【Perfume】結成20年! 音楽界のイノベーターの新たなる進化の軌跡とは?

結成20年、デビュー15年、世界最大級の音楽フェスでも多くの人を熱狂させるPerfume。彼女たちは常に結束し、挑戦し、自分たちの"カッコいい"を追い求めてきた。


日本のポップを"カッコいい"に高めていく

Perfumeがステージに上がると、フィールドのはるか後方から大波のように人が押し寄せてきた。視界いっぱいに人がいる。目の前にも遠方にもすき間なく人が立ち、叫び、手を振る。すごい熱量だ。「うわー、来る! 来る! どんどん来る!」緊張と興奮で、3人は全身がぞくぞくした。

4月21日、Perfumeが参加したコーチェラ・フェスティバル2019(ザ・コーチェラ・ヴァレー・ミュージック・アンド・アーツ・フェスティバル)は、アメリカのカリフォルニア州インディオの砂漠地帯で毎年開催される世界最大級の音楽フェス。ポール・マッカトニー、プリンス、マドンナ、レディオ・ヘッド、コールドプレイ……など、世界一級のアーティストがパフォーマンスを行ってきた。

このフェスは2週にわたり同じラインナップで開催される。Perfumeは4月14日にも出演。観客もメディアも熱狂させ『Rolling Stone』誌の「コーチェラ2019の見るべきベスト16」に選ばれた。だから翌週の21日は、3人をひと目見ようと、全米の音楽ファンが押し寄せたのだ。

キャリアの節目節目で自分たちを奮い立たせた

「コーチェラに参加するアーティストは、アメリカの各都市をツアーして、フェスに臨みます。初挑戦でしたが合わせてツアーを組みました」(あ〜ちゃん)

「日本では、Perfumeをまったく知らない人の前でのパフォーマンスはほとんどなくなりました。でも、コーチェラのお客さんは私たちを初めて観る人ばかりです。デビュー当時の気持ちが蘇りました」(のっち)

特別な環境が3人のモチベーションを上げた。

「日本武道館や東京ドームへの初挑戦とか、海外でアウェイの環境でパフォーマンスをするとか、20年のキャリアの節目節目で、私たちは心を奮い立たせてきました。その都度強くなってきた。コーチェラでも強くなる3人を感じました」(かしゆか)

2017年、明らかに自分たちがステージを上げたと感じたパフォーマンスがある。

「『docomo×Perfume FUTUREEXPERIMENT』です。のっちがニューヨーク、かしゆかがロンドン、私が東京。1万キロ以上離れた昼夜逆転の時差のある状況でタイムラグなく同期させ、新曲『FUSION』を全世界へ完全生中継しました」(あ〜ちゃん)

「初めてひとりずつパフォーマンスしたんだよね」(かしゆか)

「開演前の、いつもの3人の気合入れもできなくて」(のっち)

しかも、リハーサルがまったくうまくいかなかった。

「それでも、本番は考え得る最高の結果でした。踊っている間も離れているふたりの存在を感じられたんです」(あ〜ちゃん)

ふたりの息づかいまではっきりと意識できたという。

「3人ならばタフにやっていける! 戦える!」全員が強く感じた。

「私なんて特に何かに秀でているわけではなくて、今も自分の身の丈以上のことができていて、ほんと奇跡です。メンバーやスタッフさんやファンの皆さんのおかげです。だから、安心して挑戦できます」(あ〜ちゃん)

3人で考えに考え抜いて描き続けたフライヤー

ファンの間では知られているが、Perfumeのブレイクまでの道のりは長かった。結成は2000年。のっちが加わり今の3人になったのが’01年。まだ広島に住む中学生だった。中学3年生になった春に東京に出てきたものの、メジャーデビューは’05年。ようやく「ポリリズム」でヒットしたのは’07年だった。

「東京に引っ越したころは江東区のショッピングセンター、サンストリート亀戸で一週間に2回、パフォーマンスさせていただいてました。でも、なかなか人が集まらなくて」(あ〜ちゃん)

事務所の寮で知恵を絞り、毎回300枚、集客のためのフライヤーを描いて配った。

「私たちを憶えていただきたくて、プリクラで撮った写真を貼ったり、髪型を描いたり、歌詞を書いたり。試しては結果が出ず、また別のことを試しては結果が出ず……」(あ〜ちゃん)

絶望し、でも、すぐ奮い立つ。また、絶望し、でもすぐ奮い立つ。その繰り返しだった。

「考えて、考えて、考え抜いて描きました」(のっち)

「やっていることにまったく疑問は持ちませんでした。お客さんが来なくても、自分たちをカッコいいと思えていた。私たちのカッコよさをわかってほしい。パフォーマンスを観てほしいと、必死でした」(かしゆか)

なぜそこまで自分を信じられたのか。頑張れたのか。

「当時の自分のマインドは謎でしかありません」(あ〜ちゃん)

「あんなに頑張れた自分を愛おしく思うほどです」(のっち)

所属事務所も将来を心配したのだろう。大学進学を勧めた。それでも、3人はデビューに向けて頑張り続けた。

「どんなに厳しい状況でも、心のなかでどう思おうと、私たちはこれまで、マイナスの発言は、お互いに口にしなかったんです」(あ〜ちゃん)

「このままじゃ、私たちダメだと思う、という会話はたった一度もありません」(のっち)

「大丈夫かな? と訊いたことすらないよね」(かしゆか)

キャリアをとおして、自分たちが前を見て進むことしか語り合ってこなかったのだ。

デジタルサウンドに生身の3人が感じられる

9月18日、Perfumeは初めてのベストアルバム『Perfume The Best "P Cubed"』をリリースする。’05年のメジャーデビュー曲「リニアモーターガール」から最新曲「ナナナナナイロ」「Challenger」まで全52曲でCD3枚組だ。

このベスト盤に収録されている曲には15年の幅があるのに、同じ時代の音に感じられることに驚く。Perfumeはテクノポップユニット。最新技術を駆使し、時代性が強い。にもかかわらず、今、15年前に作られた曲を聴いても新鮮に響く。

「サウンドプロデューサーの中田ヤスタカさんが、テクノだけでなく、エレクトロやEDM(エレクトロ・ダンス・ミュージック)などいろいろな要素を取り入れてくれてるからかなと思います」(あ〜ちゃん)

「フューチャーベースとかも巧みに」(かしゆか)

「そして、デジタルだけど、生身の私たちの人間らしさが生かされて作品になっているからだと感じています」(のっち)

結成から約20年、デビューから15年の生身の3人の歩みと挑戦が、声からもパフォーマンスからも感じられるのだ。

「いつキャリアが終わるかわからない、次の保証はない状況で、すべてを出し切ってきました。私たちができるカッコいいことは何? 面白いことは何? それしか頭にないんです。不安が入りこむ隙はありません。今この一瞬に命のすべてをかけないと未来は見えないと、ずっと信じてきました」(かしゆか)

「そんな私たちの力は、女に生まれてきたからこその強さだと感じています」(のっち)

Perfumeの3人はペース配分を考えずに、今この瞬間に全力を注ぎ挑戦することで未来を切り拓いていく。


Text=神舘和典 Photograph=キクマヤスナリ(symphonic) Styling=タケダトシオ(mild) Hair=島尻優樹(TEAM Starter) Make-up=大須賀昌子