バレエ界の王道を歩む男、熊川哲也とスコッチウイスキーの王道、バランタイン17年

日本バレエ界を長きにわたって牽引する熊川哲也と、上質なブレンデッドウイスキー、バランタイン。両者に共通するのは”王道”を貫く揺るぎない姿勢だった。


過去は自分から探し求めないと見られない

イギリス初の王立バレエ団として1956年に設立され、初代名誉総裁は故マーガレット王女というロイヤル・バレエ団。由緒正しきそのバレエ団に、17歳で東洋人初の入団を果たし、わずか5カ月後には歴代最年少ソリスト、4年後にはプリンシパルに昇格したのが、熊川哲也さんだ。彼が、ロイヤル・バレエ学校に入学するために渡英したのは’87年、15歳の時だった。

「当時はまだイギリスが”イギリスらしさ”を維持していた頃。トラディッショナルで、重厚で、保守的で、そして頑固(笑)七つの海を制覇したのだというプライドが、あらゆるところに息づいていた時代です。入りづらさはあったけれど、そこに迎え入れられ、育ててもらった。僕にとって大事な場所ですね」

イギリスで暮らしたのは約12年ながら、多感な時期だったこともあり、価値観や美意識の形成への影響は大きかった。

「イギリス人は、最先端より歴史あるもの、伝統を重んじます。僕も、アンティークが好きで、ベートーベンを聴きながら、ろうそくの灯の下で1826年に出た『第九』の初版楽譜を開き、ウイスキーのグラスを傾ける。その時間がたまらない! まるで自分が、その時代を生きているような気がしてね。僕は、未来よりも過去を見てみたいんですよ。未来は自ずとやってくるものだけど、過去は、自分が探し当てないと見られないものだから」

もっとも、熊川さんがウイスキーに慣れ親しむようになったのは、ここ数年のことで、イギリス滞在中はほとんど口にしなかった。

「バレエダンサー時代は、それほど飲む機会がありませんでしたからね。それに、時を重ねた”熟成”から生まれるウイスキーは、大人のお酒。若造には似合わないと思っていました。バランタインは、その最たるもの。名前の響きもよくて憧れてはいましたが、なかなか手が出せなかったんですよ」

仕事終わりのウイスキーでONからOFFに

‘98年に惜しまれつつもロイヤル・バレエ団を退団し、日本に戻った熊川さんは、翌年、Kバレエカンパニーを設立。現在は芸術監督として、演出や振り付け、後進の育成に従事しつつ会社を支える経営者としての一面も持つ。ビジネスシーンで年長者と同席することが多くなり、そこでウイスキーを嗜むことを覚えたという。

「食事の前の待ち合わせには、たいていバーを利用しますが、そこで口にするのはウイスキー。バーカウンターの上にウイスキーグラスがあって、その脇に革の手帳と眼鏡が置いてある……。それだけで絵になるし、カッコいい! ウイスキーって、不思議と男心をくすぐるんだよね」

仕事が終わった後の一杯も、もっぱらウイスキーで。自宅には”ウイスキーエリア”なるものもあるとか。件の楽譜などの古書に囲まれた一角には、バランタイン17年や、お気に入りのバカラのタンブラーなどが置いてある。

「甘みやスパイシーさなど複雑な味わいがふっと口の中に広がって、芳醇な香りが鼻から抜けて……。バランタイン17年を飲むと、張り詰めていた糸が少しずつほどけ、リラックスできるんです。あの心地良さは、他のお酒ではなかなか得られないんじゃないかな。僕はアーティストであると同時に、経営者でもある。時として求めるものが相反してしまい、自分の中で葛藤が起こる場合もあります。それも、ウイスキーが優しくほぐしてくれるんですよね」

飲み始めた当時は水割り派だったが、最近はロックで。

「味がだんだん変わっていくのも好きだし、氷がグラスに当たった時のあの音が、またいいんですよね。味、香り、そして歴史。それを本当に愉しめるのは、この年代以上の特権なのかも。行き着くところは、やっぱりウイスキー。そう言われる意味がやっとわかりました。バランタイン17年を飲みながら、『こういう嗜み方ができる年になったんだな』と、我ながら感慨深いですよ。もっとも僕はやんちゃなところがあるから、まだちょっと背伸びしているかもしれないけれど(笑)。でも、それでいいという気もします。30代には30代の、40代には40代の背伸びがある。そうやって背伸びしながら人は熟成していくのだろうと。その後押しをしてくれるのが、歴史あるものなのでしょうね」

歴史が感動をつくり、感動が歴史をつくる

新しいものばかりでもてはやされる現代において、熊川さんは歴史あるものへの敬意を忘れない。

「今の時代は、前衛的なことをして認められようという風潮があるけれど、僕はそれが好きではない。僕の作品は、先人達が築いてくれた”古典”という土台に違う花を何本か添えるくらいで、(1879年設立の)シェイクスピア劇場でも上演できるものを心がけています。僕が目指すバレエも、100年前、100年後に受け入れられる”王道”。歴史が感動をつくり、感動が歴史をつくるのだから」

人々が感動しなければ後世に受け継がれずに風化してしまい、”歴史”にはならない。いわば歴史は、確かな結果の積み重ねだ。

「バレエは、僕にたくさんの感動を与えてくれ、素敵な世界を見せてくれた。先人達が遺してくれたものを次世代につなぐのが、僕の役目であり、恩返しだと思っています。バレエを通して、たくさんの人に別世界を見せてあげたいし、感動を知ってほしいんですよね。そのためにも、どんなに時代が変わろうと、周りがどうであろうと、僕は、ぶれることなく、やるべきことをやるだけ。きっとウイスキーも同じじゃないかな。人々に愛され続けてきた歴史があるからこそ”今”があり、その歴史を築いた先人に恥じぬようマスターブレンダーがしっかりと伝統を引き継いでいくという……」

スコッチウイスキーの王道と称されるバランタインも、また然り。ウイスキーづくりに携わってきたひとりひとりが自らの仕事を全うしてきたからこそ、飲む人を感動させ、その歴史が築かれていったのだ。もちろん、伝統を守ることは困難で、壁にぶち当たることもある。それは熊川さんも同じだという。

「そんな時はバランタイン17年。膨大なエネルギーを必要とする時、バランタイン17年でリラックスする時間は、僕にとって、かけがえのないものです」


バランタイン17年
1937年の発売以来、ファンを魅了し続けるスコッチウイスキーの王道。厳選された原酒を40種類以上ブレンドし、17年以上熟成させた奥行きのある香りと繊細な味わいで、ISC2018金賞など多くの賞に輝く。

¥9,000(希望小売価格)


Tetsuya Kumakawa
1972年北海道生まれ。‘89年、英国ロイヤル・バレエ団に入団し、プリンシパルとして活躍。帰国後‘99年にKバレエカンパニーを創立、以後熊川版としてグランド・バレエを精力的に発表する。2013年紫綬褒章受章。


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スコッチウイスキーの王道、バランタインの紋章に込められたウイスキーづくりへの思い