2軒目へのエスコート、3軒目でのダンディズム 今夜を〆(しめ)る優美な場所へ……

有意義だったディナーのあとに大切なヒトをさり気なく、スマートにエスコートする、とっておきの2軒目。

【2軒目へのエスコート】

既成概念を覆すニュースタイル。時代の先端走るカクテル研究所
L.O. 翌0:30 
ミクソロジー ラボラトリー(MIXOLOGY LABORATORY)
<東京/八重洲>

 場所はビルの3階、看板はない。入口らしき木のドアは固く閉ざされ、部外者を拒むかのよう。横の壁に、電子キー。コードを入力してその壁を静かに押すと、隠し扉が開いてバーが現れる―─。禁酒法時代の隠れ酒場を再現したというこの店は、入店時からスリルに満ちている。その驚きはカクテルをオーダーすることで、さらに高まることになる。それが時代の先端を走るミクソロジーだ。
 旬のフルーツや生野菜を使うカクテルとして定着したミクソロジーだが、「それはひと昔前の話」とオーナーの南雲主于三(しゅうぞう)氏。素材の幅を広げ、自家製スピリッツを蒸留することで、新たな味を生み出す。例えば、ガストロショコラマティーニのベースは、なんとフォアグラウォッカ。チョコレートと合わせ、スモークを纏(まと)ったまま提供される1杯は、まさに唯一無二の味。
 南雲氏がミクソロジーを極めるための研究所でもある同店、サプライズな2軒目として盛り上がること請け合いだ。

ガストロショコラマティーニ¥1,600。
ミクソロジー ラボラトリー(MIXOLOGY LABORATORY)
TEL:03-6262-3946
住所:東京都中央区八重洲1-6-1 八重洲第三パークビル3F
営業時間:18:00~L.O.翌0:30
休み:日曜・祝日
席数:21席
アクセス:JR東京駅八重洲口より徒歩1分


同伴者が思わず「えっ」と驚くディープな隠れ家へエスコート

L.O. 翌1:00
バー・ラ・ユロット(Bar la Hulotte)
<東京/元麻布>

 知らないとたどりつけない。知っていても、久方ぶりだとつい通り過ぎてしまう。元麻布に佇む『ラ・ユロット』の頼りは、静かに灯る小さな看板のみ。
 駅からも少し離れ、周囲は閑静な住宅街で、「2軒目でいったい、どこへ連れて行くの?」と思わず不安にさせる立地だが、扉を開けた先に広がるのは、大人だけに許された至高の空間だ。そこは古びた礼拝堂のようでもあるが、ぼんやり浮かび上がる景色には19世紀後半のヴィクトリアンの家具や照明に照らされるマールやブランデー、そして、するりと延びるカウンター。初めてならばようやく、ここがバーなのだと気づくだろう。
「本日は何をお召し上がりに?」
 そんな会話からバーテンダーの川瀬彰由氏が差し出した一杯は、熟れた桃のような香りが漂う食後酒のラタフィアだった。来店までの過程を推察し、すぐさまそのあとのストーリーを紡いでくれる。とろけるような甘美なお酒と絶妙な距離感の接客。大人のバーの使い方。それはこんな店を知ることから始まる。

時間が経つにつれ味わいと香りが変化。ラタフィア¥1,300。
バー・ラ・ユロット(Bar la Hulotte)
TEL:03-3401-8839
住所:東京都港区元麻布3-12-34 大野ビル1F
営業時間:19:00~L.O.翌1:00
休み:日曜・祝日
席数:9席
アクセス:地下鉄麻布十番駅7番出口より徒歩5分


L.O. 翌3:00
月の港(Tsuki no Minato Port de la Lune)
<大阪/北区> 

土壁の質感も風情。BGMはタンノイの高級スピーカーから。

 北新地から徒歩圏ながら、忘れ去られたように佇む、昭和初期の木造一戸建て。ここは、風情ある小さな庭を愛でながら、上質のレコルタン・マニピュランや、1970年代産を含むオールド・ビンテージを楽しめるシャンパンバー。今年2月オープンの同店は、基本的に一見さんお断りというハードル高き店だ。
 新地から急に暗くなる裁判所界隈を通り抜けて、たどりつくこの立地。バーどころか、飲食店の気配も皆無。木造古民家と知らなければ、看板もなく見つけることさえ不可能だろう。

オーナーの中田さんはミュージシャンの経歴も。

 そんななか、古民家の風情を残した土間のテーブルと、囲炉裏端の座敷席というレイアウトも常識破り。フランスにも暮らした女性オーナーの中田深雪さんは、モデルのウォーキング講師やアーティストとしても活躍する多彩な才能の持ち主だ。
 ともあれ、歴史ある土壁の中、ひっそりと静かな庭を眺めつつ座敷で傾けるシャンパーニュ。まるで夜の白昼夢のような秘密の場所が、その美味を妖しすぎる魔性に変えてくれる。

.R&Lルグラ サン・ヴァンサン(2000年)¥2,800(グラス)など熟成シャンパンもグラスで。
月の港(Tsuki no Minato Port de la Lune)
TEL:06-7162-8942
住所:非公開
営業時間:20:00~L.O.翌3:00(土曜14:00~翌1:00前後)
休み:日曜(祝日不定休)
席数:お座敷8席、テーブル8席
アクセス:非公開


リュクスな空間美と美酒が、大人の夜に重要なファクター

CLOSE 翌4:00
カーヴ・シンデレラ(Cave Cinderella)
<東京/西麻布>

西麻布のビルの最上階。窓外の夜景がロマンティックに気分を盛り上げる。

 例えば意中の女性と「いざ2軒目へ」となった場合、ちょっとした遊び心を感じる店選びで親密感を高めたいもの。
「今日はこのへんで……」と言わさないために、ここ一番の誘い文句の用意が必要だ。
 西麻布の交差点近くにオープンした『カーヴ・シンデレラ』は洗練された雰囲気が魅力のシャンパーニュラウンジ。ワインスタイリストとして各方面で活躍する藤崎聡子さんがプロデュースする店とあってシャンパーニュは独自の感性が光るものを揃えるが、フード類もユニーク。ミネラリーで果実感のあるシャンパーニュとともに味わいたいのが塩とレモンでいただく焼き餃子。遊び心を知る大人の女性ならば、この素晴らしいマリアージュに身もだえるはず。
「餃シャンしない?」の誘い文句が定番になる日も近い?!

焼き餃子¥1,000/肉と野菜のバランスにこだわった秀作。レモンと塩で味わって。
カーヴ・シンデレラ(Cave Cinderella)
TEL:03-5413-7554
住所:東京都港区西麻布1-15-7 6F
営業時間:9:00~翌4:00
休み:土曜・日曜・祝日(10名以上の予約の場合は営業)
席数:22席
個室:1室(2~8名※2時間以上利用で¥5,000)
アクセス:地下鉄乃木坂駅5番出口より徒歩10分


L.O. 翌3:30
ガルリ デュ ノール(Galerie du Nord)
<大阪/北新地>

バックバーのランプシェードは全てバカラのデキャンター。

「バカラのデキャンター24個とグラス26個をランプシェードに使ったデザイナーズ・バーが新地にできたんだけどね」
 たいていの人は、このひと言で「ぜひ、連れて行ってください」となるはずだ。世界的デザイナーの森田恭通氏が手がけたフロアは、やはりリュクス度が格別。贅沢にもバカラのデキャンターを通過して届く灯りは、やはり別格の妖艶さで輝く。
 しかも、ここには空間以外にもトピックは無数。大小の個室に、多彩なアラカルトのほか、コース料理も準備。約100種のワインと、希少なボトラーズ・ブランドを含む計50種のウイスキー。さらにはノンアルコール・カクテルまで全方位に向けた、万全の目配りとスペックはビジネスでも、プライベートでも究極のキラーカードになってくれることだろう。

極厚牛フィレのカツサンド¥2,800。
ガルリ デュ ノール(Galerie du Nord)
TEL:06-6147-5159
住所:大阪府大阪市北区曽根崎新地1-10-1 エスパシオンYAMADA10F
営業時間:18:00~L.O.翌3:30
休み:日曜
席数:カウンター8席、ソファ14席
個室:2室(4~15名)
アクセス:JR北新地駅1番出口より徒歩1分


彼女に笑顔を運ぶ美しいカクテルで、艶なる一夜を演出CLOSE
L.O. 翌2:00
Bar 石の華(BAR ISHI NO HANA)
<東京/渋谷>

 心身をリフレッシュしたい、あるいはお酒でも美容や健康は気にしていたい。そんな女性の願いを、これほどに受け止めてくれるバーは、そうはない。渋谷にある『石の華』は、まさにそんなコンセプトで世の女性の賞賛を浴びる。いや、女性だけではない。店主の石垣忍氏は、IBA公認の世界大会に日本代表として出場。世界一の称号に輝き、その類まれなるセンスは世界も注目している。そう書いてしまうと敷居が高く感じるが、心配は無用。「旬のカクテルを」そう告げさえすれば、店ではその時期旬のお酒が、すっと。

食用バラを浮かべたローズペタルモヒート¥1,426。
Bar 石の華(BAR ISHI NO HANA)
TEL:03-5485-8405
住所:東京都渋谷区渋谷3-6-2 第2矢木ビルB1
営業時間:18:00~翌2:00
休み:日曜・祝日
席数:19席
アクセスJ:Rほか渋谷駅南口より徒歩3分


【3軒目でのダンディズム】

手ごたえある接待のあとや、一日の仕事を終えて、思わず足が向いてしまう3軒目。ひとり静かにグラスを傾ける安息のひと時。

B精進料理の店だが、〆(しめ)酒、ちょい飯に最適なバーも併設
ar TIME. 22:00~
shojin 宗胡(Shojin Sougo)
<東京/六本木>

 主人の野村大輔氏は、精進料理の名店『醍醐』で料理長を務めた人物。しかし、独立して開いたここではトリュフなど、洋の素材も積極的に用いて精進料理の新たな可能性を探っている。
 専任バーテンダーは寺本宗穂(てらもとむねほ)氏で、日本酒はもちろんウイスキーもラインナップするバーを併設したのも「さまざまなシーンで活用できる店でありたいから」。肴は当然、精進料理。その味は男性でも満足する力強さに溢(あふ)れるが、深夜でも身体に優しい。小腹が空いたなら、〆(しめ)に天丼や蕎麦を。接待で疲れた心身にとびきりのご褒美となる。

天丼¥1,000/時季で素材は異なるが、この日は菜の花とタマネギのかき揚げなど。
shojin 宗胡(Shojin Sougo)
TEL:03-5414-1133
住所:東京都港区六本木6-1-8 六本木グリーンビル3F
営業時間1:1:30~15:00/カフェタイム14:00~17:00/18:00~23:00/バータイム22:00~L.O.翌5:00
休み:日曜、祝日不定休
席数:45席
個室:2室(¥1,500~)
アクセス:地下鉄六本木駅3番出口より徒歩1分


オトコひとり。静かに明日の英気を養う安息の場所へ

24:00最終入店
バー エル ラギート(Bar El Laguito)
<東京/荒木町>

大人の男がゆったりと寛(くつろ)げる空間。シガーは常時50種用意。お気に入りの銘柄を店のヒュミドールに預ける常連客も。

 文豪・トルストイが「孤独な時、人間は真の自分自身を感じる」という名言を残しているが、多忙であればこそ、意識的に“孤独”な時間を持つのは、男にとって大切なことである。
 荒木町の雑居ビルにひっそり店を構える『バー エル ラギート』は、静かに自分自身と向き合える大人の空間だ。1920年~30年代の上海をイメージしたというアール・デコ調のインテリアからモダンな印象を受けるが、おごそかな空気感は、どこかヨーロッパのカテドラルにも似ている。とはいえ、堅苦しさを感じさせないのは店主の本多聡さんの人柄があってこそ。「男がひとりで飲むカクテルといえば……」と差し出されたマティーニは、どこまでも清冽(せいれつ)で、心の靄(もや)さえも晴れるようだ。
 静謐(せいひつ)なるバーで過ごす時間が、男を成長させてくれる。

本多さんのつくるカクテルは、その所作同様、洗練された味わい。
バー エル ラギート(Bar El Laguito)
TEL:03-5315-4866
住所:東京都新宿区荒木町2-14 アイエス2ビル3F
営業時間:15:00~24:00最終入店
休み:日曜
席数:12席
アクセス:地下鉄四谷三丁目駅4番出口より徒歩4分


CLOSE 翌3:00
サロン(Salon)
<大阪/北新地>

洗練のデザインワークに、ラリックのアンティーク・グラスのセレクトも秀逸。

 北新地にあって、この柔らかで、穏やかな空気感はなんだろう。いわゆるオーセンティック・バーにありがちな、型を強いるような空気感は微塵もない。上質な空間の中に、訪れた者の心を和ませる、おおらかな懐の深さに満ちているのだ。
 その、どうにも心地よい柔らかさを生むのは、ゆったりした楢材のカウンターであり、フランク・ロイド・ライトを思わせるソファ……、そして、やはり店主・鹿島教之(かしまのりゆき)氏の絶妙の“間”である。キャリアは20年以上。控えめで、時に朴訥(ぼくとつ)としたウィットを織り交ぜつつ、円熟した自然体の接客で作る空気だ。
 そこに似合うのはラリックのアンティーク・グラスで愛でる昭和のオールド・ボトル・ウイスキーか、コニャックか。いずれを選んでも、極上の安らぎの時間は保証されている。

鹿島氏の絶妙な所作も見ごたえあり。
サロン(Salon)
TEL:06-7878-6797
住所:大阪府大阪市北区堂島1-3-1 二葉ビル3F
営業時間:19:00~翌3:00
休み:日曜・祝日
席数:カウンター6席、ソファ10席
アクセス:JR北新地駅1番出口より徒歩4分


こだわりの銘酒でマニアも唸らせる個性派バー

L.O. 翌2:00(日曜・翌1:00)
バー・トレンチ(Bar TRENCH)
<東京/恵比寿>

ライブラリーのような落ちついた空間。

 ゴッホやロートレックなど多くの芸術家に愛飲されたアブサン。幻覚成分を含むとされ、製造禁止になったという逸話にも妖しげなイメージが膨らむ。現在販売されているものに幻覚作用はないが、その味を知れば、後戻りができないほど蠱惑(こわく)的な酒であることは間違いない。
『バー・トレンチ』では、約30種のアブサンや薬草系リキュールをベースとした、ストーリー性のあるカクテルを提供している。そもそもここが現実世界ではないような錯覚に陥るのもアブサンの仕業か。ひとりで酒と向き合い、歴史に思いを馳(は)せて夢へと落ちる夜もいい。

アブサン・バタフライ¥1,400/アブサンドリップで砂糖を溶かし、加水しながら味わう。
バー・トレンチ(Bar TRENCH)
TEL:03-3780-5291
住所:東京都渋谷区恵比寿西1-5-8 DISビル102
営業時間:19:00~翌2:00(日曜18:00~L.O.翌1:00)
休み:無休
席数:12席
アクセス:JR恵比寿駅西口より徒歩5分


L.O. 翌1:00
ジム・マッキュアン・バー ウイスキー・アイランド
(Jim McEwan Bar Whisky Island)
<大阪/北新地>

 まさに、プレミアム・ウイスキーのライブラリーである。エリザベス2世の父、ジョージ6世の時代の納税印ラベルが輝くスコッチのほか、1920年代から50年代のウイスキーさえ、ショットで楽しめるのだ。
 美しきバーテンドレス、水谷麻里さんのコレクションには禁酒法時代のバーボン(1929年)も。きっと、仕入れ先の大元はアル・カポネだろう。数十年の熟成を経た美酒を正統派バーそのものの端正なフロアで愛でる時間。古きよき時代にひとり馳せる思いは静かに、そして、豊かに広がってゆく。

水谷さんはNBA全国大会、創作カクテル総合5位の凄腕でもある。
ジム・マッキュアン・バー ウイスキー・アイランド
(Jim McEwan Bar Whisky Island)

TEL:06-6344-3151
住所:大阪府大阪市北区曽根崎新地1-11-9 京屋ビル1F
営業時間:18:00~L.O.翌1:00
休み:日曜・祝日
席数:カウンター10席
アクセス:JR北新地駅1番出口より徒歩2分

Text=小久保敦朗、大西健俊、寺下光彦、小寺慶子、田代いたる Photograph=上田佳代子、富澤 元、福森クニヒロ、菅野祐二、岩本浩伸

*本記事の内容は15年4月1日取材のものに基づきます。価格、商品の有無などは時期により異なりますので予めご了承下さい。14年4月以降の記事では原則、税抜き価格を掲載しています。(14年3月以前は原則、税込み価格)