グランメゾンの王道の魅力に浸る!【トゥールダルジャン 東京】

今年35周年を迎える「トゥールダルジャン 東京」は、美食界のロールスロイスのごとく、時代を超越した魅力が輝くグランメゾン。エグゼクティブシェフのルノー・オージエ氏がフランス料理界最高峰の称号「M.O.F.(フランス国家最優秀職人章)」を受章した今年は、いつにもまして華やかな空気が漂っている。「いつか行ってみよう」と思いながらも機会を逃していた方は、今こそ訪れるべき時。絢爛豪華な空間の見どころと、名物料理をご紹介しよう。


見どころ1/エントランスとレセプションホール

最初の見どころであるエントランスは、濃紺色の長い廊下から始まる。この濃紺色は、パリの「トゥールダルジャン」の創成期と重なるブルボン王朝のシンボルカラー。各界の著名人のサインが並んだ長い廊下を抜けると現れるレセプションホールの壁には、フランス伝統の“だまし絵”が飾られ、空間の中央には大きな食卓が展示されている。この食卓は、「トゥールダルジャン」の歴史に残る「三皇帝の晩餐」のテーブルセッティングを再現したもの。「三皇帝の晩餐」とは、1867年パリ万博の折にロシア皇帝とプロシア皇帝とビスマルクがパリの「トゥールダルジャン」を訪れ、プライベートで食卓を囲んだ晩餐のことだ。

一軒のレストランに国賓が集ったのは、「トゥールダルジャン」がもともと貴族のための旅籠として誕生したため。華麗なる歴史の残り香が漂うレセプションホールからバーコーナーに移って食前酒を楽しみ、再びホールに出てロココ様式のメインダイニングへ着く頃には、貴族の館の中を歩き回ったような心地になるはずだ。

見どころ2/メインダイニングルーム

メインダイニングルームの壁面の樫材やシャンデリアなどの調度品は、1984年の東京店オープン時にフランスから運ばれたもの。1万坪の日本庭園に面したダイニングには、予約の数に合わせてゆったりとテーブルが配置され、上質なクロスの上には磨き込まれたカトラリーやグラスが並ぶ。壁際の中央に置かれた大理石のテーブルでは、オーダーが入ると流れるような所作で幼鴨のソースが作られるので、そちらにも注目したい。それはまるで、儀式のような光景だ。

名物料理「幼鴨のロースト」とサービス

名物料理の「幼鴨のロースト」には様々なバリエーションがあるが、最も有名なのは4種類の胡椒を使ったスパイシーかつクリーミーなソースで味わう「マルコポーロ」。上質な鴨肉の旨みを、黒・白・ピンク・グリーンの胡椒の香りが引き立てる逸品だ。「トゥールダルジャン」で使われる幼鴨は、フランスはシャラン地方の名門、ビュルゴー家から取り寄せるもの。ビュルゴー家の鴨は窒息させて絞める(エトフェ)ため身に血が蓄えられ、やわらかな旨みを堪能できるのが特徴だ。その鴨には1890年から1羽ずつ「通し番号」がつけられており、ゲストには番号を記したカードが手渡される。ちなみに1921年に昭和天皇がパリ本店で召し上がった鴨の番号は“53211”。東京店の鴨番号は、その次の“53212”からスタートし、現在は“261000”番台に突入している。

5月にM.O.Fを受章したルノー・オージエシェフが手掛ける鴨肉のローストは、絶妙な火加減で皮目をパリッと焼き上げ、やわらかな身の旨みを引き出したもの。鴨肉のロースト自体は昔から受け継がれる伝統料理だが、オージエシェフは時代に合わせて提供方法をアップデートし、以前は薄いスライスだった身を厚めのブロックに変更。「マルコポーロ」のソースにもマイナーチェンジが施され、以前より軽く、香り高く仕上げられている。

サービスは燕尾服姿のメートル ド テルとシェフ ド ラン、コミ ド ランの3人体制で、料理をのせたトレーを厨房からテーブルまで運ぶのはコミ ド ラン、カトラリーをセットするのがシェフ ド ラン、トレーから皿をとってテーブルに出すのはメートル ド テルが担当。テーブルに出された鴨の皿には、クロッシュと呼ばれるドーム型の銀製の蓋がされており、その蓋は一斉に開けられる。グランメゾン特有の様式美に、拍手を送りたくなる瞬間だ。

デザートとワイン

デザートでも華麗なサービスを満喫するなら、ワゴンでフランベされる様子を楽しめる「クレープフランベ ベルエポック」を。このデザートは、19世紀に生まれた古典的デザート「クレープシュゼット」を進化させたもの。「トゥールダルジャン」では、オレンジの代わりにほろ苦いピンクグレープフルーツを用いて大人の味わいに仕上げている。

料理を引き立てるワインのセラーは都内最大級。「トゥールダルジャン」は数多くの有名ソムリエを輩出したレストランであり、現在も現役ソムリエが講師を担当するワインスクール"ワインアトリエ"は好評を博している。そんなグランメゾンで楽しめるワインは、バイ・ザ・グラスの銘柄も一級品ばかり。ワインリストはお宝が眠る“蔵帳”のようで、ワイン愛好家にとっては眺めるだけでも楽しいはずだ。

絢爛豪華な空間や、人間国宝級のシェフが作るフランス料理と厚みのあるワインリスト、燕尾服姿のメートル ド テルによる優雅なサービス。以上、「トゥールダルジャン 東京」の魅力を駆け足でご紹介したが、店舗にはこの何倍もの魅力が詰まっている。ぜひご自身で訪れて味わってほしい。

トゥールダルジャン 東京
住所:東京都千代田区紀尾井町4-1 ホテルニューオータニ 東京 ザ・メイン ロビィ階
TEL:03-3239-3111
営業時間:17:30~L.O.20:30 ※ランチは不定期開催
休み:月曜
料金:コース¥18,000~(税サ別)
http://www.tourdargent.jp/


Text=小松めぐみ