資産運用の革命児は元プロボクサー! FOLIO甲斐真一郎社長の熱き魂とは?

「資産運用の世界に革命を起こす」として、2015年12月に設立されたFOLIO。注目を集めた「テーマ投資」に続き、今年4月25日、LINEアプリから気軽に投資を始められる「LINEスマート投資」で「ワンコイン投資」をリリースした。これまでになかった斬新なサービスを打ち出す原動力は、代表取締役社長・甲斐真一郎氏の“熱き魂”にあった。インタビュー後編は、次々と高い目標を掲げては、見事にすべてを叶えてきた、その半生に迫る。


1年の猛勉強で京大合格、4ヵ月の特訓でプロボクサーに

甲斐氏の経歴をみると、関西の進学校・東大寺学園から現役で京都大学法学部に進み、卒業後はゴールドマン・サックス証券入社と、“エリート街道”をまっすぐ進んできたように思える。ところが、本人いわく、「高3の初めの頃までは校内での成績は最悪。とてもじゃないけど、京大に受かるレベルではなかったですね。何しろ中1から高2までは、勉強はほとんどせず、好きなことばかりやって過ごしていたので」と。

「一念発起したのは、高3の時の担任の先生に対して『俺、絶対に今年京大に受かるから』と言ってしまったから。ほんと何でもないきっかけなんですけど。昔から、大口を叩いてからやりきるタイプ。あの一年は、とにかく勉強しましたね。バンド活動もやめ、テレビも観ず、ご飯も自分の部屋。一切の無駄な時間をなくして1日中勉強してました。めちゃめちゃ負けず嫌いなことと、やると決めたらとことんやるという性格が合わさって、一年で数学の成績なんかは学年(文系)トップクラスまで上がっていました」

目的遂行のためなら、自分を追い詰めることを厭わない。有言実行、強靱な精神力の持ち主なのだ。しかも、それは勉学に留まらない。なんと、京都大学在学中、プロボクサーのライセンスを、たった半年足らずで取得しているという。

「アルバイトをしていた時、お客さんの中に、京都大学の学生ということを『頭でっかち』とからかう人がいて。スポーツは得意だったけど、口で言っても説得力ないですからね。表面的にわかりやすい資格を取ればいい。それがボクシングライセンスだったんですよ。2年生の時にボクシングジムに入門し、半年足らずでプロテストに合格した。結局大学は1年休学し、1年半ほどプロボクサーとして活動していました」

5月に実施した「LINEワンコイン投資」のプレス発表会に登壇。LINEとFOLIOが目指す“新しい投資のカタチ”を、わかりやすくアピールした。

目指すのはナンバー1。そのための努力は惜しまない

大学に復帰した後、甲斐氏が目指したのは司法試験。難関中の難関だが、これも1年足らずの勉強で、短答式試験に合格した。

「この時も、かなり勉強しましたね。実家の2階にある書斎にこもり、ほぼ一歩も外に出ない。勉強以外のことはほぼすべてシャットアウトし、食事も毎回部屋まで運んでもらって、寝るのは床の上。固いから、3時間も寝ると、背中が痛くなって目が覚める。勉強するには、ちょうどいいんです。あの頃が、人生で一番勉強したんじゃないかな。結局、論文試験には通らなかったんですけどね」

1年やってダメなら辞める。そう決めていたため、卒業後の進路は、金融業界に方向転換。実は、両親共に証券会社勤務であったため、幼少期から身近に感じてはいたという。

「小学校低学年の頃から、母親に『今日、日経平均株価は上がった?』って聞いたりしていて。理由は単純で、上がっていれば、父親の機嫌がいいから。とくに金融教育をされたわけではないんですが、就職先として証券会社が具体的にイメージできたのは、両親の影響があると思います。で、どうせやるなら一番上を目指そうと、当時業界No.1だったゴールドマン・サックス証券に入社したんですよ」

FOLIOが展開する「テーマ投資」には、約90のテーマがラインナップ。そのテーマが将来伸びるかどうかをシンプルにイメージできるつくりが、投資初心者に好評だ。

論理的にプロセスを考えると、想像の範囲内にしか到達できない

創業時、優秀な仲間が集ってくれた理由を、「『甲斐ならやりきるだろう』と思ってくれたからでは?」と、分析していた甲斐氏。これまでのエピソードを聞くと、その言葉にも肯ける。

「ゴールドマン・サックスの新人研修中も、将来のビジョンを聞かれて、同期の前で、『社長になります!』と、言ってました(笑)。どうやってなるかというプロセスなんて、何も考えていないんですけどね。まずは、合理的には想像できない目標値を掲げ、それを公言してしまう。そのあとで、実現するには、いつまでに、何をすればいいかを逆算し、死にもの狂いで取り組む。京大も、ボクシングも、司法試験も、すべてそうでした。もしかしたら、あっちもこっちもって同時進行できない、単に不器用なだけかもしれないけれど。

僕の場合、合理的、論理的にプロセスを考えて、目標地点を設定してしまうと、自分が想像できる範囲にしか到達できないと思うんですよ。だから、いつも目指すのは想像の遥か上。今やっている事業目標も高すぎて、『何をバカなことを』と批判されることもありますが、僕は本気で投資の世界に変革を起こせると信じている。社員にもよく言うんですが、『迷ったら、伝説になる方へ』。判断に少しでも迷ったら、みんながビックリすることをやろうぜって。失敗を怖がって歩みを止めてしまうことこそが、僕のダウンサイズ。止まったら死んでしまう、鮫みたいなヤツなんです(笑)」

有言実行、常熱体質の甲斐真一郎氏が、次に挑む“伝説”に注目したい。


Shinichiro Kai
FOLIO(フォリオ)代表取締役CEO。1981年大阪府出身。京都大学法学部を卒業後、2006年、ゴールドマン・サックス証券入社。主に日本国債・金利デリバティブトレーディングに従事し、2010年、バークレイズ証券に入社。アルゴリズム・金利オプショントレーディングの責任者を兼任する。2015年12月より現職。


Text=村上早苗