150本のアブサンを所有! 理学博士がハマる薬草酒のパワー【酒コレクション】

「生涯の友」「人生を豊かにしてくれる宝」……。酒を表現する言葉は数あれど、共通する思いは「酒のない人生などありえない」だろう。酒をこよなく愛する男たちの熱狂と、自身の秘蔵酒を披露する。


地球科学研究者・藤永公一郎

千葉工業大学でレアアースなど、次世代の資源について日々研究する藤永公一郎氏。彼がハマッたのはアブサンという薬草酒で、ニガヨモギ、アニス、フェンネルをベースとしたリキュールだ。アルコール度数は70%前後、新緑めいた独特な香りでクセが強く、好き嫌いがはっきりと分かれる。

「最初、友人に薦められて飲んだ時はピンとこず、近所の酒屋でペルノ・リカールのものを見つけて、わりと美味しいな、と。そのあと、恵比寿のバーで『ムーラン・ヴェール』を飲んだら、どハマりしました」

自前のアブサンステッキ

アブサンに開眼して以来、日本では売っていない海外のものも買い集めるように。アブサンに使われるニガヨモギには"ツヨン"という成分が含まれる。これが幻覚などの作用をもたらすとされ、20世紀初頭頃にスイスやフランスでは製造が中止に。再び販売されるようになったのは2000年をすぎてからだ。

「19世紀の芸術家たちが愛飲した酒で、ヴェルレーヌは詩に、ゴッホは作品に描きました。この酒が生んだ名言も多いんですよ。アブサン用の薬草も育てているのですが、いつか自分の銘柄を造ってみたい。アブサンは文化であり浪漫なんです」


藤永公一郎がデイリーに飲む1本

ムーラン・ヴェール 約¥4,758(500ml)
「"緑の風車"という名のフランス産アブサン。私がハマるきっかけになった1 本です」

Koichiro Fujinaga
千葉工業大学 次世代海洋資源研究センター 上席研究員 博士(理学) 1975年生まれ。地球科学の研究者。パソコンやスマホといった精密機器に欠かせない鉱物資源である、レアアースやレアメタルの研究を行う。時に水深6000mの深海へ調査に向かうことも。


Text=古関千恵子 Photograph=五十嵐 真