デジタルな食通の間で大ブレイク中!「TERIYAKI」 未来への野望

1年365日・毎日外食派の堀江貴文氏が始めたグルメアプリ「TERIYAKI」。その存在意義とビジョンを聞くとともに、取っておきの「旨い店」を堀江氏と、ワイン通キュレーターとして参画する森 美樹さんに紹介してもらった。

 2013年11月のサービス開始から2年が過ぎ、グルメアプリ「TERIYAKI」は、次々と新サービスを提供し、成長を続けています。そもそもこのサービスが生まれたきっかけは、僕自身が常に周囲にいるグルメな達人たちに「美味しい店を教えてほしい!」と聞き回っていたから。ひどい場合には「メシの相談しか連絡したことがない」友人もいたほどです(笑)。でも、それなら達人たちのレビューをまとめれば多くの人の役に立つ、と思いついたのが発端でした。

 その「TERIYAKI」の核のひとつが、厳選したキュレーター"テリヤキスト"による店紹介です。彼らは年間に少なくとも500食以上は外食する「食べるプロ」。店や料理人に対するリスペクトも持っています。僕は、食に対して経験値にかかわらず、誰でもコメントや店評価を書きこめる「食べログ」のようなCGM(消費者生成メディア)に少し懸念があって。時にそれが良店を潰す一因になるようでは、真に消費者と飲食業のためにならないと考えているんです。その点、「TERIYAKI」の情報源は信頼性が高い。それが食通たちに支持される理由だと感じています。

Let's Try TERIYAKI これが進化形グルメアプリだ!/堀江氏を中心とする食の賢人、テリヤキスト30名が全国各地と世界の「最高に美味しい店」を厳選・紹介する、キュレーショングルメアプリ「TERIYAKI」。高級レストランだけでなく、B級グルメや地方店に強いキュレーターも揃う。今後はネットで情報検索から店予約まで完了する仕組みも創設予定。すでに「ホットペッパー グルメ」と提携し、約100店舗でサービスを開始した。

 今後はさらに、英語版も拡充していく予定です。これはオリンピックで増加する来日外国人に、本当に美味しい日本のレストランを紹介したいから。キュレーターの多くは日本をベースにする日本人ですが、それもやはり、これだけレベルの高い飲食店が集まる日本を理解した人でないと、本当の店の評価はできないと考えているからです。

 将来は、プロの料理人向けのサービスも構想中。ますます活発に情報を発信していきます。今回はそんな僕の日々のレストラン探求のなかから、選りすぐりの5軒を紹介しましょう!

Takafumi Horie
1972年福岡県生まれ。「TERIYAKI」ファウンダー。旨いものを食べるのが至上の喜びで、世界中の「訪問予定レストラン」リストは常に100軒以上もある。店は当日決めたいタイプ。


「普通」がない鮨屋にあるのは、伝統の下支えがある"革新"

 常に驚きを求めている僕にとって、この店はいつも新たな発見を与えてくれる店。寝かせたカツオをワラで炙(あぶ)った燻熟成(くんじゅくせい)鮨や、低温で火入れした白子の「握リゾット」など、最先端の情報や技術をキャッチアップしているので飽きることがない。「鮨ひとつひとつを、ひと皿の料理と考えて美味しさを追求した結果。最先端なつもりはありません」と店主の秦野(はたの)よしきさんは謙遜(けんそん)するが、そんな姿勢も爽やかだ!

 英語教師だった父と家庭科教師だった母の影響で、料理と海外に興味を持ったとのこと。カナダへの留学経験もあり、日本と海外のカルチャーをフラットに見渡せるのも強みだろう。鮨を科学的に捉える努力も怠っていない。

 今の日本の鮨屋が、伝統的な技と高品質な素材を使うのはもう当たり前。一歩抜きん出るには、この店のように既成概念を打ち崩し、改めて再構築する力量が問われていると僕は思う。

とろける舌触りの白子の握リゾットで、堀江さんのお薦め。右は絶品の車海老。
鮓職人 秦野よしき
TEL:03-3475-4004
住所:東京都港区六本木5-11-25 3F
営業時間:18:00~23:00
休み:日曜


今年出合った最高の豚しゃぶ。〆は必ず、細麺のラーメンで

松阪ポークとネギのしゃぶしゃぶは、¥7,000コース(全8品)のメイン。

「僕のなかでの豚しゃぶ世界一」。そう言うと和食店を標榜(ひょうぼう)する店主に「それだけじゃないよ」と叱られそうだが、本当に旨いんだから仕方ない。松阪ポークをカツオ出汁ベースのスープで湯がき、ネギを巻いて溶き卵を絡めて食べるシンプルな鍋は、豚しゃぶにはちょっとうるさい僕が今年一番よく食べた料理かもしれない。大げさかもしれないが、感動的な美味しさだと思う。

 そして〆は絶対、細麺のラーメン。スープで麺を茹(ゆ)で、黒胡椒をかけた溶き卵につけながら食べるのだが、これがまた旨い。僕は九州出身だから麺はどうしても細麺。店主も福岡出身だそうで、こだわりが似ているようだ。

 ここはベースは和食だが、隠れメニューが多種多彩でジャンルを横断している。いつか食べた麻婆豆腐も絶品だった。やっぱり今年も通ってしまいそうな1軒!

豚しゃぶの〆は、スープで茹でたラーメンを黒胡椒+溶き卵でつけ麺風にいただく。
西麻布 みかづき
TEL:03-6418-5653
住所:東京都港区西麻布4-5-4 2F
営業時間:18:00~翌2:00
休み:月曜、第1日曜


まるで焼きいも!旨さを高める端正な天ぷら店

1日1回転、カウンター8席のみで味わえる至福の天ぷらの店。

 ご主人が、ホテル日航東京『吉野』の料理長を務めただけあり、ここの天ぷらは実に端正。天然の車海老や露地物(ろじもの)の有機・無農薬野菜などを使い、「素材が一番美味しくなるように揚げる」というこだわりだ。なかでも、さつまいもの天ぷらは僕好み。7~8センチもの厚みがあって、外側はホクホク、中はしっとりと仕上げるため、30分ほどかけて揚げては休ませるを繰り返す。普段は安納蜜芋(あんのうみついも)だが、時には紅(べに)はるかを使うこともあるとか。おまかせコースのみで、さつまいもの天ぷらが含まれない時もあるが、食材の用意があるとのことなのでぜひ、リクエストをしてみてほしい。

 〆には、天ぷら店では珍しいにゅうめんが秀逸。カリッとしたかき揚げを優しい味の出汁で崩し、細い麺と絡めていただく。僕的にはまさに「やられた」逸品。

絶品の、さつまいもの天ぷら。希望の厚みに切って揚げてもらうこともできる。
天てんぷら うち津
TEL:03-6408-9591
住所:東京都渋谷区広尾5-25-4 宝ビル1F
営業時間:18:00~23:00
休み:不定休


冬には絶対欠かせない、老舗ふぐ屋のカニ大根鍋

カニ大根鍋¥19,000(要予約)。ラーメンで〆たい場合には、1玉¥600。

 創業90年近い老舗で、現在は2代目・藤井正敏さんと女将の美代子さんが中心となって営む店。本来はふぐ料理屋で、特に店オリジナルの焼きふぐが"推し"なのだが、僕はついつい、カニ大根鍋をメインに据えてしまう。

 具は北海道産毛ガニと大根のみ、という潔さで出汁はみそ味。これに毛ガニのみそと唐辛子、最後にぽんっと入れるたっぷりのバターだけで味を決めている。中身を食べ尽くしたら、旨みがしみ出したスープで雑炊を。イクラを山盛りのせてもらい、お腹がはち切れる寸前までつい食べ続けてしまう! 年明けからは卵雑炊かラーメンになったらしいが、これも旨そう。

 そうそう、必食の品がもうひとつあった。実はふぐの煮こごりが苦手な僕だが、『牧野』のだけはOK。ふぐ由来のゼラチンだけで固めた、雑味のない旨さがいい。

室温で溶けてしまう、絶品の煮こごりは1人前¥1,000(写真は半人前)。和辛子をつけていただく。
ふぐ料理 合羽橋牧野
TEL:03-3844-6659
住所:東京都台東区松が谷3-8-1
営業時間:17:00~22:00
休み:木曜(12~翌2月は無休、4月は水曜・木曜連休、7~8月は夏休み)


予約の取れない焼き鳥屋で、鶏料理の奥深さを知る

樹齢400年のトチの木のカウンター。

「予約の取れない焼鳥屋」として名高くなってしまった『蘭奢待(らんじゃたい)』。だがある日、偶然当日の予約が取れてやっと訪問がかなった。料理はコース1本で、前菜、焼き物、サラダ、つくねなどが出て、最後に〆のごはんとなる。

 毎朝捌(さば)いて串打ちする比内地鶏(ひないじどり)を紀州備長炭で焼く焼鳥も絶品だが、前菜のレバーのブリュレも衝撃的。表面をキャラメリゼしてあって、少々甘めなのもいい。つくねにはクミンやナツメグなどの、意外な香辛料が効いている。店主の和田浜英之(わだはまひでゆき)さんによれば、「神保町はカレーの町だから」という遊び心なんだとか。醤油漬けにしたキンカンを絡めて食べると、これがまた旨かった。

 僕はどうしても〆が気になるタチで、ここの親子丼は外せないと思っていたが、最近鶏の炊き込みごはんになったらしい。少々残念だが、美味しい進化は大歓迎だ。

上から胸肉、レバー、つくねのキンカン添え。1本1本食べるごとに、焼鳥の概念が変わる。
蘭奢待
TEL:03-3263-0596
住所:東京都千代田区神田神保町2-12-3
営業時間:17:00~L.O.23:00(土曜~L.O.21:00)
休み:日曜、祝日


「TERIYAKI」キュレーター 森 美樹さんが指南
最新ワイン事情とレストランとのイイ関係

 ワインは料理を引き立てる、重要な存在。仕事としても、ワインラバーとしても、ワインに関するトレンドは必ずチェックしています。

 最近の傾向を挙げれば、ヴァン・ナチュール(自然派ワイン)系は、定着傾向へ。パーカーポイントの神通力は今も健在で、100点満点を取ったワインは即完売していますね。

 シャンパーニュはレコルタン・マニピュラン(小規模自家栽培・醸造メーカーで、販売も行う生産者)のなかでも、巨匠に学んだ若き生産者たちが登場し、高い評価を受けています。またドライ傾向がさらに強まり、ノンドゼも増加。サロン2002は120本だけノンドゼを生産し、そのうち36本が日本市場に入ったそうです。

 忘れてはならないのが、日本ワイン。ブルース・ガットラブさんの10Rワイナリー、佐々木賢さん・佳津子さんの農楽蔵(のらくら)など、北海道の造り手へのクローズアップから始まり、九州など全国的に今まで知名度の低かった産地も注目されつつあります。

 レストランとの関係で言えば、料理とグラスワインを1対1で提案するペアリングが世界的に流行。コペンハーゲン『ノーマ』、東京『SUGALABO』など、さまざまなレストランで取り入れられ、ワインの多彩な魅力が、より楽しめるようになりました。

 一方、セレブを中心に海外では定番となったロゼが、なぜか日本でだけ流行らないのがとても残念。幅広い料理に合うので、ぜひ飲んでいただきたいです。

 ジャンルを問わずワインに力を入れている店こそ、良店の証ですね。

シャンパーニュ サロン 2002/単一クリュの優れた年のシャルドネのみで生産。ノンドゼは120本限定。


高品質な肉をシンプルな調理で。イタリア仕込みの肉焼きに脱帽!

グッと大人の印象が漂う店内。カウンターの目の前では枝澤シェフが腕をふるう。

 私は肉が大好き。だからこそ品質には、ことのほかこだわってしまいます。

 2015年で一番よかった肉料理を問われれば、『エーダ』を真っ先に挙げたいです。厨房に立つのはフィレンツェやミラノなどで10年修業を積んだ枝澤竜太さん。精肉卸のヤザワミートと組んで肉を仕入れ、厳選した黒毛和牛、褐色和牛、短角牛等の肉の状態を見極めながら備長炭と薪で焼き上げます。肉への情熱が高じ、フィレンツェ時代、休日は中央市場の肉屋で過ごし、目を養ったそう。

 魚介と野菜を中心とした前菜、〆のパスタやリゾットも、もちろんイタリアン。郷土料理がさらっと登場するあたりが、一般的なステーキハウスとは違うんです。料理やワイン、そして内装にも隙がありません。紹介制のため、友人たちからは「いつ連れていってくれるの?」と矢の催促(笑)。本当の肉好きの方とうかがいたいですね。

骨つきロース。ひと月枯らして水分を飛ばし、旨みを凝縮させてから焼き上げる。
ステーキ エーダ
TEL:非公開(紹介制)
住所:東京都港区白金1-6-1
休み:火曜


二大名店の師匠の下で健やかに成長した、若き新星

店主の新井さん。鮨はおまかせで¥25,000~¥30,000ほど。生ビール¥800、グラスワイン¥1,500~。

 こちらは昨年10月に開業したばかり。店主の新井祐一さんは銀座『久兵衛』、四谷『すし匠』を経て独立された方で、まだ33歳という若き新星です。両店の師匠それぞれの魅力を取り込みながらも、自分らしい新井流を模索中。「食べて"旨い"とストレートに思える、鮨屋らしい鮨を大事にしたい」そうです。

 しっかりしたサイズと味わいの酢飯に、マグロやコハダ、穴子など江戸前鮨ならではのネタが印象的。私も大好きなマグロは、「フレッシュなもの、寝かせたもの、それぞれによさがある」からと、複数出してくれます。

 店は個室にもカウンターがあり、接待などに使いやすいのでゲーテ読者にもお薦め。ワインはブルゴーニュを中心としたフランス産を用意されていて、今後も拡充予定だとか。さらに期待が高まります。

中トロ、鯛の握りに、シャンパーニュ・ジャクソン キュヴェ No.738を合わせて。
鮨 あらい
TEL:03-6264-5855
住所:東京都中央区銀座8-10-2 ルアンビルB1
営業時間:11:30~13:30/17:00~23:00
休み:水曜


緻密で力強い料理と良質なイタリアワインを堪能

華やかなシーンにも最適な空間で、永瀬さん厳選のイタリアワインをたっぷりと堪能できる。

 トスカーナなどで約6年修業した武田正宏さんがシェフを務める『イルーチ』。昨年、「第8回JETCUP イタリアワイン・ベスト・ソムリエ・コンクール」で優勝した永瀬喜洋さんを迎えてパワーアップしました。この1月からは、「休息」などを意味する『ラ ソスタ』と名を変え、さらなる飛躍を目指すそう。

 小田原港直送の魚10数種それぞれに適切な調理法と味つけを施した前菜、各部位の素材の旨さをストレートに追求した鳩のロースト、蝦夷(えぞ)鹿のラグーとほうれん草を練りこんだ自家製パッパルデッレなど、緻密さのなかから湧き上がる生命力を感じる料理は絶品! そんな料理を活かす良質なイタリアワインを、永瀬さんが選んだペアリングコースでぜひ。難しい言葉はナシ、身を任せる安心感と楽しさを実感できる1軒です。

鮮魚の前菜。小田原港直送の鮮魚をいろいろな調理方法で。料理は¥10,000のコースの一例。

ラ ソスタ
TEL:03-3447-8934
住所:東京都港区白金台5-13-14 B1
営業時間:12:00~14:00/18:00~21:00
休み:水曜、第2火曜


フレンチの基礎技術に裏打ちされた、新小岩の美味なる超穴場店

カウンター9席の極小店。飲んで食べて楽しんでもお勘定が懐に優しい。

 新小岩探索を楽しんだのは昨年初めてのこと。近年、面白い店が増えたという、このエリアのガイド役を務めてくれた知人が特に推すのが『Chez(シェ)とし』。鴨もも肉のコンフィやパクチーと砂肝のサラダ、ゴルゴンゾーラのペンネなど、フレンチ、エスニック、イタリアンの要素が混在する自由自在なメニューに、カジュアルで手頃な価格のスペイン産、お値打ちの上等なフランス産が並ぶワインリストにノックアウトされました。

 店主の野崎敏治さんは、今はなきフレンチレストラン『SHIMPEI』の松尾晋平さんに師事。店の皿の多くは、陶芸家でもあった松尾さんの店から受け継いだそう。

 料理はそのボリュームにも目を見張りますが、満腹になってもまだ箸が止まらない美味しさにさらに驚愕。新小岩にお住まいの方々が、心底うらやましい!

伊万里牛テールの赤ワイン煮込み¥4,500。2~3人でシェア必至のボリューム。
わいん食堂 Chez とし
TEL:03-5879-9907
住所:東京都葛飾区新小岩1-34-8 エヌアールビルB101
営業時間:17:30~L.O.22:30
休み:日曜、祝日

Text=木原美芽 Photograph=岡本 寿、富澤 元、上田佳代子、中庭諭生、菊池陽一郎

*本記事の内容は16年1月1日取材のものに基づきます。価格、商品の有無などは時期により異なりますので予めご了承下さい。 14年4月以降の記事では原則、税抜き価格を掲載しています。(14年3月以前は原則、税込み価格)