美食のメッカNYで堂々デビュー! 世界のトップを目指すワイマラマからの挑戦状【ワイン】

ニューヨークの三つ星レストランにおいて、ニュージーランドのとあるワインがお披露目された。名前は「シャトー・ワイマラマ」。そのローンチディナーは、ひとりの日本人起業家が、世界トップクラスのワインに叩きつけた宣戦布告の場であった。


“赤”オンリーで勝負するNZ生まれのワイナリー

ニュージーランドと聞いて真っ先に思い浮かぶのは、試合前のハカが印象的なラグビー代表チームの「オールブラックス」。しかし昨今、この国で造られるワインも世界中の注目をおおいに集めている。

「シャトー・ワイマラマ」は日本人起業家の佐藤茂氏が、ニュージーランド北島のホークス・ベイに所有するワイナリー。ホークス・ベイはニュージーランド最古の本格的ワイン産地で、この国としては比較的温暖な気候を反映し、カベルネ・ソーヴィニヨンやメルローなどボルドー系のブドウ栽培に適している。

シャトー・ワイマラマが生み出すワインも、これらの品種をブレンドしたボルドースタイル。佐藤氏のお気に入りがシャトー・ラフィットをはじめとするボルドーの偉大な赤ワインだから、ホークス・ベイに目をつけたのは当然の帰結である。

佐藤 茂氏の父親がワイナリーを取得して、今年で20年。もともと家族や親しい友人との会食で開けたり、仕事の取り引き先へのご進物用に造られ、一般販売は細々と行われていたワインだが、20年が経過してワインの品質も世界水準に達した。

そこでこれを機に、大規模なローンチを行う決心を固めたという。お披露目の舞台はニューヨーク。世界中のセレブに愛され、世界で最も予約の取れないレストランのひとつと言われる「Per Se(パーセ)」である。

ニュージーランド北島のホークス・ベイにあるシャトー・ワイマラマのワイナリー。1988年に創業したワイナリーを’98年に佐藤家が取得した。ワイナリーのロゴやラベルデザインは、クリエイティブ・ディレクターの佐藤可士和氏によるもの。

パーセはカリフォルニア州ナパ・ヴァレーの3つ星レストラン「The French Laundry(ザ・フレンチランドリー)」のトーマス・ケラーが、2004年にオープン。わずか2年後、ニューヨーク版のミシュランでも3つ星を獲得した。2つの異なるレストランでそれぞれ3つ星に輝くシェフは、全米広しといえども彼をおいてほかにいない。

エントランス前で配られたワインは、アペリティフ代わりのロゼだった。シャトー・ワイマラマが所有する4.5ヘクタールのブドウ畑で栽培されているのは、カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、カベルネ・フラン、マルベックといったボルドー系品種にシラーと黒ブドウばかり。そこでこれら黒ブドウを用い、しっかりしたボディを持ちながらフレッシュな風味のロゼを生み出した。アフターのほろ苦さが食欲を誘い、華麗なるディナーのプレリュードにちょうどよい。

シャトー・ワイマラマのワインはこのロゼを除くとすべて赤。したがって、パーセとの綿密な打ち合わせの末に用意された料理も、一皿目のマグロのあとはフォアグラ、仔羊、牛と肉料理が続く。ワインは4つの黒ブドウ品種をブレンドした「Minagiwa(ミナギワ」の2016年にはじまり、そのバックヴィンテージである2009年。そしてシラー100%の「Kiraraka(キララカ)」2009年である。

ディナー中にサーヴされたワインは5種類。最後には佐藤家が取得したファーストヴィンテージの1998年のカベルネ・ソーヴィニヨンも供された。熟成感の中にもフレッシュさを留め、これにはフランスから来たコンサルタントのルドヴィック・ヴァヌロン氏も感心しきり。

ミナギワ2009は4つのボルドー品種にほんのわずかにシラーを加え、スパイシーなアクセントを残す。メルローが主体なので口中でのテクスチャーはあくまでしなやか。ニュージーランドの中では温暖だが、世界のワイン産地と比較すれば涼しい気候にあるためピュアな酸味が感じられ、充実したフィニッシュにフレッシュ感をともなう。これが赤身肉と赤ワインが続いても、疲労感を感じさせない理由のひとつだろう。

キララカの後にいよいよ登場したのが、シャトー・ワイマラマのフラッグシップにして、満を持してリリースされる「SSS(エスエスエス)」の2009年。

2009年は暑く乾燥したヴィンテージで、晩熟で知られるカベルネ・ソーヴィニヨンも完璧な熟度を備えている。カベルネ・ソーヴィニヨン100%となると、タンニン由来の渋みばかりが前面に押し出され、パワフルすぎるワインが多いもの。しかしこのエスエスエスはビロードのように滑らかな舌触りをもち、これもまたフレッシュさを少しも損なわない、エレガントな飲み心地のワインに仕上がっていた。

満を待してリリースされたシャトー・ワイマラマのフラッグシップ「SSS(エスエスエス)」2009年。わずか6樽、約1768本のレアもの。噛むたびに味わいが増すスネイクリヴァーファームのビーフに、カベルネ・ソーヴィニヨンのキメ細かなタンニンが調和する。

オーナーの佐藤氏は、シャトー・ワイマラマのワインが近い将来、ボルドーの五大シャトーやカリフォルニアの「オーパス・ワン」、トスカーナの「オルネッライア」など、世界の名だたるカベルネ・ソーヴィニヨン主体のワインと肩を並べることを目指している。その夢を実現するため、2年前に引き入れたのが、ボルドーの敏腕醸造コンサルタント、ルドヴィック・ヴァヌロン氏だ。

「私が着任する前から、シャトー・ワイマラマでは心地よいアロマのワインが出来ていました。今後は栽培法や醸造法の細部をチューニングし、以前よりもさらに質の高いワインを目指します」とヴァヌロン氏は言う。ディナーの最初に登場したミナギワの2016年が、ヴァヌロン氏が関与した初ヴィンテージ。まだ若々しいのは当然ながら、すでに緻密な構造とバランスの良さに秀で、高い将来性を期待させるワインであった。

シャトー・ワイマラマ。数多くの銘酒がひしめき合うカベルネ・ソーヴィニヨン主体のボルドーブレンドというカテゴリーにおいて、緻密なストラクチャー、ビロードのような舌触り、絶妙なるバランスのよさをもつワインに対し、今後、世界中の評論家がどのような評価を下すのかが楽しみだ。

ワイマラマジャパン
TEL:03-6447-2356
住所:東京都港区元赤坂1-2-17 Akasaka K-Tower 2802
https://waimarama-japan.jp/


Text=柳 忠之