佐賀県の犬猫譲渡センターを訪れる。~滝川クリステル いま、一番気になる仕事~

2014年に自らの財団を立ち上げ、アニマルウェルフェアに則った殺処分ゼロと生物多様性保全を目指して活動している滝川さん。好循環を生んでいる地方自治体の取り組みをレポートします。

キャットタワー、清潔なゲージ、過ごしやすい温度。まるでペットショップのようなこの空間は、佐賀県にある犬猫譲渡センター『いっしょけんね』。佐賀弁で「一緒だよ」という意味を持つこの言葉には、身寄りのない犬・猫たちへの温かい気持ちが込められています。

こちらは、いわゆる地方自治体が管理している「動物愛護センター」のひとつです。名称はさまざまで、一般的に「保健所」の動物を扱う部署が独立したもの。つまり、最終的には殺処分するという点は同じです。ですが、『いっしょけんね』は、全国でも珍しく、譲渡に特化した施設で殺処分は行われません。

コート¥47,000(ウィム ガゼット/ウィム ガゼット 青山店 TEL:03-5778-4311)、ピアス¥16,000、バングル各¥12,000、リング各¥7,000(パティエラ/アダストリア カスタマーサービス フリーダイヤル:0120-601-162)、その他すべて本人私物

従来の保健所などと異なりのびのびと過ごしている

ご覧のとおり、暗いイメージがつきまとう従来の保健所などと異なり、猫たちはのびのびと過ごしています。そのせいか、皆とても穏やかで、来訪者が来ても慣れたもの。今まで、数多くの国内外の施設を見てきましたが、国内でこのような明るく雰囲気のよい環境を整えている所は、非常に少ないのです。佐賀県庁で動物愛護の担当をする小野晴彦氏が、この施設を作った理由を教えてくれました。

「一般的に、保護犬や保護猫を収容する施設は騒音やニオイの問題で山奥にありますが、譲渡を促進するにはたくさんの人が足を運びやすい場所であることが大切です。そこで立地・環境ともにその点を重視して、家族連れや子供たちが集まれるような空間を新たにつくりました」

『いっしょけんね』は九州佐賀国際空港からクルマで1時間ほどの、武雄(たけお)市の中でも商業施設が集中する場所にあります。譲渡目的だけでなく、触れ合いの場としても活用していて、買い物の帰りに寄ることだってできます。こんな施設が増えてほしい。そして、命がつながってほしいと思わずにはいられません。 

私が今回、こちらに訪れた理由(わけ)は、佐賀県のように(地方で)施設を新たに建設したり、資金調達のためにプロジェクトを立ち上げている行政はまだまだ少ないと感じていたからでした。

民間へのアウトソーシングと両者間のキャッチボール

環境省の発表によれば、2016年度に全国で殺処分された犬・猫の数は5万5998頭。1日に150頭あまりの命が奪われています。昨年度、東京都が捨て犬などの殺処分ゼロを達成するなど減少傾向はあるものの、現実は厳しい状況。そんななかでも、全国各地の皆さんが、殺処分ゼロへの取り組みをあの手この手で行っています。

佐賀県の取り組みで感じたのは、地方自治体と民間事業者の連携のスムーズさ。保健所などで従事する方々は、公務員という立場上、動物愛護に関わることだけが業務ではありません。さらに人事異動もあり、長期的な知識や経験が培われづらい面も。そこで、民間へのアウトソーシングと両者間のキャッチボールという形で、適正な譲渡を可能にしていたのです。

「施設の運営が滞りなく行えているのは、愛情を持って動物たちのお世話をしている、経験豊富な民間事業者の方々のおかげなんです。その柔軟な発想と機動力に助けられています」 

さらに、医療費等の財源確保のために、ふるさと納税を活用します。現在、神奈川県、大阪府大阪市、山口県防府(ほうふ)市等複数の自治体がふるさと納税のメニューとして動物活動支援を用意。佐賀県では開始してから早2年、年間600万円ほどの寄附金が集まるというから驚きです。

犬や猫を買うのではなく引き取るという選択を

取材当日、嬉しいことに1匹の猫ちゃんと1匹のワンちゃんが引き取られていく場面に遭遇しました。スタッフの方がしつけをしてくださるので基本的なことはできる体制。さっきまでケージの中で寂しそうな目をしていた子たちが、引き取り手の方の顔を見ながらスタスタと外を歩いていく様が印象的でした。 

皆さんに知って欲しいのは、保護犬・保護猫という言葉のイメージではわからないことがたくさんあること。まだ経過観察期間中のため、古い犬房に収容されている犬たちは人が近づくと大きな声で吠えていました。ですが、一歩外に連れ出せばシャイだったり、遊ぶのが大好きだったり、本当に愛らしい。救う立場にある人間が、動物の純粋さに力を与えてもらえます。 

元保護犬だったアリスと私が一緒に暮らし始めて早6年。共に生きること、その幸せを噛み締めつつ、私は「実情を伝える」ということを続けなければ、と心を新たにしました。アリス、急いで帰るね。

「よかったね。家族の一員になって」

What is the change?
地方自治体と民間事業者の連携が好循環を生む

ドッグトレーナーによるしつけ方相談など、ボランティアの協力を得ながら譲渡の推進に取り組む。

1 地域における使命感の輪

2013年9月から改正動物愛護法が施行され、終生大切に育てていくことが義務化。当たり前のこととはいえ、意識の向上につながり、徐々に県による保護犬・保護猫の捕獲・引き取りが減少傾向に。また県では新聞、フリーペーパー、そしてなんとテレビCMで『いっしょけんね』の宣伝を行うなど、ペットショップではない場所に飼い主を必要としている犬猫がいることを広める。さらに、財源確保のために2年ほど前からふるさと納税による動物愛護メニューを追加。県のみならず、日本全国からの支援が適正な譲渡を促進する。

来訪者の増加は譲渡率に顕著に表れる。ここが基点となり、保護犬・保護猫と人や、飼い主同士の交流の場としても機能。

2 譲渡専用施設で 家族を迎える

『いっしょけんね』開所から約2年半で犬と猫600匹あまりの譲渡が成立。飼い主には必ず講習を行い、去勢・避妊をしてもらうという。譲渡を増やすとともに、不幸な命を増やさないための約束事。

また、大人になった保護犬・保護猫はなかなか引き取り手がいないため、新たな飼い主にめぐり合えるよう、常駐スタッフがしつけなども行う。引き取り後も、困ったことがあれば、経験豊富なスタッフに相談も可能だ。

現在、情報をきちんと伝えられると同時に、シェアが有効に機能するFacebookでこの場所を知る人が多いという。また、「いいね! 」の数はスタッフの励みにも。人生を変える出会いがあるかも。

『いっしょけんね』の子は、どの子もとっても個性豊かです

あまり人と関わった経験がなく、撫でても固まってしまうけれど、抱っこしたら尻尾だけ勢いよくフリフリ(笑)。

    犬種:雑種
 年齢:7カ月
 性別:女の子
 愛称:朝子ちゃん
 特徴:今まで人と関わった経験がないので、緊張ぎみ

ケージから出た時、腰が引けていたものの、愛嬌たっぷりにハイタッチ。

    犬種:雑種
 年齢:3歳
 性別:女の子
 愛称:花子
 特徴:笑顔がキュートで、外で遊ぶことが大好き

にっこり笑っているような顔でみつめてくれる。

 犬種:雑種
 年齢:1歳(推定)
 性別:男の子
 愛称:ター坊
 特徴:人懐っこく、誰とでも仲よくできてしまう

触ってほしいアピールがお茶目なおじいちゃん犬。私の一番のお気に入り。

恥ずかしがり屋さんで、人前に出られるよう挑戦中

大人しいながらも奇跡の突っ込みをいただきました(笑)。

 猫種:雑種
 年齢:2カ月
 性別:女の子
 愛称:アリス
 特徴:恥ずかしがり屋さんで、人前に出られるよう挑戦中

臆病なところがありますが、薄茶色のきれいな瞳に釘づけ。

 犬種:雑種
 年齢:4歳
 性別:女の子
 愛称:よし子
 特徴:ニコニコ笑顔で、よくアイコンタクトをとってくれる

「もっともっと撫でて」と言わんばかりの甘えん坊さん。

 猫種:雑種
 年齢:10カ月
 性別:男の子
 愛称:ダイ
 特徴:後輩猫の手伝いをするなど面倒見がいい

おもちゃに夢中で無邪気。

 猫種:雑種 年齢:4カ月
 性別:男の子
 愛称:とみ夫
 特徴:人懐っこくて、やんちゃ坊主

お腹をさらけ出し安心して寝ている姿がキュート。

 猫種:雑種
 年齢:2カ月
 性別:女の子
 愛称:スズ
 特徴:好奇心旺盛のおてんば娘

※最新情報は『いっしょけんね』のFacebookで。

佐賀県犬猫譲渡センター 『いっしょけんね』
住所:佐賀県武雄市武雄町富岡12724-4
TEL:0954-23-0532
休み:土曜・日曜・祝日、年末年始 
※第2土曜、第4日曜の10:00~13:00は開館。
営業時間:8:30~17:15
※見学時間は10:00~12:00、13:00~16:00
URL:www.pref.saga.lg.jp/kiji00315040/


滝川クリステル
滝川クリステル
Christel Takigawa 1977年フランス生まれ。WWFジャパン 顧問。東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会 顧問。一般財団法人クリステル・ヴィ・アンサンブル代表。現在、『教えてもらう前と後』(TBS系)でMCを務める。2018年、2度目となるフランス国家功労勲章「シュヴァリエ」を受章。インスタグラム:@christeltakigawa
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