東西の穴子『鳴神』&『麻葉』The Killer Restaurant

ふわっと煮るのが主流の東、焼穴子が常識の西。「梅雨穴子」「夏穴子」と呼ばれる旬の時季に東西食べ比べを。

初夏に食べたい切れ味爽やかな一品 

穴子の力強い旨みは、柑橘などフルーツ系の甘み、爽やかな酸味や香りとの相性が抜群。(料理はすべておまかせのコースより)

兵庫県赤穂市出身の鳴神正量(まさかず)氏にとって穴子といえば"焼き"。「香ばしく、適度な噛み応えがあり、脂の甘みや旨みがじんわり舌に広がるのが瀬戸内の穴子です」。使うのは、赤穂から取り寄せる手焼きの焼穴子。「そのまま山葵(わさび)をのせて食べても美味しいですよ」と言いつつ、赤ワインベースの醤油ダレでさっと温め、ほんのり甘く爽やかなオレンジを添える。穴子の握りに柚子を飛ばすように、柑橘(かんきつ)は相性がいい。「オレンジの風味が強くなりすぎないようキウイにレモンをたっぷり絞ったソースで和えました」。なるほど、穴子の香ばしさが引き立ち、ジュワッと滲み出る脂に酸味が融合。梅雨時の憂鬱(ゆううつ)を吹き飛ばすキリッと端正な味わいだ。

初鰹の透明感ある味を活かす赤ワインベースのタレで軽くヅケに。新生美やシブレットなど辛味をアクセントに添えて。

Narukami
TEL:03-6447-4866
住所:東京都港区南青山3-4-6 AOYAMA346-102号
営業時間:12:00~13:00(最終入店)/18:00~22:00(最終入店)
休み:不定休
備考席数:カウンター8席、個室:なし
料金:コース¥10,000
URL:http://www.restaurant-narukami.com


これぞ、江戸前穴子の真骨頂

仕入れも仕込みもいっさいの妥協を許さない店主の塙(はなわ)直也さん。「梅雨時から夏は、江戸前(東京湾)の穴子しか使わない」ときっぱり。「脂がのっているけれどクドくない」という。築地の仲買が選んだ有力候補のなかからさらに黄金色に輝く10本を厳選。締めたてをすぐに下処理し、コクが出るよう赤ザラメを使って柔らかく煮る。この後、なんと細かい骨も1本残らず抜くというから驚きだ。

ツメに飛ばし柚子と塩で。小骨がいっさいなく、とろんとほどける食感から鼻に抜ける芳しい香りまで穴子の真骨頂を思う存分に堪能できる。

この穴子に限らず、ネタの美味しさに焦点を当てるシャリも秀逸。聞けば、米の品種を選びに選び、江戸前鮨の原点である赤酢と塩の配合も試作を重ねてたどりついたという。飽くなき探究心に導かれた美味しさの神髄に心が躍る。

コースはこのサバ(またはコハダ)とガリの巻きものから始まる。工夫を凝らしたつまみや握りはもちろん、デザートの黒糖シャーベットも驚きの美味しさ。旬の日本酒も充実の品揃え。

Asaba
TEL:03-5786-6688
住所:東京都港区西麻布1-4-35 レ・フルール西麻布102
営業時間:19:00~22:00、土曜・日曜・祝日18:00~21:00
休み:不定休
備考席数:カウンター8席、個室:なし
料金:コース¥17,000~ ※6名から貸切可

Text=藤田実子 Photograph=鈴木拓也