シャンパーニュ好き必見! ローラン・ペリエ「グラン シクエル」に記された番号の謎とは?

世界屈指のシャンパーニュ・メゾン、ローラン・ペリエ。このプレステージ・キュヴェで、シャンパーニュ通に絶大な人気を誇るのがローラン・ペリエ「グラン シエクル」だ。今回、このシャンパーニュのネックラベルに番号が記されることになった。その意味とは――。


「偉大なる世紀」を意味するシャンパーニュ

ローラン・ペリエの「グラン シエクル」に"作品番号"がついた……と聞いて、喝采を挙げる人は相当のシャンパーニュ通に違いない。

ローラン・ペリエは1812年創立の老舗シャンパーニュ・メゾン。第一次世界大戦と世界恐慌から経営危機に陥ったこのメゾンは、1939年、マリー・ルイーズ・ドゥ・ノナンクールに買い取られた。第二次世界大戦後の49年に息子のベルナール・ドゥ・ノナンクールが経営を引き継ぐと、彼の経営手腕と革新的発想のおかげで業績はたちまち回復。かつて業界100位に過ぎなかった弱小メゾンは、今日、グループ全体で堂々の4位にまで成長した。大手メゾンの多くが国際的な酒類資本の傘下にある中で、今なお家族経営を維持しているのも特筆すべきことである。

2010年に90歳の天寿を全うしたベルナール・ドゥ・ノナンクール。シャンパーニュにおいて彼ほど先見の明に秀でた人物はいなかったであろう。60年代半ば、これからはロゼ・シャンパーニュの人気が伸びると見れば、白ワインに少量の赤ワインをブレンドした一般的なロゼではなく、ピノ・ノワールの果皮を短時間果汁に漬け込むマセラシオン法の「キュヴェ ロゼ」を生み出した。またフランス料理がバターやクリームを使わず、素材を重視したヌーヴェル・キュイジーヌの時代を迎えると、ドザージュ(澱抜き後の甘味調整)多めの重いシャンパーニュは適さないとみたベルナールは、1981年にまったく糖分を加えない「ウルトラ ブリュット」を市場にローンチしたのである。

さらにもうひとつ、「キュヴェ ロゼ」や「ウルトラ ブリュット」に先立ち、ベルナールが世に送り出したシャンパーニュがある。それが「グラン シエクル」だ。1950年代は各メゾンから選りすぐりのブドウで造られた最高峰のシャンパーニュ、すなわちプレステージ・キュヴェのリリースが相次いだ。ローラン・ペリエでもこの流れに乗り遅れまいと策を練るが、他社の追随では気が済まないのがこの男の性格。プレステージ・キュヴェといえば単一収穫年のヴィンテージが当然との風潮にあってある奇策を思いつく。

「ひと言でヴィンテージといっても、年ごとにキャラクターは異なる。ある年は骨格がしっかりとし、ある年はバランスの良さが感じられ、またある年はフレッシュさに溢れている。真の最高峰を目指すなら、それぞれの性格を備えた3つのヴィンテージをブレンドしてはどうだろう」

かくして1959年に産声を挙げたのが、55年、53年、52年のワインをブレンドした「グラン シエクル」。「偉大なる世紀」を意味するこのプレステージ・キュヴェの名付け親は、時のフランス共和国大統領、シャルル・ド・ゴールであった。ベルナール・ドゥ・ノナンクールは第二次世界大戦中、対独レジスタンスに参加。シャルル・ド・ゴール将軍の側近だったのだ。

しかし……である。最高峰のシャンパーニュはヴィンテージという一般の人びとのイメージは簡単に払拭できるものではない。いっそのこと3つのヴィンテージをラベルに表記できればよいが、シャンパーニュの規定ではそれが許されない。グラン・クリュ(特級)に格付けされる11の生産地のピノ・ノワールとシャルドネを用い、現在では10年以上の熟成を施した贅沢な造りのプレステージ・キュヴェにもかかわらず、世間では正しい評価を受けていないのではないか。そのような疑念が生じたと、最高醸造責任者のミシェル・フォコネは吐露する。

右から最高醸造責任者のミシェル・フォコネ、当主のアレクサンドラ・ペレイル・ドゥ・ノナンクール、社長のステファン・ダルヤック。

そこであくまでさりげなく、このプレステージ・キュヴェの真の価値を主張する手段としてボトルネックに付加されたのが"作品番号"というわけだ。今後はこの番号をメゾンの特設サイトで照会すれば、構成ヴィンテージが判明する仕組みとなっている

ちなみに現在流通している「グラン シエクル」は「No.23」で、バランスの良い2006年、フレッシュさの2004年、ストラクチャーの2002年のブレンド。「エレガンスとバランスの良さを追求し、力強さは求めない」というメゾンの哲学を具現化した、上品で洗練された風味。

また、間もなくリリースされる「No.24」はフレッシュな2007年、バランスの良い2006年、ストラクチャーの2004年からなる。各ヴィンテージの構成比は非公表だが、原則として最も若いヴィンテージの比率が大半を占める。それを証明するように「No.24」は快活さが際立つ一方、シルキーな喉越しが優雅さを演出する。同時にマグナムボトルの「No.22」もリリースされた。通常のボトルの2倍の容量をもつマグナムボトルは長い熟成が必要。じっくり時間をかけた分だけフレーバーや味わいに深みや奥行きが増している。

今までは複数のグラン シエクルがワインセラーにあると、どのボトルから開けてよいものかと迷ったものだが、作品番号がついたおかげでその悩みも解決した。しかし、今後は新しい作品番号が出るたびにコレクションしたくなるかもしれない。もっともそうした悩みとて、真のシャンパーニュ通にとっては多いなる楽しみのひとつなのだが……。

「ローラン・ペリエ グラン シエクル NO.24」¥25,500(750ml/化粧箱入り)


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Text=柳 忠行