウッドのプレートから発想したひと品で、イカ墨とカカオパウダーでグラデーションをつけたホタテをチップに仕立て、木目に同調させる。菊芋ならオーブンで蒸し焼きにしてから中にパルメザンクリームを忍ばせ、外はサクッと中はネチッとしたカヌレに見立てるなどロジックが介在するアレンジが冴える。

ゼブラウッドのプレートにイカ墨とカカオパウダーでグラデーションしたホタテチップを添えて。

 独創的なコースに沿ったパンペアリングやドリンクペアリングも新しい発想。引き出しが多く一度ではとても語り尽くせない。次代を代表する有力シェフに注目必至だ。

菊芋 トリュフ。伝統的なフレンチの組み合わせであるパルメザンのクリームを合わせて。

CRAFTALE 
TEL:03-6277-5813
住所:東京都目黒区青葉台1-16-11 2F
営業時間:11:30~L.O.13:00(土曜・日曜のみ)/17:00~L.O.24:00
休み:水曜
席数:カウンター6席、テーブル18席
アクセス:東急東横線中目黒駅より徒歩6分


やる気みなぎる若手の独立続々。新星がさらに躍動する時代へ『くろ崎』

 鮨の不毛地帯、渋谷にオープンしたのが2015年の2月。瞬く間に鮨ツウ垂涎(すいぜん)の1軒となったのが、ここ『くろ﨑』だ。人気の理由は、ご主人黒﨑一希氏の鮨に対する情熱の深さゆえ。浅草の老舗で10年、江戸前鮨の基本を学んだ後、下北沢『すし屋 魚真』で大将を務めて独立した。

見事な尾州檜のカウンターに大谷石の床。黒を基調とした店内はシックな趣。

 当時から自らの鮨を自問してきた黒﨑氏だけに、そのビジョンの確かさは、握りと肴を織り交ぜて出すコースの流れを見れば一目瞭然だ。
「自分も一緒に食べている気になって出している」そうで、例えば、イカの握りの後にはウ二を出すなど味覚の流れを考えたコース運びも見事。身を観音開きにし、酢飯を包み込むように握る車海老、酒塩で締めた肝を内側に入れて握るカワハギなど独自の嗜好(しこう)と観点から生みだした1品1品が秀逸だ。

上:蒸した蝦夷鮑(えぞあわび)は自家製肝醤油で。残った肝醤油には酢飯を入れてくれる。下:せいこ蟹。
握りの一例、左から山口宇部の車海老、大間の本鮪中トロ、九州のシブダイに小肌。おまかせ¥14,000の一例。

 酢飯にしてもコク、旨み、キレのバランスを考え赤酢2種と白酢の3種をブレンド。このクオリティーでコース1万4000円。コスパのよさも抜群だ。

黒﨑一希氏、18歳でこの道に入りキャリアを持つ。「つまみだけではなく、握りも食べてほしいのでこういうスタイルにした」とか。休日は気になる店を食べ歩くそう。
KUROSAKI 
TEL:03-6427-7189
住所:東京都渋谷区渋谷1-5-9
営業時間:18:00~最終入店22:30
休み:水曜
席数:9席 個室1室(3~6名)
アクセス:JRほか渋谷駅13a出口より徒歩5分


Text=森脇慶子、山脇麻生、小寺慶子、粂 真美子
Photograph=菊池陽一郎、岡村昌宏、鈴木拓也、大谷次郎、岡本 寿、上田佳代子

*本記事の内容は15年12月取材のものに基づきます。価格、商品の有無などは時期により異なりますので予めご了承下さい。
14年4月以降の記事では原則、税抜き価格を掲載しています。(14年3月以前は原則、税込み価格)