【小山薫堂×小池アミイゴ】羽田空港で見たあの言葉の意味は? 旅する日本語⑤「礼遇」

今から飛行機に乗ろうと、羽田空港の出発チェックインロビーで頭上を見上げると、 壁面に巨大なアートギャラリーが広がっているのに気づくはず。それは、旅と日本語をテーマにした「旅する日本語」展。放送作家・脚本家の小山薫堂さんが耳慣れないけれど美しい日本語をもとに、旅にまつわる小さな物語を執筆し、 イラストレーターの小池アミイゴさんが絵画を描いたアートプロジェクトだ。このシリーズは、ふたりが作品に込めた想いを綴ったアナーザーストーリー全11集。


礼遇

好きな温泉をのんびりと巡るひとり旅。
風呂上がりに、自分好みの居酒屋を見つけた。

うまい地酒と絶品の肴。
店主の会話もなかなか楽しい。
隣の席の常連らしき夫婦に
思い切って声をかけたら・・・
意外にも自分と同じく初めての来店だった。
先方もまた、僕を常連だと思っていたらしい。
どんな客でも常連のように見せてしまう
店主の心遣い。
人生で通い続けたい店がまた一軒増えた。

【れいぐう】
礼を尽くし、丁寧にもてなすこと。


Kundo's Another Story
“丁寧にもてなすこと”について考えて書きました。これはまさに過去の実体験。本当は、居酒屋じゃなくって銀座のとある高級老舗フレンチレストランでの話なんですが……。

レストランに行った時に、隣に女性がひとりで食べに来ていました。常連さんのようにもてなされていたから、シェフに「あちらの女性は、よく来られるんですか?」って聞いたら「いえ、初めての方です」って言われ、すごいなと感動しました。そんな自分自身の経験談です。


Amigo's Another Story
この文章を受け取った時は、僕は子供たちと絵を描くワークショップ開催のため、福島の奥会津の柳津に招聘され、用意してもらっていた温泉旅館を宿にしていました。そこの女将さんの晴れ晴れとした客あしらいが気持ちいいなと思ってね。

そんな気持ちいいもてなしのすぐそばに見えた、窓の外の風景を描きました。まだ雪の深い1月。人の温もりの隣りに灯が優しくポッと浮かび上がっている。小山さんの物語で描かれている店の中の風景は、この物語に出会うひとりひとりの思い出にお任せして、僕は物語の背景画のイメージで描きました。


旅する日本語展 2018
国内線第1旅客ターミナル2階南北出発チェックインロビーにて「11」の日本語をテーマにした放送作家・脚本家の小山薫堂による旅の物語と、イラストレーターの小池アミイゴが色鮮やかな絵画を展示中(2019年の3月31日まで)。旅の物語と写真を全国から募集する「旅する日本語投稿キャンペーン」も、7月2日から開始予定。詳しくは公式HPまで。
https://event.tokyo-airport-bldg.co.jp/tabisuru/


Text=加藤久美子(ゲーテWEB編集部)

小山薫堂
小山薫堂
放送作家、脚本家。1964年熊本県生まれ。『料理の鉄人』など多くのTV番組を企画。脚本を手がけた映画『おくりびと』では、アカデミー賞外国語映画賞受賞。名レストランの経営手腕にも注目が集まる。
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