第5回ゲーテ・レストラン大賞 悶絶レストラン ゲーテイスト2017 新店続々 「旬のフレンチ」

今、フレンチ界にキラリと光る新店が次々と登場している。若きシェフたちによるこの動きを、秋元康・小山薫堂・見城徹の美食センサーが早くもキャッチ! 心を揺さぶる至宝の新店から、まだまだ目が離せない。

スブリム(Sublime)
<フレンチ/新橋>

【キラーのひと皿】「マッシュルーム 半熟卵」/「マッシュルーム 半熟卵」は¥10,000のコースの一例。マッシュルームを発酵、フレッシュ、ソテーで楽しませる。半熟卵に絡めればより芳醇でまろやかな味わいに。

 最近特にフレンチの新しい勢いを感じているんです。若手シェフによる期待の新店が続々とオープンしていて。なかでも『スブリム』は刺激的でした。

 薫堂のフレンチセンサーはすごいなぁ。

 ここは何が美味しいの?

 スペシャリテの、「マッシュルーム 半熟卵」。塩だけで3週間発酵させたマッシュルームとフレッシュマッシュルームを、半熟の卵と一緒に食べるんです。

 フレンチもさらに進化しているよね。

 そうですね。特に最近は20代後半から35歳くらいのシェフの勢いがすごい。この店の加藤順一シェフは『タテル ヨシノ』の後、パリの『アストランス』で働いて、さらにデンマークの『レストランAOC』にいたこともあると聞きました。

シェフの加藤順一さん(右)とオーナーの山田栄一さん(左)。

 じゃあ、北欧っぽいエッセンスがあるわけね。

 スペシャリテもそうですが、やっぱり寒い国だから、食材を日持ちさせるために発酵の技術を使うのでしょうね。新しいフレンチだけど、奇を衒(てら)いすぎてないし、食べやすい。あと、この店の良心を感じる部分なんですけど、夜は1万円のコースのみなんです。

 それはすごい。デートなんかにも使える雰囲気なんだろ?

 ゆったりと落ち着いた空間で、女性は絶対に好きなお店だと思いますよ。料理のプレゼンテーションも素敵ですし、オーナーソムリエの方も、もともと『レストランFEU』や『エディション・コウジ シモムラ』にいらしたみたいでサービスが洗練されていますよ。

 若手の飛躍がますます楽しみだ。

テーブルの空間をあけ、"余白"を持たせた落ち着きのある美空間。
スブリム(Sublime)
TEL:03-3578-8831
住所:東京都港区新橋5-7-7 ロイジェント新橋B1
営業時間:12:00~L.O.13:00/18:00~20:00
休み:日曜
備考:席数:22席、個室:1室(2~6名。別途個室料あり)

シック プッテートル(CHIC peut-être)
<フレンチ/茅場町>

【キラーのひと皿】「アミューズ各種」

 ここは2016年に行ったなかで、すごく好みの店でした。とても繊細なフレンチなんですが、店の構えはビストロのようで気取っていないんです。

 えっ? シックプ......何?

 プッテートルです。

 また俺と秋元が絶対に覚えられないような名前の店を挙げてきたね(笑)。店の場所も八丁堀って、本当に薫堂はどうやって見つけるの。

 権力のあるところに情報は集まるんですよ(笑)。

 いやいや(笑)。でも、ここはかなり今っぽいフレンチですから、見城さんもお好きだと思いますよ。とても軽やかで。最初にアミューズが5皿出てくるんですが、見た目もすごく美しくて。手でつまめる料理を出すのも、リラックスして食事を楽しんでほしいという思いがあってのことだそう。

手でつまめるスナック感覚のアミューズのひと皿は¥12,000のコースの一例。

 デート向きの店だね。

 ワインのペアリングも意外性があって面白かったし、ワイン好きの女友達と行くのもいいかも。

 確かに、情報ツウだねぇ。

 権力のあるところに......。

 違いますって(笑)。

温かみのある空間。
シック プッテートル(CHIC peut-être)
TEL:03-5542-0884
住所:東京都中央区八丁堀3-6-3
営業時間:11:45~L.O.13:00/18:00~L.O.21:00(土曜のランチは12:00~)
休み:日曜、祝日
備考:席数:14席、個室:なし

ティエリー・マルクス(Thierry Marx)
<フレンチ/銀座>

【キラーのひと皿】「もやしリゾット」

 パリで2つ星を取っている『ティエリー・マルクス』が、満を持して日本に上陸したんです。銀座4丁目のGINZA PLACE(銀座プレイス)にね。

 9月上陸でもう行かれた?

 この企画のために(笑)。マルクス氏が作ってないからどうなの? と思ったけど美味しい。久々にヌーベルキュイジーヌを楽しんだ。

 同じフロアにビストロも?

 そうそう。だから、いい感じにざわめいていて。その奥にこぢんまりとしたこのレストランがある。あと、銀座4丁目という絶好のロケーションだからデザートの時は空いていれば外のテラスもお薦め。

有田焼の球状の3段重を広げて楽しむお重デザート。

 誕生日とかクリスマスにいいですね。

 料理が美しいし、軽やかでヘルシーな印象だから、きっと女性は喜ぶよ。「もやしリゾット」という料理もびっくりでね。え、これもやし!? というぐらい旨かった。デザートも大満足。今、パリの流行りの味なのかな。

 ライトな感覚ですかね。

 見城さんがフレンチをこれほど語るってことは相当美味しかったはず。僕も行かなきゃ。

ベンチソファで寛ぎの雰囲気を演出。ディナー¥20,000。
ティエリー・マルクス(Thierry Marx)
TEL:03-6264-5045
住所:東京都中央区銀座5-8-1 GINZA PLACE 7F
営業時間:11:30~L.O.14:00/17:30~L.O.21:00
休み:日曜
備考:席数:テーブル16席、個室:1室(~8名※有料)

レストラン フォレスト(Restaurant Forest)
<フレンチ・ステーキ/自由が丘>

【キラーのひと皿】「エスカルゴのガーリックパセリ焼き」

 小ぶりで粋なモダンビストロ風ならここ。昔、博多のステーキの名店『和田門』の六本木店によく行ってたんだけど、その時のシェフ、草場健治(くさばけんじ)さんの店なんです。60歳を越えられて、「ゆっくり仕事を」ってことで昨年、青山から自由が丘に移転されて。シェフの顔を見ながら、食事できるのが嬉しい。

 自分の青春の味を、今でも食べられるってすごく幸せなことですよね。

 色褪せずにね。ちゃんとしたフレンチがベースにあるから、「エスカルゴのガーリックパセリ焼き」とかヴィシソワーズ、長崎県の希少な五島牛のタタキなど前菜の数々が絶品! コースの最後はシャトーブリアンのステーキかレモンステーキ。

浅葱たっぷりの五島牛のタタキ¥2,900。

 夫婦ふたりでやっていて、温かな雰囲気ですよね。近所に住んでいたら行きつけにしたい。

 えっ、知っているの?

 青山の時から。僕もレモンステーキのファンですよ。発祥の地、佐世保まで行ったほど。佐世保で修業した人が、福岡で始めたのが『和田門』ですから。

 さすがは、九州出身の薫ちゃん!

シックな店内。サービスする奥様は店舗デザイナー。ディナーは¥6,000~。
レストラン フォレスト(Restaurant Forest)
TEL:03-3717-3011
住所:東京都目黒区自由が丘1-16-13
営業時間:12:00~L.O.13:30/18:00~L.O.20:30
休み:火曜、水曜
備考:席数:16席、個室:なし

オー・プロヴァンソー(Aux provençaux)
<フレンチ/麹町>

【キラーのひと皿】「ちょっと美味しいハヤシライス」

 この店のセレクト、秋元さんにしては珍しく色気を感じるのですが......(笑)。

 いやいや、身構えずに味わえる気軽なフレンチです。

 クラシカルなフレンチ?

 そうですね。

見 昔はよく『北島亭』や『コートドール』に通ったな。

 『レカン』に『クレッセント』、『アピシウス』や『トゥールダルジャン』もね。

 男のフレンチとも言うべき。

毛蟹のほぐし、白バルサミコ風味 クルジェットのムース/料理は3皿¥8,640~のコースより。

 あの頃はフランス人でもないのに、どうしてあんなにフレンチを食べていたんだろう......。

 若かったから(笑)。

 ロマンティックな生き方をした頃だ。

 『パスタン』とか最高に旨かったな。ここはもう伝説だけど。

 こちらのキラーメニューは、「ちょっと美味しいハヤシライス」。牛ほほ肉の赤ワイン煮とごはんを合わせた料理で、ソースとの相性が抜群なんです。ネーミングにも惹かれるけど、その名前どおりに美味しかったです。

 秋元を参らせるには、旨いハヤシライスかカレーだからね。

 本当、弱いですね。このひと皿はぜひ試してほしいです。

日常使いの1軒。
オー・プロヴァンソー(Aux provençaux)
TEL:03-3239-0818
住所:東京都千代田区平河町1-3-9 ブルービル別館1F
営業時間:11:30~L.O.14:00/17:30~L.O.22:00
休み:日曜、月曜、祝日
備考:席数:32席、半個室1室(~6名)

クローニー(Crony)
<フレンチ/西麻布>

【キラーのひと皿】「鰆のロースト」/「鰆のロースト」は¥12,960のおまかせコースの一例。カリフラワーのソテー、ピューレ、チュイルとともに。皮目をパリッと焼き上げたメインの皿。

 では、満を持してフレンチ界の最大のホットニュースを(笑)。

 いいねぇ。新しい店?

 昨年の12月1日オープンでまさに最旬情報です。いい店に違いないという確信があったので、この鼎談のタイミングに間に合うかオーナーに相談してみたら「ゲーテイストならぜひ載りたい」とのことだったので!

 素晴らしい気合だ(笑)。で、いち早く試食をしてきたと。

 それが、うちの会社までシェフが来て、料理を作ってもらったんですよ。

 俺たち、呼ばれてないぞ。

 いやいや、たぶんお忙しいだろうなと思ったので(苦笑)。

見 それで、どんな店なの?

 実は『カンテサンス』でずっとディレクトールをしていた小澤一貴(かずたか)さんが仲間のシェフやソムリエ、サービスと始めた店なんです。プレオープン中に実際、お店にも行ったのですが、料理も空間もとても素敵でした。

 君がそんな最終兵器を持っていたとは。シェフはどこにいた人なの?

右からマネージャー小野寺 透さん、シェフ春田理浩(みちひろ)さん、ディレクターの小澤一貴さん、スタッフの田島光将(こうしょう)さん、ソムリエ石川雄大さん/一丸となり店を盛り上げる。

 春田君というシェフで29歳と若いんですが、パリの『ル ドワイヤン』、東京の『カンテサンス』、デンマークの『カドー』やノルウェーの『マエモ』にもいたみたいで、実力、経験値ともに十分という感じがしました。

 キラーメニューは?

 僕が食べたなかでは、鰆のローストがよかったですね。ソースにもちょっとした驚きがあって。肉でも感じたんですが火入れが秀逸。あと、コースでは最初のアミューズと最後のデザートに石の器を使っていて、同じプレゼンテーションで出てくるのも印象深かったです。それと自家製パンをコースのひと品として出すんですが、脇役になりがちなパンを主役として出すのも店の哲学が感じられてよかったですね。

左:チョコレートムースと洋梨。濃厚なチョコレートの風味とシロップ漬けにした洋梨のハーモニーを堪能したい/右:自家製パン。コースのひと皿として登場。

 コースの最初と最後が同じプレゼンテーションって面白い。

 終始わくわくした気持ちを途切れさせない。1月から21時以降はアラカルトも始めるそうなので、それも楽しみです。

 深夜までやってるの?

 2時までです。小澤さんが「深夜まで忙しいビジネスマンのために」って。ビストロでもワインバーでもなく、きちんとした哲学のある店で、この時間まで料理とワインが楽しめるのは、とても今っぽいと思います。

 本当に素敵な店がどんどん出てくるなぁ。

 間違いなく2017年を代表する1軒になるはずです。

21時以降はアラカルトも提供する。
クローニー(Crony)
TEL:03-6712-5085
住所:東京都港区西麻布2-25-24 NISHIAZABU FTビルMB1F
営業時間:18:00~翌2:00
休み:日曜、不定休あり
備考:席数:カウンター5席、テーブル16席、個室:1室(2~6名)

Cooperation=Sweet Thick Omelet,inc. Text=粂 真美子、小寺慶子、藤田実子、山本真由美、中井シノブ Photograph=薄井一議、上田佳代子、鈴木拓也、中庭諭生、大谷次郎、菊池陽一郎、内藤貞保、福森クニヒロ、笹原健裕、比田勝大直

*本記事の内容は17年1月1日取材のものに基づきます。価格、商品の有無などは時期により異なりますので予めご了承下さい。 14年4月以降の記事では原則、税抜き価格を掲載しています。(14年3月以前は原則、税込み価格)