サイバーエージェント 藤田 晋 プレミアムな男たちが行きついたワイン好きの果て Part.2

都内の日本料理店でワインを片手に寛いで談笑しているのは、サイバーエージェント代表取締役社長の藤田 晋氏。同社では目標を達成した部署の社員を集め、社長と歓談する「ごほうび会食」が年に数回行われている。これは「社員のモチベーションを高める」ための藤田流の経営術だ。

“いい1本”がもたらす効能とは? ワインは人間関係の潤滑油

毎月目標を達成した部署には飲み代も支給するという。最近は終業後の飲み会を嫌う若者が多いと聞くけれど、この「社内飲み会」は社員同士の交流が深まり、ひいては業績の向上に大いに効果があったそうだ。

ちなみにごほうび会食でワインを選ぶのは藤田氏。この日のチョイスはムルソーの名門、コント・ラフォンが醸造するクロ・ド・ラ・バールだった。

「ブルゴーニュは白も赤も、食事の邪魔をしないので選ぶことが多いですね。このムルソーは2本以上在庫があったので大勢でも不足しないし、値段も妥当だったので選びましたが、2013年はまだ若く、最初は少し固かったかな。場の雰囲気も固かったけど。ワインが空くにつれ、だんだん和んできましたね」

相変わらずブルゴーニュ好きを自認する藤田氏だが、最近の家飲みはもっぱらカリフォルニアのカベルネ・ソーヴィニヨン。

「カジュアルに罪悪感なく飲めるから」というのがその理由だが、具体的な銘柄をうかがうと、なんとカルトワインのコルギン! いやはや、カジュアルといってもいっさい妥協はないらしい。所有しているワインセラーの数は9台というので、てっきりレアなワインの蒐集にでも走っているのかと思えば……。

「僕の場合、ワインは100パーセント飲むものなんですね。コレクションをする気もないし、投資をする気もない。美味しいことが一番大事なんです。執着心がないので、自分や家族の誕生年にこだわってワインを買うこともしません。だから飲むタイミングも何かの記念日より自分の体調が優先。ペトリュスを開けるのは今日だな……とか」

そうした直感的な決断力が、藤田氏の経営判断にもつながっているのかもしれない。

「ごほうび会食で僕が選んだワインを、あとでこっそり値段チェックしている社員もいるみたいです(笑)。実際、それなりの価値のものを選んでいるので、社員がそれに応えてくれることを期待しています」

サイバーエージェントで人を円滑に動かすのは、1本の極上のワインのようである。

左:すでに造られていない幻のワイン。年産40本といわれるドゥエレ・ポルシュレのミュジニーを所有/中:今年の結婚記念日に開けたリシュブール/右:Abema TVの1周年記念企画『亀田興毅に勝ったら1000万円』の放送後、打ち上げで亀田興毅氏と飲んだワインの数々。


WINE PROFILE

ワインの師匠は?
――ワインバー「エスペランス」の成田忠明氏

好きなワインの傾向は?
――好きなのはブルゴーニュ、家飲みはカリフォルニア

ワイン消費量は?
――週に4~5本

“ワインバカ”なエピソード
――単なる呑んべえなので、語るべきエピソードはなし

Susumu Fujita
1973年生まれ。’98年にサイバーエージェントを設立し、2000年、東証マザーズに当時最年少で上場を果たす。’16年、テレビ朝日との共同出資でAbema TVを放送開始。

MY BEST PREMIUM WINE

Text=柳忠之 Photograph=古谷利幸 Cooperation=田中田 西麻布店 (TEL:03・6447・0490) 写真提供:ヴァンパッシオン、ラック・コーポレーション