10月にスティングが史上最高のベスト・ヒッツ・ツアーで来日!

10月にスティングが来日する。「キャリアの集大成、史上最高のベスト・ヒッツ・ツアー!」と謳った「MY SONGS」ツアーで、福岡、幕張、仙台、大阪の4都市で5公演行う。


キャリアの集大成となる来日公演「MY SONGS」

5月にリリースしたベスト・セルフカバー・アルバム『マイ・ソングス』の曲をベースに歌い演奏するこのツアーはすでにヨーロッパをまわっているが、ポリス時代の「ロクサーヌ」「キング・オブ・ペイン」「見つめていたい」からソロになってからの代表曲「イングリッシュマン・イン・ニューヨーク」「フラジャイル」「シェイプ・オブ・マイ・ハート」などをやっているようだ。『マイ・ソングス』はセルフカバーだけど、オリジナルに近いアレンジなので、ほぼ原形に近いスタイルで聴くことができるだろう。

© 土居政則

「ここに収めた曲は、私の人生そのもの、といっていいだろう。それらを再構築し、部分的に修正し、手を加え、そしてそのすべてを、今現在の視点で見つめ直してみた」

スティング自身、ライナーノーツで語っている。

リスナーは、自分の愛する曲は、できるだけオリジナルアレンジで聴きたいものだ。音楽はその曲と出合ったときの自分と一緒に脳に格納されている。オリジナルのイントロを聴くだけで、その当時の感情や、愛していた相手までよみがえってくる。

たとえば「シェイプ・オブ・マイ・ハート」。リュック・ベッソン監督の映画『レオン』のラストで流れるこのバラードは、ドミニク・ミラーのギターの調べから生まれたという。今回のツアーには、ドミニクも来日。つまり、あの切なく儚いギターを体験させてくれる。映画はもちろん、一緒に観た人のことや当時の自分が音とともによみがえるに違いない。

来日公演ではベーシストとしてのスティングも楽しみたい。最近のステージの写真で、スティングはフェンダーのジャズベースを演奏している。オーソドックスの4弦のベースだ。スティングは音数少なくシャープなピック弾きでバンドを導いていく。

ポリスの音楽は「ロクサーヌ」や「孤独のメッセージ」のようにレゲエのリズムが多い。そのボトムでグルーブを生んでいるのがスティングのフェンダー、ジャズベースだった。

ソロの曲もレゲエは目立つが、ポリス時代よりもジャズのテイストを積極的に取り入れている。ソロの最初のバンドで、スティングは黒人の腕利きジャズミュージシャンを集めた。"ジャズの帝王"マイルス・デイヴィスのバンドからダリル・ジョーンズ(ベース)、"史上最強のヒュージョン・バンド"ウェザー・リポートからオマー・ハキム(ドラムス)、当時若手トップのトランペット奏者として絶賛されていたウィントン・マルサリスのクインテットからブランフォード・マルサリス(サックス)とケニー・カークランド(ピアノ)を大胆に引き抜いている。1980年代はまだロックとジャズの垣根が高かった時代だ。

「僕らは見ての通り、白黒混合バンド。業界のシステムへの挑戦だ」 

1985年、ソロ活動をスタートする際の記者会見でスティングは語り、ジャズシーンから非難された。一方、ブランフォードたちも「ロックに魂を売った」とまで言われている。

しかし、スティングのバンドは世界中ですさまじい演奏をして音楽メディアを黙らせた。ロックミュージシャンよりもジャズミュージシャンのほうが演奏力のアベレージは高い。その一流たちをスティングは見事にロックに対応させたのだ。

「僕たち"ジャズ屋"は、ずっと頭の中で音楽をやっていた。ところが、スティングのバンドに参加することによって、ハートで演奏することを教えられたよ」

後にブランフォードに会ったときに語っていた。ロックのパッションとジャズの技術をスティングは見事に融合させた。その実りのひとひとつが「イングリッシュマン・イン・ニューヨーク」だろう。スティングお得意のレゲエのリズムの上で、ブランフォードが自由に、透き通るような音色で、ソプラノサックスを奏でている。今回の来日メンバーにブランフォードは予定されていないが、彼が植えた種子はこの曲のサウンドでしっかりと開花している。

© Mayumi Nishida
STING  MY SONG
10月7日(月)福岡国際センター
10月9日(水)、10日(木)幕張メッセ7、8ホール
10月12日(土)セビオアリーナ仙台
10月15日(火)丸善インテック・アリーナ大阪
料金:S席¥18,000、A席¥17,000 
問い合わせ:ウド―音楽事務所 TEL03-3402-5999
https://udo.jp


Text=神舘和典